ヘッケランlevel99   作:とし3

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…何番煎じだろうか。


幻影level99

「ほっ…」「よっ…」「そぃっ!」

 

モモンガは豪華な椅子に座りながら、1メートルほどの鏡の前で変な踊りを披露していた。

…無論、わざわざ鏡でダンスの確認をしているのではない。

遠隔視の鏡<ミラー・オブ・リモート・ビューイング>を使って周囲の探索をしていたのだ。

 試行錯誤を繰り返しているが、今だ人の姿は見当たらない。周囲には延々と続く牧歌的な光景が広がり、変らない光景にボツリと愚痴をこぼす。

 

「いかんな…飽きて来たぞ。こんな事に付き合わせて済まなかったな、シャルティア」

 

「いえいえ、我が君を近くで堪能できるならば、何百、何千時間でも楽しく過ごせるでありんす」

 

 暇つぶしで同行させていたシャルティアに詫びの言葉を入れ、周囲の探索を再開する。

数時間が経過し、飽きも限界に来た頃、ついに小さな人間の集落が見つかった。 

 場所はナザリック地下大墳墓からおよそ南西に10キロ程度だろうか。〝第一村人発見〟みたいな気持ちで鏡を寄せると、村からは何やら変わった雰囲気を漂わせていた。

 

 「ん…祭りか」

 

 「はい、モモンガ様…これは祭り、そう、血祭りでありんしょうね」

 

 その光景を横から眺めてるシャルティアはうっとりとした顔で、お祭りを見つめる子供のように心底楽しそうに、笑顔でモモンガの体に身を寄せる。鏡に映し出される光景からは 騎士風の格好をした者が手に持った剣を振るい、草木を狩るように村人を殺戮する。騎士達が剣を振るうたびに血の華が咲き乱れる…村人は狩猟の獲物のように追い立てられ一方的に狩られだけだ。

 

 …おかしい。この世界に来るまでであれば卒倒してもおかしくない光景を見ながら、

何故冷静に見て居られるのか。何故、何も感じないのか。

 

 「いかがなさいますか、モモンガ様?たとえば参加とか…」

 

 「駄目だ。見なかった事にする、別段関わるような価値も無いからな。

  それよりも今は情報収集が最優先だ、現地人の戦闘力が知りたい」

 

 ふとシャルティアの顔を眺めると、かつての友人の姿が重なる。

 

 ――この前買ったエロゲにまた姉ちゃん出てましてね。

   凄く期待してたロリゲーだったんですが、急激に萎えましたよ。

   売るのも何か負けた気がしますし、これ貸しますので、どうぞ使ってやってください。

   もちろん、使うは性的な意味で――

 

   モモンガはこめかみを抑え、首を振り、どうでもいいイメージを切り祓おうと努力する。

  落ち着いた所で再び鏡を覗くと、まだペロロンチーノの幻影は残っていた。

 

――YESロリータ、GOタッチ!――

 

  そう言いながら良い笑顔でサムズアップする爆撃の翼王の姿が。

  

 「帰れや!」

 

 「申し訳ありません!?」

 

 「あ、いやいや、違うのだ、面をあげよシャルティア」

 

 慌てて跪き、頭を下げるシャルティアに謝罪しつつ、再び鏡に映し出される光景を見る。

 ペロロンチーノさん、少し自重してください。…いや、ペロロンチーノさんは悪くないか。

 こんな状況で思い出してしまった自分が一番悪い。

 

 そして鏡は人るの光景を映し出す。1人の少女が騎士を殴り飛ばす姿を。

 そして妹だろうか、より小さい女の子を連れて逃げようとする姿を。

――モモンガさん、困ってる幼女を見かけたら、助けて保護するのが当然ですよ――

 

 再び出てくるペロロンさんの幻影に呆れと、思わずの笑みが零れる。

 どちらにせよ戦闘能力を調べなくてはならないからなと。

 自分の気持ちに言い訳じみた理由も付け行動を開始する。

 

 

 私はこの村へ行く、ナザリックの警備レベルを最大まで引き上げよ。

 シャルティア!お前は伝達が終わった後に完全武装で来い。

 後は後詰めの準備だ、この村に透明化に長けた部隊を配備せよ!

 

 

 そうですねペロロンチーノさん、借りパクしてしまったエロゲの分は返しますよ。

 

 

 




…この後めっちゃ血の狂乱した。

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