名前 川本 菜未
隊次 平成25年度3次隊
職種 服飾
任地 イタプア県ピラポ市
配属先 ピラポ市役所
任期 2014年1月〜2016年1月
活動場所
私の任地はパラグアイの南端、イタプア県にある日系移住地ピラポ市です。人口7000人、うち日系人が1200人のこの町は今年で入植55周年を迎えます。同市では2009年から市役所とJICAによりボランティアのグループ派遣による小農家の収入向上を目指したプロジェクトが行われていますが、その服飾分野のボランティアとして、市が所有するミシン工房の洋裁教室でカウンターパートや生徒の技術向上を目指して活動しています。
私が任地に来たのは2014年1月の終わり、洋裁教室は3年目を迎える頃でした。すでにセントロ地区3学年、巡回先3ヵ所合わせて70人の生徒がいて、中々の盛況ぶりでした。一方で、布にチョークで直接マークをし、ためらいもなくざくざくと布を切って行く生徒達の姿に、日本でパタンナーの仕事をしていた私はショックを受け、赴任当初は全てを否定する事から入ってしまいました。
活動の様子
「ここはこうしたらダメ、そこはこうしなければダメ」。よく知らない日本人ボランティアにいきなりつたないスペイン語で指導され、それは定着するはずもありません。その時は何を言っても「それは日本のやりかたでしょ。」と流されていました。そこで1度諦めることにしました。ここの人たちはこのやり方で今までやって来たんだからいいんじゃないか。今までのやり方で少しずつ技術向上して行く方法を考えよう。型紙は興味を持ってくれた人に教えればいい。
とにかく、1日中働いて、頼まれる型紙も一生懸命作って、授業の補助をしました。そうするうちに少しずつですが、最初は上手く行かなかったカウンターパートの女性との関係も良くなり、だんだん私の事や私のやり方を認めてくれる様になって来ました。市長やプロジェクトメンバー、私に型紙を学びにくる日系人の方々の助言やお力添えも大きかったと思います。
現在ではカウンターパートも私のやり方を学びたいと言ってくれ、勉強会をする時間を作ってくれています。授業で型紙も導入される様になり、縫製仕様も少しずつ改善されています。積極的に型紙を勉強したいという意欲的な生徒も増えました。
洋裁教室の様子
同僚とともに地方の方々に服飾を教えています
活動の様子
また、日本から洋裁を教えにきたJICAボランティアがいるという事で、日系の方からの注文や日系女性の生徒も増えました。現在は4地区合わせて90人の生徒がいますが、そのうち16人が日系の方です。
日系人もパラグアイ人も同じクラスで共に学び、洋裁教室の委員会も共同で行っています。日系人とパラグアイ人の間にはまだまだ格差も壁も感じますが、私たちがここでパラグアイ人に対して活動することで、いつの日か日系の方も巻き込んでの地域開発が出来たらというのが、私のひそかな願いであり目標です。
この1年3ヵ月で改善された事もたくさんありますが、課題もまだまだあります。整理整頓や針の管理も赴任当時にくらべるとかなり進歩しましたが、及第点には達していません。何より技術面ではまだまだ未熟で、全てを技術移転するにはもっと時間が必要です。
残りの任期で出来るだけの事を彼女達、特に指導者であるカウンターパートに伝える為、また後々の指導の補助の為に現在はテキストを作成中です。わかりやすく、パラグアイ女性の多様な体型にも出来るだけ対応出来るような教え方を研究しながら進めています。私のやり方が全てではなく、知識の一つとして落とし込んで消化してもらい、彼女自身の技術向上に、また生徒達へのより良い指導に繋がればと思っています。
活動もあと9ヵ月弱、基本業務も多く、さらにやりたい事ややらなければいけない事もたくさんありますが、楽しみながら走り抜けたいと思います。
女性達の笑顔あふれるピラポ市ミシン工房、いつでも注文お待ちしています!!