九州電力玄海原発が立地する東松浦郡玄海町の前町長の岸本英雄(きしもと・ひでお)氏が17日午後9時40分ごろ、唐津市内の病院で死去した。66歳。死因は肺がんだった。自宅は玄海町長倉1553の1。葬儀・告別式は家族葬で19日に行われ、お別れの会を後日に開く。
建設会社役員を経て、佐賀県議を1995年から3期務めた。2006年の町長選で初当選し、18年8月の任期まで3期12年にわたり、「原発の町」のかじ取り役を担った。
就任当初から原発推進の立場を明確にし、09年2月にプルサーマル発電に使用するプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料について、フランスから玄海原発への輸送を事前了解し、11月には国内初となる同発電が始まった。
11年3月の東京電力福島第1原発事故後、7月には全国でいち早く原発の再稼働を容認。17年3月には、事故前後の定期検査以降停止していた玄海原発3、4号機の再稼働に同意した。
18年7月の町長選は、体調不良を理由に出馬を辞退し、現町長の脇山伸太郎氏を後継として支援に回った。脇山氏は「頼りになる人を亡くし、寂しい。町のことを天国から見守ってほしい」とコメントした。