アインズが初心表明演説を述べた後、残された守護者達はアインズの言葉を振り返りる。
アインズの求めているものを確認し、忠義の尽くし方と、今後の予定を確認するためだ。
「アインズ様が夜空をご覧になられた時、こうおっしゃいました。
私がこの地に来たのは、誰も手に入れていない宝石箱を手にするためやもしれないと」
「そして最後にこう仰いました。〝素敵な恋愛〟なんて面白いかもしれないな…と」
デミウルゴスがアインズのお言葉を伝えたこの瞬間、守護者に電流が走る!
今にでも飛び出そうとするシャルティアに、全力で妨害するアウラ、股に手をやりもじもじさせるマーレ、「オオ、オ世継ギガ、爺ワ、爺ワ」と妄想に浸るコキュートス、反応は様々であった。
「ナザリック地下大墳墓の第一目的は、アインズ様に宝石箱をお渡しする事と知れ!
これより自由恋愛を解禁とします!くふー 待っててくださいアインズ様!」
そしてアルベドが最後に話を終えると、ギャグ漫画のように壁を突き破って去って行った…
「へっくしっ…」
…アンデッドなのに何故かくしゃみが出る。
病気に対する完全な無効化があっても出てしまうくしゃみに、アインズは嫌な予感を感じた。
しかしアインズはこの変化に気が付いて居なかった…思わずポロリとこぼした童貞の本音が
デミウルゴスに聞かれてしまい、このような惨劇に繋がるとは予想もしていなかったのだ。
ぴょんぴょん飛び跳ねてラッキーパンチラをしてくるルプスレギナにイラッとし、
風呂場で「お背中流しに来ました」と風呂に突撃して来たソリュシャンにドキドキし、
エントマに蟲詰め弁当を贈られて困惑したり。
ちょっとムリがあるセーラー服に身を包んだユリに「どこのお店の人だよ」と思ったり。
「は、はわわ…」と棒読み口調で階段から落ちてくるシズにひやひやする。
パンを咥えて全力疾走で体当たりを仕掛けてくるシャルティアを幾度も回避し。
「アインズお兄ちゃん」と甘えてくるマーレとアウラに茶釜さんを思い出してほっこりする。
「…な、何が起きているんだ」
「はい、アインズ様の望む〝素敵な恋愛〟を叶えるために皆が努力しております」
突然の周囲の変化に理解が追いつかなかったアインズの呟きに、
明確に王妃はアルベド様派ですから!のナーベラルが回答する。
…アインズは想定もしてなかった奇妙な状況に、唖然としていた。
「…ところでこのわざとらしいシチュはどこの馬鹿が考え…ペロロンチーノさんしかないか」
「はい、ペロロンチーノ様が図書館に寄贈された〝ギャルゲ設定資料大辞典〟になります。」
「ナーベラルよ、急ぎこの件を中止するようを伝えるのだ、ホント急いでな!」
命令を受け部屋を出ていくナーベを見ながら「まあ、少し嬉しかったかな…」なんて
そんな甘い事を考えている間に、アインズのベッドの下には〝はじめてのヤンデレ~実践編~〟を読み、アインズの監禁依存を理想の愛と捕らえてしまったアルベドが潜んでいた。
君(アルベド)の望む永遠