屋久島通信員・武田剛
屋久島町の荒木耕治町長(69)が出張旅費を着服するなど不正が相次ぐ同町で、新たに、岩川浩一副町長(67)が出張旅費の精算に絡んで不正請求をしていたことが分かった。ホテル代と往復の航空券のセットパックを利用しながら別途、「宿泊料」を請求して二重取りをするなどしており、同町を巡る不正の根深さが浮き彫りになった。
岩川副町長は20日、朝日新聞の取材に「着服の意図はなく、事務的ミスが重なり、結果的に宿泊費の二重取りになった」と釈明。町に返還する意向を示した。
岩川副町長や町が開示した出張記録によると、岩川副町長は2015年11月、東京出張の際、宿泊と往復航空券がセットになった「JALパック」を利用したにもかかわらず、別途、町に「宿泊料」の仮払いを請求し、2泊分の計2万1800円を受け取った。
16年9月の大阪出張の際もJALパックを予約し、同様に「宿泊料」の仮払いを町に二重請求したが、このときは出張が急きょ取りやめになったという。
さらに名古屋へ出張したとされる17年4月、往復の航空運賃より2万円高い7万2220円の仮払いを町に請求して受け取り、精算でも旅行会社発行の「鹿児島~名古屋航空券代」と手書きされた同額の領収証が添付されていた。
ところが岩川副町長は朝日新聞の取材に対し、実際には鹿児島から航空機で東京へ行き、東京から名古屋へ新幹線で移動した後、名古屋でホテルに滞在したことを認めた。実際の行程と領収証の記載の隔たりについて、岩川副町長は「旅行会社が書き間違えた」と説明している。
同町の出張旅費をめぐる不正では昨年末、荒木町長と岩川俊広前議長(70)が普通運賃などの航空券を払い戻し、格安のシルバー割引を使って買い直して差額を着服したことが発覚。業務上横領や詐欺などの容疑で住民から刑事告発されている。(屋久島通信員・武田剛)
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