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【羽ばたけ中部勢】[ボクシング]矢吹正道、コロナ禍で日本タイトル戦延期もKO率100%の豪腕磨きじっと待つ 対戦王者が突然の返上&引退で闘志に火2020年4月22日 0時3分
ボクシングの日本ライトフライ級1位・矢吹正道(27)=緑=の日本タイトル初挑戦が、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、揺れに揺れている。当初の3月から3度の延期を経てようやく7月に内定したものの、情勢は不透明。この間には同級王者が電撃引退という異例の事態も起こった。それでも「ボクサー全員、厳しい状況なのは一緒」と慌てず力を蓄えている。 10勝全てで相手をリングに沈めた豪快さも、リングがあってこそ。矢吹は、見えないウイルスと「フルラウンド」の闘いを覚悟している。 「これから、どうなるか分からない。ボクサー全員にとって経験したことのない厳しい状況。それでも、試合で勝つというやるべきことは一緒。『今年は(試合開催が)危ないかも』くらいに思って、どっしり構えて準備します」 3月15日に予定されていた日本ライトフライ級タイトルマッチがコロナ禍で延期。さらに4月上旬、思いがけないニュースが飛び込んできた。対戦相手だった王者の高橋悠斗(白井・具志堅スポーツ)が、気持ちの維持の難しさを理由に突如、タイトル返上と引退を表明した。 このドタバタ劇が、気勢をそがれかけた矢吹の気持ちに火を付けた。「さんざんツイッターで挑発しておいて、ひどい結末だなと。練習もままならない競技も多い中、プロボクサーが恵まれていることを分かってない」と元王者の責任放棄に憤慨。「もっと骨のある相手とやれることになったと、前向きになれた」と振り返る。 3度の延期を経て、今後の情勢次第ながら7月26日に同級2位の佐藤剛(角海老宝石)と同級王座決定戦を愛知県で行うことが内定。現在は感染防止のため電車とバスの利用を控え、恭子夫人の送迎でジムに通う。ジムの計らいで小学生の長女と長男も同行し、ミット打ちなどで運動。家族一丸でベルトへ突き進んでいる。 もちろん、日本タイトルは通過点。さらに世界を目指す上で、無視できない相手がいる。2016年12月、全日本フライ級新人王決定戦で中谷潤人(M・T)に判定負けし、プロ初黒星を喫した。次戦がWBO同級王座決定戦で世界タイトルに迫る22歳とは、三重県出身同士という縁もある。「後々、やり返したい。負けたままじゃいられない」。キャリアの差を詰めるためにも今後、負けは許されない。 1990年代後半に飯田覚士、戸高秀樹と2人の世界王者を誕生させた緑ジムで、名門復活の先頭に立つ矢吹。今はコロナの猛威を耐えるとき。KO率100%の豪腕を磨きながら、世界へ歩みを進めるゴングを待つ。 ▼矢吹正道(やぶき・まさみち)本名は佐藤正道。1992(平成4)年7月9日生まれ、三重県鈴鹿市出身の27歳。身長165、5センチ。2016年3月に薬師寺ジムからデビューし、17年12月に緑ジムへ移籍。WBCライトフライ級8位、東洋太平洋同級4位。通算戦績は13戦10勝(10KO)3敗の右ボクサーファイター。リングネームはボクシング漫画「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈にちなんだ。弟の力石政法も同ジム所属のプロボクサー。 PR情報
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