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     ・ひとめでわかる「3囚人問題」
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         ・ トンチン解説 Type1:「期待値は正しい。交換した方が得」
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         「すべてのカラスは黒い」を調べるより、
         「すべての黒くないものはカラスではない」を調べたほうが効率的」? んなアホな

    (3) 森田邦久著『理系人に役立つ科学哲学』のヘンペコ解説 2/3 :
        「白い紙を観察すれば「すべてのカラスは黒い」の確からしさが上がる」? んなアホな

    (4) 森田邦久著『理系人に役立つ科学哲学』のヘンペコ解説 3/3 :
        「世の中にカラスが 1000羽しかいなかったら、100羽のカラスを調べて黒いとわかれば、
         「すべてのカラスは黒い」は1/10の確からしさをもつことになる」? ホンマかいな

    ・付録 : 私の解説に対するステハンのまったくダメダメ意見


 ┗ 哲学
     ・Berkeley in 90 Minutesバークリの生涯と思想の概説

デタラメ・トンデモ
  ・三浦俊彦:東京大学人文社会系研究科美学藝術学専攻教授の理系メッキを剥がす
    ・三浦俊彦:東京大学教授が ついに発見!、"究極の確率"、それは 0.6
    ・三浦俊彦:東京大学教授、〔UFO=宇宙人の乗り物〕説をスカ論理で否定する!





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IT/イットで THE END ― “それ”を言っちゃあ、おしまいよ。

オリジナル イットーそれを言っちゃ

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本棚、なんだな

私がこれまで読んできた中で、出合えてホントに良かったと思う本をご紹介します。
これらの本を書いた方々はとても尊敬してますが、本記事では敬称は略させて頂きます。

【フィクション】

カート・ヴォネガット (Kurt Vonnegut)

 「タイタンの妖女」"The Sirens of Titan"
  訳:浅倉久志、出版社:早川書房

  ・運命に翻弄される哀しい人生、でも、 ほんのちょっぴりでも"愛"があれば、それでよし。

ブライアン・W・オールディス (Brian Aldiss)

 「地球の長い午後」(Hothouse)
  訳:伊藤典夫、出版社:早川書房

ルイス・キャロル (Lewis Carroll)

 「不思議の国のアリス」 "Alice's Adventures in Wonderland"
   訳:岩崎民平、出版社:角川文庫

 「鏡の国のアリス」 "Through the Looking-Glass, and What Alice Found There"
   訳:岡田忠軒、出版社:角川文庫

  ・もちろんお話も面白いけど、ジョン・テニエルの挿絵が良すぎ! まさに奇跡のコラボ!

レイ・ブラッドベリ (Ray Bradbury)

 「火星年代記」(The Martian Chronicles)
  訳:小笠原豊樹、出版社:早川書房

  ・私が読んだのは、改訂版ではなく旧版。


【科学】

シャーマン・スタイン (Sherman Stein)

 「数学ができる人はこう考える―実践=数学的思考法」
 "How the Other Half Thinks: Adventures in Mathematical Reasoning"
  訳:冨永星、出版社:白揚社

  ・しょっぱなの「ビュフォンの針」から、やられちゃいました。
   こんな 完璧でしかもわかりやすい説明ができる人こそが
   ホントにアタマの良い人なんだな~、とつくづく思います。

ニック・レーン (Nick Lane)

 「生と死の自然史 ― 進化を統べる酸素」
 "Oxygen: The molecule that made the world"
  訳: 西田 睦 ほか、出版社:東海大学出版会

 「ミトコンドリアが進化を決めた」
 "Power, Sex, Suicide: Mitochondria and the Meaning of Life"
  訳:斉藤 隆央、出版社:みすず書房

 「生命の跳躍 ― 進化の10大発明」
 "Life Ascending: The Ten Great Inventions of Evolution"
  訳:斉藤 隆央、出版社:みすず書房

【ノンフィクション】

ジョン・トーランド (John Toland)

 「大日本帝国の興亡 全5巻」
 "The Rising Sun: The Decline and Fall of the Japanese Empire, 1936–1945"
  訳:毎日新聞社、出版社:早川書房

ジェイムズ・L・スワンソン (James L. Swanson)

 「マンハント―リンカーン暗殺犯を追った12日間」
 "Manhunt: The Twelve-Day Chase for Lincoln's Killer"
  訳:富永和子、出版社:早川書房

  ・そこいらのサスペンス小説より断然興奮させられるのに、現在絶版?
   文庫にもなってない、って、なんで~?


以降、暇なときにぼちぼち書き足します…

三浦俊彦:東京大学教授、〔UFO=宇宙人の乗り物〕説をスカ論理で否定する!

