質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第七六号

内閣参質一七四第七六号
  平成二十二年六月四日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員佐藤正久君提出鳩山首相と北澤防衛相との在沖米海兵隊の抑止力についての情報共有に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員佐藤正久君提出鳩山首相と北澤防衛相との在沖米海兵隊の抑止力についての情報共有に関する再質問に対する答弁書

一について

 抑止力とは、侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものであると解してきている。
 国際社会には、核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、また、核兵器を始めとする大量破壊兵器等の拡散といった危険が増大するなど、引き続き不透明・不確実な要素が存在する中で、我が国としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)を引き続き堅持し、その抑止力の下で我が国の安全を確保することが必要であると考えている。
 沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいているという利点を有している。こうした地理上の利点を有する沖縄に、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能なアメリカ合衆国の海兵隊が駐留することにより、種々の事態への迅速な対応が可能となっており、沖縄に駐留するアメリカ合衆国の海兵隊(以下「在沖縄海兵隊」という。)は、抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している。
 日米安全保障体制の下でのアメリカ合衆国の軍隊の抑止力(以下「米軍の抑止力」という。)については、在沖縄海兵隊を含む我が国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊(以下「在日米軍」という。)のみならず、来援するアメリカ合衆国の軍隊の運用等も併せて総合的に考える必要があるものと認識しており、幅広い任務に対応可能で機動性と即応性に優れた在沖縄海兵隊は、その重要な要素の一つであると考えている。

二について

 沖縄に駐留する第三海兵機動展開部隊の要員約八千人とその家族約九千人のグアムへの移転は、在沖縄海兵隊を含む米軍の抑止力を維持しつつ、地元の負担の軽減を図るものであり、在日米軍再編の一環として、日米安全保障体制の強化に資するものであると考えている。

三について

 在沖縄海兵隊については、優れた機動性及び即応性をいかし、例えば、大規模な自然災害発生時において主として災害救援の初期段階における輸送支援、医療支援等を実施すること、様々な緊急事態において民間人の避難活動を実施すること、我が国に対する武力攻撃の発生時又は極東における武力紛争発生時において主として初動対処を実施するとともに、来援するアメリカ合衆国の軍隊の受入基盤の確保に当たること等が考えられる。このように様々な対処を行うため、部隊としての機能を十分発揮できるような体制を整えることが、米軍の抑止力の維持につながるものと認識している。

四について

 御指摘の「公然と異を唱える一部閣僚」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、普天間飛行場の代替施設への移設及び同飛行場の返還を含む在日米軍再編は、米軍の抑止力を維持しつつ、地元の負担を軽減する取組であり、関係閣僚間では、抑止力に関する認識を共有しているところである。

五について

 抑止力については、一についてで述べたような機能を果たすことが基本であるが、地域における不透明・不確実な要素に起因する不測の事態の発生等の抑止にも寄与するものであり、想定される対象は、必ずしも特定の国に限られるものではない。