過去に私が書いたDM(富士山遭難事故)から、極力一般向けに再編集しています。

行方不明など、ご家族や捜索ボランティアが注意すべきマトメ

・日没時間を確認し早めに行動
・家族に予定を告げる
・急斜面に近づかない
・一人では出かけない
・充電した携帯電話や雨具、防寒具などを持参
・天気が悪い場合は取りやめる
・110番通報しその場を動かない。(強制的に位置情報が送られる)

――など。 遭難や行方不明を避けるマトメ。

被害者関係の方は動かさないこと(精神的につらい)をモットーとして捜索組織は考えているはずです。個人の力が大きくない山岳遭難であっても、ご家族の方が諦めず探したいお気持ちはよく理解できます。現状は警察や消防、山岳救助隊のご説明を受けられていらっしゃるかと存じますが、気温も下がり、低体温症も心配されるところです。昏睡状態の方が生存率が高い例もありますので、災害で使用される生死分岐点の72時間を気にされないでください。ヘリに見つかるよう動いて更に滑落させないなど捜索側も配慮しながら全力を挙げていると思います。ご家族に配慮するあまり説明が変になる担当もいることがありますので、情報の補完が出来るのを目的としてツイッターを作っています。2019年10月に10年ぶりに臨時で作りましたので、ツイッターの使い方すら忘却、うまく説明できたかどうか分かりませんが、当方の記事はメディアであまり広まっていないことを記述しようと試みています。なかにはご家族にとりまして非情なデータも出ていますが、捜索が頼りないなどと感じる原因など分かりやすくできているか、よろしくいい面だけを学んでくださいませ。

火山性の土地の場合は縦穴があちこちにあるのはご存知かと思いますが、ひるがの高原での女の子も縦穴を心配し、雨が降ってしまって地下水脈に落ちてしまったのかと捜索を実施していました。道志村でも二次遭難が連発してしまいましたが、縦穴がない地域なのにと私も意外性に驚いています。一般の捜索ボランティアが専門知識と経験がないといけなくなった反面、人の目が多くないと遭難者が発見できないという現実のはざまで、今、有効な対策案がないものかと検討し続けています。しかしお若い方の体力を鑑みれば、安全と思われる登山道からの双眼鏡などでの捜索お手伝いは有効と思います。夜ですとナイトスコープが必要ですが(高額)、行動を起こすのもフラストレーションの軽減につながり、特にご家族さんは一刻も早く見つけたいですから私は安全な場所での捜索は推奨いたします。クマやスズメバチ対策は必須です。ひょんな安全域から遭難者が発見されることも多くありますし、3週間とか条件によって、生存の可能性もまだまだ充分あります。捜索隊への促し方法を含めまして取り急ぎ出来ることと注意点をお伝えいたします。準備万端にて発見につなげましょう!!!

1、まずイージス・オーシャンを買います。数千円で安くて性能は5万円級のウェアー上下です。ワークマンで販売されている優秀な防寒着です。そして、双眼鏡、ホイッスル、サラテクト(防虫剤)、バンドエイドに痛み止め。虫刺されはムヒEX(塗るだけですごい痛みが消えます)、普通のムヒの二種類、ヘッドランプが有用ですが懐中電灯でも可、ナップサックは背中からの転落時の怪我軽減目的、水筒とカロリーメイト。靴は滑り止めがついているものが望ましいです(例:渓流グッズのバカ長とか)、最低限、くるぶしが埋まる靴、靴下は二枚履きでズボンのすそを入れます。

2、装備さえしっかりすれば、ご自身の安全は確保できています。基本は最低二名での活動です。通信手段は携帯やスマホ、何か遭った場合は110してください。設定しなくても強制的に位置情報が流れます。失敗例として「家族への連絡のみ」のケースが多々あります。GPSや地図マップもあればいいのですが、登山に行くわけではないので、道から外れなければ大丈夫です。(逆に道を外れますと異常に危険です。ご注意を。)怪我の応急処置は岩に挟まれている場合はカリウムショック死を避けるために心臓の近い部位を縛ってから岩から解放します。木陰に隠れた場所で動けないはずですから、人の目が多ければ多いほど発見率が高まります。

