作者:角隼人
①初登場人物
壱
●森蘭丸
(織田家代々の家臣森家の三男坊。
父は剛将とて武勇名高い森可成。
幼児期より信長の寵愛を受け、
他兄弟二人と共に人外の忍術を会得する。
その後は小姓として信長に仕え、全幅の信頼を寄せられる)
弍
⚫︎徳川家康
(幼名-竹千代
幼い時代は織田家にて捕虜として育つ
その時分より信長を慕っている
思慮深く冷静な武将だが時折熱く燃える情も持ち合わせる
参
●森坊丸
(幼児期に戦争孤児になっていた所を信長に拾われ、森可成の養子に
その後、蘭丸らと共に忍術を会得し、織田信長の秘剣となる
信長への忠誠心は非常に高い反面、執着心が強く、硬き故の脆さも合せ持つ
肆
⚫︎森力丸
(幼児期に戦争孤児になっていた所を信長に拾われ、森可成の養子になった後人外の忍術を会得。
織田信長の三秘剣の中では
一番明るく、自由を好む。
伍
⚫︎上杉謙信
異名-越後の龍、軍神
戦国最強を武田信玄と二分した武将
陸
●武田信玄
異名-甲斐の虎、武神
戦国最強と名高い武将
三方ヶ原の戦いで徳川軍を半壊させ、織田群に迫るも直前にて病没
その息子が跡を継ぐが、長篠にて織田軍に壊滅させられる
漆
●雑賀孫一
(八咫烏を背に負う鉄砲集団-雑賀衆-の頭領で、鉄砲大名の異名も持つ。
本願寺と信長の争いにて本願寺側につき信長をねらう
捌
⚫︎本田忠勝
戦国の呂布とも言われる
徳川軍最強の武将
玖
●平手政秀
信長の教育係にて織田家家老
拾
⚫︎織田信秀
信長の実父
文武に優れた勇将
★②本文★
刻は天正7年(1579)
安土の城下にて
織田家主催の安土城完成祝賀会が開かれた。
城は身分を問わず解放されており、盛大な盛り上がりを見せる
その中で当主-織田信長は昨日の夢を思いつつ
余興の相撲大会を眺めていた
その
後ろには森蘭丸と森坊丸が小姓として控える
時代に時もたち日が暮れていくが、宴は盛り上がりを増していく
そこへ家康がのそりと現れ
信長に話しかける
●家
「信長殿、遅れてのご挨拶の無礼、誠に申し訳ありません。並びに此度は安土城完成誠におめでとうございます」
●信
「おー竹坊か、久しいのぅ。
良い、良い無礼講の席じゃ楽にせい」
●家
「、、、この歳になっても、竹坊とは、信長様には敵いませんな笑
●信
「わははは、無礼講の席じゃからのう!
どうじゃ?童心にかえってお主も土俵に上がってみぬか?笑」
家康まずいと、話題をそらす
●家
「い、いやーそれにしても、この安土城の壮麗さ!
恐れ入る限り!流石という他に言葉がありませんな」
信長ニヤリと笑い
●信
「そうか?お主は本心からそう評するか?」
●家
「、、、異を唱える者が?」
信長笑いながら
●信
「あぁ、昨日夢の中でな
死に急ぎの大馬鹿の城だと散々なじられたぞ笑
」
●家
「...五右衛門殿でございますか?」
●信
「ふふふ」
●家
「どちらにしても、私はこの城に映る信長様のお心には心より感服しておりまする事は、偽りなき本心でこざる」
●信
、、、、
●家
「この安土の最下中央には
三方ヶ原で散った者たちへの供養塔があるとか、、、
死ねと命じた部下達への想いを向けていただける
今、この家康にとってこれほど嬉しい事はありませぬ」
●信
「ふっ、力丸のやつか、、
あまりベラベラ喋るなと言うたのに
、あやつめ」
場面を変え、
茶屋で一服している
森力丸
●力丸
「へっ、へっ、へーくしゅん!!
あ"ーまた、どこぞの娘さん達が俺の噂を
モテる男はつれぇぜ笑
なぁばあちゃん?」
●店のババア
「、、、」
●力丸
「ま、まぁいいや
とりあえず明日には安土にはつけるな!
殿からの文のx日は間に合いそうだ」
●店のババア
「x日は今日じゃよ ボソッ」
●力丸
、、、、、、、
「な、なぁにぃー!!!」
場面戻り
●信長
「呼び出しもすっぽかしおって、帰ったら仕置を与えんとな!
はーはっはっは」
●家
「、、、変りませぬな信長どの」
●信
「当たり前じゃ!
ワシはワシ
変わってたまるかよ」
そして、
ひとしきりの笑いが止まると、
信長は急に真面目な顔つきに
●信
「越後の軍神も、甲斐の武神も時には勝てず
一番厄介だった鴉も地に堕ちた今
最早、世に敵は毛利のみ
それも、今までの形勢不利な条件から始まる戦に比べれば、脅威もさほどと言ったところだな」
家「....この城たしかに、防の部分にはいささか不安があるように見えすが、それが慢心の表れだとするならば、あの五右衛門殿から大馬鹿などといった褒め言葉が出るとは思いませんが」
信長再びニヤリ
●信
「その通り、ワシはな慢心せぬ為に敢えてこの城を作ったのよ!
