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(吟)お願い。 見合いして!
(音)これと!?
姉の吟は お見合い相手の兄とお近づきになるため音に見合いをさせたのです。
私の印象も悪くなるじゃん。
何で お姉ちゃんのために見合いしなきゃいかんの?
お兄さん 恋愛結婚を希望しとるの。やり方が回りくどいよ。
お願い。 ねっ?
(春彦)今日は お忙しい中 お越し頂きありがとうございます。
改めまして 紹介します。 弟の夏彦です。
(せきばらい)
お初にお目にかかります。私 野島~… 夏彦と申します。
以後 お見知りおきを。
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
(足音)
(光子)お見合い どうだっ…。(吟)音 待ちんよ!
あんた 子どもよ。どうしたの?
音 相手の人の胸倉につかみかかったのよ!?
ええっ?
この前 上海に行った時は領事館の歓待を受けまして。
料理は なかなかだが向こうの女は いけません。 気が強い!
その点 日本の女は男に 三歩下がってついてくる。すばらしい。なんと すばらしいや 大和撫子!
そう思いませんか? 音さん。女は 男を支えていればいいのです。
それが 日本古来の…。(茶わんを置く音)
違う! 違う 違う 違う 違う!(吟)音 やめりん。
えっ? えっ えっ…? うわっ!
私は 男の後ろを歩くつもりはないから。
結婚したとしても 私は一緒に歩きたい!
一緒に歩いて お互い支え合って生きていく。 それが私の信条。 以上!
(夏彦)うわ~! あっ あっ あっ… ああっ。
♪~
ハハハハ…。
笑い事じゃないわよ!
これで私の恋路も ご破算だわ。
私と一緒のことしとるわ 音。
私とお父さんが出会った きっかけ。
ちょっと待ちなさいよ!触ったでしょ!? 正直に言いんよ。
女は おとなしくしとったらいいんだわ。
女が男に黙って従う時代じゃないで!
お前 そんなんじゃ一生 もらい手つかんぞ。
(安隆)もらい手 おるよ ここに。
んん~!
お父さん すてき!
食ってかかることがいいこととは思わんけどあそこで私が我慢しとったらお父さんとは出会わんかった。
(梅)芥川先生の言葉に こんなのがあるわ。
(音 吟 光子)どういう意味?
えっ… 簡単に言えば う~ん…運命は偶然に見えるけど実際は生き方から生まれるってこと。
(戸が開く音)・失礼します。は~い!
あっ… 春彦さん。
先ほどは 妹が申し訳ありませんでした。
いやいや… あの…音さん いらっしゃいますか?
はい。
音~?・は~い。
は~い はい はいはいは~い。は~い…。
音さん。はい。
私と おつきあいして頂けませんか?
嫌~!
(裕一)う~ん…。
(落合)全く書けねえらしい。
(昌子)しかたないわよ。 1年半は長いわ。(鈴木)締め切りは いつなんだべ?
(落合)2か月後らしい。(松坂)何だ だったら まだ余裕が。
バカ! おめえ 交響曲だぞ?
(昌子)あんた 何にも知らねえのね!
ベートーベンの「運命」とかドヴォルザークの「新世界」とか聴いたことあんでしょ?
(松坂)あっ ジャジャジャジャ~ンってやつなら。
(昌子)そう それ! あれ 作んのよ。
楽器が いっぱいあんのよ。1曲 30分以上あんのよ。
歌を1曲とは わけが違うんだから。
やけに詳しいですね。
前の前の旦那が好きでね。
俺でねえよ。
うわ~! 何でだ~!?
全然 降ってこな~い!
・ああ~!これは どうにかしねえと。
古山君が 音楽復帰に向けて 悩んでる。
曲作りの主題が 見つからねえそうだ。
そこで 我々も協力しようというのがこの会議の議題だ。
だが 我々だけでは ちと… 心もとねえ。
そこで 古山君の旧友新聞記者の村野さんにも ご参加頂いた。
おっ!(拍手)
それから3時間取りとめのない発言ばかりの無為な時間が過ぎていきました。
あ~! ううっ… んっ…。
今日は お開きにしませんか?う~ん… そうだね~。
ちなみに 古山君 この中で何か書けそうな お題はありますか?
「富士山」は 何かありそうなんですが…。
(ため息)
そういえば… 今日は満月ね。
うん… 晴れてっかな?
あ~ これは これは…。あ~!
「いまはとて 天の羽衣 着る折ぞ君をあわれと おもいしりぬる」。
(鉄男)竹… 取…。「竹取物語」?そう!
あの… オ… オ… オペラみたいなこ… 交響…。
落ち着け。う う… 歌のないオペラ!
日本古来のメロディーをふんだんに取り入れた交響曲にすんだよ。
鉄男君 いげる! あ… ありがとう!
おお…。
お前が音楽に戻ってくれてよかったよ。安心した。
違う。
これを区切りにする。
音楽に別れ告げるための儀式なんだ。
♪~
出来た…。
1か月後 初めての交響曲「竹取物語」が完成しました。
裕一が久しぶりに深い眠りについた頃豊橋の音は…。
音さん。お断りしたはずです。 帰って下さい。
あなたみたいな女性は ほかにはいない。私の気持ちを受け入れて下さい。
私は結婚する気はありません。
歌手になる夢は存じています。最大限 応援します。
作業場は立ち入り禁止。
帰った?うん。
いい人と思うけど? 年頃だし。
女は どうして「結婚 結婚」って言われるの?
そりゃ それはそれで幸せかもしれんけど何か…男は いろんな可能性があって自由なのに女は それしか道がないっちゅうかそれを求められて美化されとるっちゅうか…。
そんな感じしない?
フフフフ… ハハハハハ…!何?
若い頃 私もおんなじこと言っとったの。
でもね 私はお父さんと結婚してあんたたちが生まれて 幸せだった。
やりたいこと なかったの?
あ~ フフフ…。
本当はね…歌劇団で踊りたかったの。あなたと一緒。
え~? 初めて聞いた!どうして 今まで黙っとったの?
夢をかなえる人は一握り。 あとは人生に折り合いつけて生きていくの。
それが 今は不幸みたいに思えるかもしれんけど私は あんたたちのおかげで幸せ。
お母さん…。うん?
私 幸せ捨てても夢を取る。
うん… それも人生ね。
春彦さんには 私から正式にお断りの連絡を入れておきます。
私の分も頑張ってね。
うん。
それから しばらくして 裕一のもとにイギリスから手紙が届きました。
♪~
や… やった… やった!
それは 国際作曲コンクール入賞の知らせでした。
やった… やった! やった やったやった やった やった!