三浦俊彦:東京大学人文社会系研究科美学藝術学専攻教授の本「論理パラドクス 論証力を磨く99問」に次のようなことが書かれています。

73
UFOの正体

 市民によるUFO目撃例をアメリカの空軍や科学者が1950~70年代にかけて徹底的に調査したことがある。
…それによると、目撃例(Fとする)のほとんどすべては鳥や金星、飛行機、飛行船、球状稲妻であると確かめられた。
が、正体が未確認のままの目撃例(Uとする)がいくらかは残った。そして全目撃例Fの中の未確認例Uの割合(U/F)は、Fが多い年も少ない年も、ほとんど同じだったという(たとえば1966年は突出してFの多い年で、「静かな年」だった1963年の3倍もの目撃例があったが、両年ともU/Fはほぼ同じで3パーセント程度だった)。
 さて、この事実は、〔UFO=宇宙人の乗り物である〕という説(「Uは宇宙人の乗り物の目撃例である」という説)を肯定する証拠になるだろうか、否定する証拠になるだろうか。

答え◎〔UFO=宇宙人の乗り物〕説を否定する証拠である。

 この答えをヒントとして、その理由をもう一度じっくり考えよう。Uは宇宙人の乗り物を目撃した例なのだと仮定してみよう。次の2つの可能性が考えられる。
それぞれについて〔UFO=宇宙人の乗り物〕説否定の理由を考えてください。
(1)宇宙人は毎年同じくらいの頻度で地球に現れている。
(2)宇宙人は毎年同じくらいの頻度で地球に現れているのではなく、ムラガある。つまり、Uの多い年は多く現れた年である。

答え◎
(1)この場合は、Uの頻度が毎年ほぼ一定のはずだから、勘違いや錯覚を含めた全目撃例Fの多い年にはU/Fは減り、Fの少ない年にはU/Fは増えているはずである。ところが、U/Fが毎年ほぼ一定だから、矛盾している。

(2)この場合は、訪れの多い年にはU/Fは増え、訪れの少ない年にはU/Fは減るのが自然だ。しかし、U/Fが毎年ほぼ一定ということは、宇宙人の来訪数の増減に合わせて、人々の間違いの数も増えたり減ったりしていることになる。地球人1人1人の錯覚が、宇宙人の事情にそれほどうまく同調できるのはどうしてだろう?
 逆に考えると、人々がよく見間違いをする年(国際的軍事危機や異常気象やテレビ番組の影響か)にはそれに合わせて本物の宇宙人も同比率で多く飛来してUを増やし、見間違いの少ない年(SF以外のエンタテイメントがヒットした年か)には宇宙人も飛来を控えてUを減らしていることになる。地球の事情に宇宙人がどうしてそれほど迎合するのだろう?ともに不合理である。

 (1)と(2)のいずれにしても、U/FとFの増減との間に相関関係がないという事実は、Uが徹底して「地球の事情」に他ならないことを示している。これは〔UFO=宇宙人の乗り物〕説を否定するものである。
 実際には…U/Fは毎年ほぼ同じというわけでなく、調査の徹底度や諸事情によって上限10%程度まで変動があったというが、全目撃例Fの増減とは相関関係がなかった。U/FとFとの間に相関関係がないというだけで、〔UFO=宇宙人の乗り物〕説を否定するのには十分である。


さらに、「(1)の場合」については、三浦氏の掲示版に「やや詳細」な解説が書かれています。


宇宙人の乗り物の飛来数が一定、空を見上げる頻度も一定とすると、宇宙人の乗り物の目撃数も一定で、それをaとします。そのような年を「標準の年」と設定しましょう。
さて、宇宙人の乗り物以外の原因による目撃数を、Fのうちfとします。(F=f+a)
調査の結果未確認にとどまった目撃例で、宇宙人の乗り物以外の原因によるものを、Uのうちuとします。(U=u+a)

標準の年には、U/F=(u+a)/(f+a)です。

次に、空を見上げる頻度が一定でないとし、標準の年に比べて人々が空を見上げる頻度がk倍である年を考えます。
 U/F=(ku+ka)/(kf+ka)
となるでしょう。
これは結局、 U/F=(u+a)/(f+a)
kの値に関わらず、一定です。
だから、「空を見上げる頻度」はU/Fに影響を及ぼさず、無視してかまいません。
換言すれば、見上げる頻度はどの年も同じと考えてかまいません。

U/Fに影響を及ぼしうるのは、本文で問題にしたように、空を見る頻度に対するUFОの目撃数です。
つまり、「目撃しやすさ」が変わると、U/Fが変わるはずです(宇宙人の乗り物が一定飛来数で実在する場合)。
それを次に検証しましょう。(これは本文に述べたことと同じですが、以下、やや詳細に)
社会不安のある年には、目撃しやすさが増えます。
標準年に比べて目撃しやすさがm倍である年は、見上げる頻度を一定とすると、

U/F=(mu+a)/(mf+a)
ちなみに、aは見間違えなくてもUFОと見えるので、mの影響を受けません。

mが小さければ小さいほど、U/Fはa/a=1に近づき、大きくなります。
mが大きければ大きいほど、U/Fはu/fに近づき、小さくなります。

mが大きい年というのは(他の条件が同じなら)端的に目撃例が多い年ですが、そのような年にU/Fが小さくなるという相関がみられないということは、本文で述べたように、「宇宙人の乗り物」は存在しない(少なくとも目撃されていない)ことの証拠になるわけです。

