ヘッケランlevel99   作:とし3

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…おおぅ…雑感


デブゴンLevel99

「ひぇええええええええ」

 

 ナザリック第6階層にアウラのペットとして連れて来られたヘジンマールが情けない声を出す。

 このエリアには、少し前までは最強種だと思い込んでいたドラゴンなど比べ物にならないほどの凶悪な魔獣が山ほど居たのだから。

 

 目の前に現れたアウラの先輩ペットであるフェンリルが「おう、新入り挨拶どうした」と小ばかにしたように鼻息をフンッと出す。絶対的な格上の魔獣、畏怖すべき存在であるフェンリルから放たれる威圧により死の恐怖を味わうこととなり、再び股間が緩み漏らしてしまったようだ。

 

 「まーた嬉ションしてる!んもー駄目だよ友達が出来て嬉しいからって、その癖は治さなきゃ!

  …でも餡ころもっちもち様も苦労なされたと言うし、仕方ないのかな?」

 

 アウラが呆れたように漏らしたデブゴンを見つめる。

 

(だ…駄目だこのままじゃ!価値無し判定を貰ったら処分されてしまう。

  母(X3)や兄弟と違って僕は完全なニートだから容赦なく解体されるぞ…)

 

 フロスト・ドラゴンは本来は細身の竜である。ヘジンマールは下腹部の肉を器用に攫みおのれのメタボさを実感する…「このままじゃ駄目だ!」と強く決意した。

 

 閲覧の許可を頂き、ドワーフの残した書物を。更にはナザリックに残された書物を読み解き効率的な筋トレ方法を学ぶ。ゲーム時代では筋肉の強化等のトレーニング等は意味は無かったが、オフで効率的な筋トレ方を実践していた至高の御方の一人が書いた趣味の本が見つかる。

 更には肉体系の能力値を調整するマジックアイテム【ブルーワーカー】を借り受ける事が出来き、理想の肉体強化ができることとなった。

 

 「まったく」(力強い腱を作る運動)

 「簡」(竜らしい腕を作る運動)

 「単だ」(逞しい胸を作る運動)

 

 「やったぜ!」

 

 弱肉強食の残る第6階層の餌事情、お散歩と言われて高位の魔獣と共に全力で疾走させられる死の行進(デスマーチ)。日夜迫る死の恐怖からデブゴンはダイエットに成功。

 …同じ年代のドラゴンと比較しても恥ずかしくない肉体を手に入れていた。

 

 「昔は引き籠って勉強ばかりしていたけど体を鍛えるのも楽しいな」

 

 今ではすっかり運動に夢中なヘジンマールは、鍛え上げられた己の肉体を見て嘆息する。

 

  

 そんな中、ナザリック第6階層に1人の客人が…ナザリックの支配者なのだから客人と言うのも違うか。ナザリック地下大墳墓の支配者・アインズ・ウール・ゴウン魔導王陛下が姿を見せた。

 

 「アウラよ、そういえば前に捕獲したフロストドラゴンなのだが…」

 「はい、元気にやってますよ。あちらにー」

 

 アウラに振られてアインズとヘジンマールの目が合う。

 …骸骨であるアインズには目玉は無い筈なのに目があった気がした。

  

 「うん?」

 「えっ?」

 

 「細いだと?レア種ではなかったのか」と呟いたアインズの呟きをドラゴンの鋭い知覚が拾う。(…やばい、選択肢を間違えた)失敗に気が付いたヘジンマールは慌てて言い訳を口にする。

 

「魔導王陛下、どうやらわたしは可変性のようで」

「なるほどな…レア種の固有の能力か」

 

 納得してもらえたようで安心する、やはり運動なんて辞めよう。

 できる限り引き籠って好きな書物を読んでひっそり生きられるように頑張ろう。

 デブゴン万歳、ニート万歳!

 

 その後、喰っちゃ寝、喰っちゃ寝して皮下脂肪を貯め、メタボ体型に戻り。

 ヘジンマールはデブゴンの名に恥じない体型を取り戻した。

 

 これで一安心と思っていた所「これで次はまた痩せた体型になるのか…面白いな」と言われ、

 フロストドラゴンのレア種(仮)ヘジンマールは死んだような目で燃え尽きていた…

 

 




アインズ「レアモンゲットだぜ!」

デブゴンが脳内でカイリューになってる…ムーミン顔の。

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