指輪は資本主義の象徴 11/25/19

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ロード・オブ・ザ・リングのサウロンは一神教の後裔としての資本主義を体現していて、指輪はその力と毒の象徴だという半田広宣氏の言になるほどと思った。普通の生活を愛するフロドはこの指輪の誘惑への抵抗力が最も強いのだということも。

3日前の半田広宣氏の『奥行きの子供たち』、かなり読んでいる。

今はロード・オブ・ザ・リングをネタにした展開になっている。この物語の悪役であるサウロンが一神教の世界観を体現してるのではないかという半田氏の指摘にはうなずけるものがある。

私はどこかで資本主義は一神教から派生したものではないかと書いたと思うが、サウロンの破壊力と富は資本主義のそれを思い出させる。映画の中にも工場の大量生産みたいなシーンがあった、そういえば。

ただ一つの神がすべてを統括するというのと貨幣が全てを支配するというのは考え方として互いに共鳴しやすいものを持っている。

指輪は自我のことだとも言っている。人間もエルフもガンダルフのような魔法使いも指輪の誘引力には勝てない。普通の暮らしを愛するフロドだけが指輪を火の山に運んで焼却する役目を果たせた。

そのフロドでさえ最後は指輪のことでゴラムと争い、指輪は彼の指と一緒に溶岩の海に落ちていくのだから、彼も指輪の誘惑から自由であったわけではない。

この辺は仏教の話として自然に読める。仏教も自我を克服する物語になっているから。

フロドが指輪の運び役になったということはつまり普通の暮らしを愛する彼が指輪の誘惑に一番抵抗力を持っているということらしいが、これは私自身の選択とも通うものがある。

最近は特に普通の暮らしの中の小さな至福をしっかりと感じていくことが大事だと思えてきた。

何か特別なものが手に入るとか特別なことができて人に評価されるとかいうことではなくて、ただ食べて親しい人と一緒に過ごして寝るという単純な生活の中に至福はある。

この本の3人の登場人物の1人である春井星乃さんはセラピストで、心理学的な側面を考察してくれている。

セラピーでも自我の確立とその止揚がテーマになるらしい。

本を読みながら感想を書くのは未消化のゲロを吐くようなもので感心しないが、こうして書き付けておけば後で思い出すよすがになるだろう。

半田氏によれば、ホビットというのは資本主義の誘惑に負ける以前の人間を体現しているのではないかということだ。なるほどそうかなと思う。
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