この城はな下層に至っては常時庶民でも自由に入れておる
拝観料は100文(現在価値の5千円)、どうじゃ?」
家康一気に引きつり
●家
「!!!、、、信長殿それは如何かと、、」
信長子供ような顔になり
●信
「なんじゃ相変わらず、しわいのぅ〜
しかし、お前のケチな感性は庶民には丁度良い塩梅と言えなくもないか。
む〜今日の様にはいかねども、芸事などの催しは頻繁にあるやるでな、100文は高くはないと思うがの〜」
●家
「銭の問題ではありません!
いくら、すでに目ぼしき脅威はないとはいえ、それはあまりに危険」
再び信長不敵に笑い
●信
「だから良いのよ。
言うたであろう?
ワシは慢心せぬ為に敢えて、この城を作ったと
人とは弱きものじゃ。
ワシとて魔王なんぞと呼ばれておるが例外ではない!
歩みを止めれば必ず慢心という真の魔がこのエセ魔王にも寄ってくるだろう。
さりとて、覇を唱え上を目指し疾走するには限りが見えた。
ならば、下を見て為政を施す新たな道を歩いていこうという事よ。
覇の道はしくじれば己が死ねばよいが、政の道はしくじると己より先に民を苦しめるでな、危険はその事を忘れぬための気付に丁度良い。」
家康しばらく黙り
●家
「....五右衛門殿の評意、なるほどにございまするな。」
●信
「改まるでないわ笑」
その時相撲の優勝者が決まる
右、勝者、本田忠勝
●民衆、家臣団ー同
「おー!
織田の横綱、勝家がまけたぞぉー」
●勝家
「ぬぅ、、、いたたっ
忠勝、噂に違わぬ剛力よのぅ、、」
●忠勝
「お褒め、有難く!」
●信
「おぉー竹ぼうあの男確かお主の家中であったの?
●家
「はっ」
信長ニヤリと笑い
立ち上がり上着を脱ぎ
●信長
「よし、忠勝!
ワシとやるぞ」
周りザワつき周囲が止めるなか
勝負は決行され、
信長は忠勝にあっけなく負ける
それが気にくわない坊丸の表情が険しく曇る
しかし、勝った忠勝だけは冷や汗を流していた
●信
「はぁーははは、負けじゃ負けじゃ!忠勝!!お主本当に強いのう」
忠勝「いえ、公が真剣であれば倒れていたのは某にございまする
お見それ致しました。
信長ニヤリ家康をみて
●信
「のぅ!竹ぼう!!こやつワシにくれぃ!」
屈託無く迫る信長に
家康は焦る
●家康
「いや、それはちと、、」
●信
「わはは冗談じゃ!欲深きわしでも身内の宝を奪ったりはせぬわ笑」
笑いがこだまする中
●信長
「よい気分じゃ!
舞うぞ!蘭!」
●蘭丸
「はっ。」
蘭丸、信長に扇を渡しに土俵へ
この時、坊丸の表情がさらに微妙に曇る
信長が構えを取ると、周囲からは大歓声が上がる
「殿〜」
「まってました」
その歓声が信長の所作の美しさで静まり、
夕暮れに出た月下を背にした土俵にて
夢幻の如く華麗な敦盛を信長は舞ってみせた。
その舞の中、信長の脳裏に神と出逢った日が蘇った。
刻は遡り
地は
尾張、那古野城
廊下に少年の澄んだ声が響く
●信長(吉法師)
なるほどー!
じぃは流石じゃ!!
幼少期信長は家老平手政秀より手習いを受けるのが日課であり、平手をジィと呼び誰よりも慕っていた
その時
馬屋からかける足音と共に太く優しい声がちかづいてくるのがわかった
●信秀
「おーい!」
●信
「父上だ!」
●平手政秀(信長の教育係、家老)
「ほっほ
では、今日はここまでにしますかな、
しかし、若今日は無謀に殿に向かっ、、、」
平手が言い終わる前にすでに信長は平手の前からは消えていた
平手が急ぎ後を追って、次に目に入れた吉法師は
すでに長廊下を信秀の腹めがけて突進していた!
●信長
「父上、覚悟〜」
●信秀(信長の父)
「ガッハハハ
よぉし!こい、吉法師よ!」
遠慮ないパンチを父に繰り出し、
それを腹筋で受け止める信秀
-ドスッ
両手を広げた信秀の腹に信長の正拳突きが深く刺さる
●信秀
ニヤッ
「強くなった
が、
まだまだ甘いわぁぁあ笑」
信秀は信長の腹に手を添えて、軽い球のように庭の上空に投げ飛ばした、
信長ぐるぐる回転しながら宙を舞い機に引っかかる
●平手
「わ、若ぁぁあ〜!!」
平手の心配を木に引っかかり笑う稚き信長
●信長
「流石、父上!!
お強い!好きじゃあ!」
●信秀
「うむ、流石我が息子!
好きじゃあ!!」
キラキラしている二人と冷や汗を流す平手
そこから
一転、落ち着き
縁側にて会話のシーンへ
●平手
して、殿
此度の急な訪問いかがなされました?
●信秀
「うむ!
明日
また、例の場所へ皆で遠出しようと思うての!
準備しておれ!」
平手ビックリした後に諦め顔に、、、
同日、同時刻
所変わって
織田領内-秘の地-
上空で鷹が鳴く
霧ががった湖畔から
白銀長髪の裸の男が出でて
首を鳴らす
●他化自在天
「ふぅー、浮き世に出るのも久方ぶりよのぉ〜」
+注意+
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