ヘッケランlevel99   作:とし3

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…なんか上手くまとまりませんでした。


ヘッケランlevel99+

「私はナザリックに許可なく土足で入り込んだ者に対し、無事に帰したことは一度も無い」

 

「お待ちください、私たちはちゃんと土足では無く、上履きを用意しています」

 

 侵入者達の足元を見ると、たしかに靴では無くスリッパが履かれていた。

汚れている靴は袋にちゃんと仕舞い込んである。…完全に戦闘に不向きな装備だ、ベテラン冒険者…いや、凄腕のワーカーである彼らの本来の常識では考えられない事だった。

命の危険性のあるエリアで、動くのに向かない装備をする…それはまさに狂気の沙汰である。

 

「あれっ…ほんとだ」

 

 ピロリン!と変な効果音と共にアインズの怒りのテンションが1ランク下がる、

どうにもこうにも、これは毒気を抜かれた感じのようだ。

 

「それに、もし招かれていたとしたら?」

 

 内通者はありえない、となるとワーカーを送り込むようにフールーダに命じた事が漏れたのか。

それとも…もし、もしも他のギルドメンバーの誰かが、ナザリックへ招いたとしたら?

そんな希望の混ざったイメージが脳内に浮かび、アインズの思考を1瞬止める。

 

「…誰がここに招いたと言うのだ?」

「あなたもご存知じゃないんですか」

「ご存じだと…?」

 

「はい、この美しく冷厳なナザリック地下大墳墓にです!」

 

 アインズ動きがピタリと動きが止まる。

 

「ナザリック地下大墳墓に招かれたと言うんだな」

「ええ、花の美しさに魅せられる蝶のように!」

「くはははははは!」

 

…ナザリックの美しさを理解できるようだが、どうやら私はこの男に舐められているようだ。

そんなドロドロとした、高熱を発するマグマのような激しい怒りが…

 

「外周に壮言にそびえ立つ白亜の壁、それに乱雑に配置されているように見える墓石の数々も、

1歩離れて見てみると不思議な世界の調和を醸し出す。墓石に刻まれた女神や天使の細かな彫刻も見事ではありましたが、全体での壮大な美しさに比べてしまうと1歩劣りますね…いや、それも計算の内で作られているのだろうか?全体を引き立てるための一部の細工と言うのでしょうかね?

 おごそかな感じのする霊廟も実に見事でした!…それに10メートルほどの鎧を着たあの戦士像の大迫力!あんな躍動感のある彫刻は見たことありません。あの巨人兵の姿は見る者全てに畏怖を齎せましょう、あぁ…しかしこのような大墳墓を作り上げたのは、どのような偉大な神々だろうか。人間にはたどり着けない優れた芸術性、全てが調和された、この素晴らしき地下大墳墓…」

 

「お、おう」 ピロリン

 

 ――沸かなかった。

 

「不躾にも、思わず中を覗きこんでしまいましたが、これは『中を覗くのだ!こんな偉大な芸術を見逃してはいけない』と美の神の啓示を受けたよう!

 そう、これは、まさにこのナザリック地下大墳墓が私を招いたと言えるでしょう…」

 

「そ、そうだな」 

 

「もし私の命で願いが叶いますなら。この素晴らしき地下大墳墓の歴史を!

それを作り上げた偉大な方々の伝説を教えて頂けませんでしょうか!」

 

 ――アインズへ会心の1撃!効果は抜群のようだ。

 

「よーし、お茶とお菓子の用意をしてやれ!」 ピロリロリロリーン!

 

パッパパ パパパパッパパー 

 

――パーフェクトコミュニケーション!――

 

 




この後スーパーヘッケラン率いるフォーサイトは、
全員が銘菓ナザリック饅頭を手土産に貰い、無事に帰宅しました。

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