3、クマがいた場合ですが、喧嘩する気持ちで向かえばツキノワグマは逃げていくことが多く、岩やカーブでの出会いがしらだけ注意ください。いったん興奮させますと危険ですが、時々声を出したり音を出したりすれば出会いません。捜索隊が多人数で行うローラー作戦でも50%は見つからないという実験から、一度見た場所といわれても過信せず、もう一度探すのがポイントです。最後の目撃場所から半径0.4㎞、徐々に広げていくという捜索の基本があります。ご家族、友人知人で行う場合、険しい部署は避け(地図などに未チェック印する)、安全第一の基準を互いに確認しあってください。

4、ヘリやドローンでの捜索は有効ですが、それでも60%ぐらいしか発見率がなく(原色服での手振り条件)、あきらめないことです。山での捜索は基本的に難しいので、捜索隊ですら見つけられないことが多くあります。しかし、諦めなければ見つかります。寧ろ気温が低くなったことで探しやすくなりますし、熱中症の危険を避けれて幸運と思ってまいりましょう。ヘリ一機ですぐに50万円、100万円になってしまいますので、無償の捜査義務期間で見つかりますよう捜索隊をねぎらうのもモチベーションを高めさせる配慮です。捜索隊は全国一律で捜索手順があり、レベルは凡そ一定に保たれています。見つからず責められることも多く、応援すると喜ばれることでしょう。

5、一方で、樹海など広域では無限に可能性がありますから、どちらかといいますと捜索隊の経過を見守るのも一手。地図で見ましても連れ去りなどの可能性は少なく感じます(身代金の請求もないですものね)。縦穴は、遭難者がベテランであれば覗き込まないでしょう。大きい場所ではなくても踏み抜いて落ちたという小さい可能性はあります。体が隠れてしまったら遠くからは見つかりませんので、遭難者さんが何とか回復し、手が振れるようになるのも期待ください。2mの落下で腰を打ちますと10時間ほど動けなくなりますし、その後、動けるようになるケースも多々あります。山に慣れた方なら遭難の知識やサバイバル知識も豊富でしょうから、意外と体力温存されていることも想定できます。水を求めるために川に近寄りますが、そこで滑落することが多く、川のそばで発見というニュースの場合、川で水を飲む目的で降りようとして滑落となったケースが圧倒的です。山間の地図に掲載されるような大きな河川の存在がなかった場合、そういった知識がベテランならあられるので、小沢を探して周囲を見回ってみるのもお勧めです。

6、一旦、おおよそ説明できたと思いますが、項目を整理し、お時間があれば書籍などを調べてみて下さい。ここまでをサラッと読んだうえで書籍を見れば、理解しやすいかと思います。夜は遭難者を動かして滑落の危険性が高まるから捜索しないといいますが、低体温症になった遭難者さんは夜にも活動されるケースがあると思われます。道沿いに電灯の明るいもの持参で歩き回るだけでも遭難者から声を出してくださるかもしれません。頭が冷静な場合、安易に動かないという知識もある筈ですから、ご家族が安全を確保しながら捜索協力は充分有効ですし、試みてください。特に頭を打った場合、夜に動き出す傾向があります。何もなくても4日目ぐらいから幻覚を見るケースが出てきます。遭難者さんの行動を想定くださいませ。

7、釣りのグローブは数千円で指が出て糸も結べて捜索活動には使いやすいです。ヤマビルという厄介な生物がいますから足から腰、腕、首、顔とスプレーを地肌と服にかけてやってください。コンビニで売っている防虫剤のサラテクトは意外と虫類だけでなくヤマビルにも効果があって私も長年愛用しています。世界が変わる台風15号より強い19号が接近して昨夜コースが絞り込まれてきました。関東に可能性が高いです。それまでに何とかしたいと捜索隊も考えているでしょうし、頑張りましょう。私の方もスケジュール調整中ですが、台風災害に向けての警戒態勢組になりそうです。世間には表に出なくとも無償でも助けたいというスキルを持った人間がいます。私はそのうちの一人です。



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