訃報

皆川達夫さん死去 ラジオ「音楽の泉」解説、「オラショ」とグレゴリオ聖歌のつながりを研究

 

立教大名誉教授の皆川達夫(みながわ・たつお)さんが19日、老衰で死去した。92歳。葬儀は近親者で営む。喪主は長男の瑞夫(みつお)さん。

皆川達夫さん

中世・ルネサンス音楽研究の第一人者で、中世音楽合唱団を主宰。65年から85年までNHKFM「バロック音楽のたのしみ」、88年から今年3月29日までNHKラジオ第1放送の「音楽の泉」に出演して解説を担当していた。2011年にはテレビ「題名のない音楽会」に出演して、箏(こと)の名曲「六段」(八橋検校作曲)がグレゴリオ聖歌の「クレド」(信仰宣言)を基にしているとの研究成果を披露している。

1927年、東京生まれ。51年、東京大学文学部西洋史学科卒業。53年、同大学院修了。55~58年、コロンビア大学とニューヨーク大学に留学。62~64年、ドイツとスイスに留学。68~93年まで立教大学教授のほか、東京大学や東京芸術大学、慶応義塾大学で講師を務めた。著書に『バロック音楽』(講談社、72年)、『中世・ルネサンスの音楽』(同、77年)、『オラシヨ紀行』(日本基督教団出版局、2006年)、『キリシタン音楽入門』(同、17年)などがある。

4世紀以上にわたって隠れキリシタンによって歌い継がれてきた「オラショ」研究に携わり、グレゴリオ聖歌との関連を明らかにした。その功績により、78年、イタリア政府からイタリア共和国功労勲章勲五等(カヴァリエーレ章)を受ける。また、日本への洋楽の渡来とキリシタンについて考察を集大成した論文「洋楽渡来考」により、2003年、明治学院大学から芸術学博士号が授けられた。

講演でもこのように語っていた。「キリスト教と音楽のつながりは深い。教会には常に音楽があり、また音楽の歴史を語るとき、キリスト教は切っても切れない。キリスト教は目で見る宗教ではなく、神の声を耳で聞く宗教。音楽もまた、形がなく捉えることができない。だから、神を賛美するために音楽を用いる。キリスト教が優れた音楽を生み出してきたのは、このような背景があるから」

クリスチャンプレス は、FELLOW WORKER(同労者)同士が手をつなぐために記事を配信しています。ぜひシェアしてご活用ください。
Tweet 20

関連記事

神学校特集
フェローワーカー募集中!
フェローワーカーとは 献金のお願い
クリスチャンプレスは皆様の祈りとサポートで支えられています

日本聖書協会おすすめ聖書特集

-訃報
-,

Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
S