「空を見上げる頻度の高い年」「目撃例の多い年」「目撃されやすい年」
 ↑それぞれ厳密には別の概念なので、理論的には三つを区別する必要がありますね。
ただ、現実にはこの三つは一致するでしょう。(「空を見上げる頻度の高さ」は「社会不安の強さ」によって決まり、不安は錯覚を引き起こしやすいので「目撃されやすさ」と連動する、という具合に)

以上は、問題73・答(1)と同じことを詳しく述べたものです。
問題73は、「目撃されやすい年」のことを理論的には述べているわけですが、
現実には「空を見上げる頻度の高い年」「目撃例の多い年」に適用できるわけです。
ただし、本来は区別しなければなりません。


■ それでは、三浦氏のひり出したこの式

 U/F = (mu+a)/(mf+a)

に、実際に数値を入れてみて、三浦氏の「論証」を検証してみましょう。
まずは、

論証(1)

宇宙人は毎年同じくらいの頻度で地球に現れている、
とするならば、
m が小さければ小さいほど、U/F は a/a = 1 に近づき、大きくなる。
m が大きければ大きいほど、U/F は u/f に近づき、小さくなる。
m が大きい年というのは端的に目撃例が多い年であるが、そのような年に U/F が小さくなるという相関がみられないということは、宇宙人の乗り物」は存在しない(少なくとも目撃されていない)ことの証拠になる。


この「論証」、果たして正しいでしょうか。

次の表は、ある3年間(Y1~Y3)の目撃例の推移を表しています。
UFO_表(1)_n
Ry は、着目する年の U/F が、Y1 の U/F を基準して何倍になったか、つまり比率を表しています。
例えば 着目する年が Y2 の場合は、
(Y2のU/F) / (Y1のU/F)
 = 0.0268 / 0.0300
 ≒ 089%
尚、留意してほしいのは、我々が知ることができるのは、白いセルの中の数字のみだということです。

では、まず、
Y1年とY2年の目撃例に着目。
Y1年もY2年も、同じ数の「宇宙人の乗り物」(a = 20)が目撃されています。
また、
Y1年 → Y2年では m が倍になっただけです(u、f は全く変わりなし)。
すると、三浦氏のいうように、Y2年の U/F は、Y1年の U/F より小さくなります(Ry = 0.89)。

(  ̄o ̄)y-~~ ホ~ラネ
三浦教授の仰るとおり、Y1、Y2の両年において「宇宙人の乗り物」の目撃数は同じだった"から"、m が3倍になったら U/F は小さくなったんだ。
でも、現実には「1966年は突出してFの多い年で、「静かな年」だった1963年の3倍もの目撃例があったが、両年ともU/Fはほぼ同じで3パーセント程度だった」ってことだから、このこと(現実にはU/Fはほぼ同じであったこと)は、三浦教授の仰るとおり、「〔UFO=宇宙人の乗り物〕説を否定する証拠」なんだよ。

ある年からある年にかけて、m のみが倍になって、u、f は"全く"同じなら、確かにそうです。
しかし、
現実には u、f が、ある年とある年で"全く"同じということは およそ有り得ません。
そこで、
今度は Y2年とY3年を比較してみましょう。
Y3年も Y2年と同じ数の「宇宙人の乗り物」が目撃されています(a = 20)。
ただ、
Y2年 → Y3年では、u が僅か13件増えた(100 → 113)、
これにより u/f は僅か0.33%増えた、
つまり、f 100件あたりの u がたった 0.33件増えた、
つまり、Y2年では f 100件あたり u 2.51件だったのが、Y3年では f 100件あたり u 2.84件に増えた"だけ"です(f、m は全く変わりなし)。
にも関わらず、
Y3年の U/F は、Y2年の U/F より大きくなり、Y1年の U/Fと同じになります。
つまり、
Y1年とY2年の間で m が3倍になったことにより、せっかく検出できた「宇宙人の乗り物の目撃」に起因する U/F の変動は、u/f のわずかな「ゆらぎ」よる逆方向の変動で、完全に打ち消されてしまう、ということです。
仮に Y2年のデータが紛失していて、Y1年のデータとY3年のデータのみを比較せざるを得ない、としたら、
三浦氏なら、地球侵略を目論む宇宙人には好都合なことに、「宇宙人は地球に飛来してい"ない"」という「事実」に反する結論を下します。

◎「論証(1)」の検証結果:
ある年とある年にかけて、
全く同じ数の「宇宙人の乗り物」が目撃されている場合に、
F:全目撃数 が約3倍になったとしても、
U/F には特に変動が見られないことも有り得る。
よって、
「U/F と F の増減との間に相関関係がないという事実」だけで、
「〔UFO=宇宙人の乗り物〕説を否定する」ことはできない。
なので、
「論証(1)」はデタラメである。

では、次、

論証(2)

宇宙人は毎年同じくらいの頻度で地球に現れているのではなく、ムラがある、
とした場合、
U の多い年は訪れの多い年で U/Fは 増え、訪れの少ない年には U/F は減るのが自然だ。
しかし、
U/F が毎年ほぼ一定ということは、宇宙人の来訪数(a)の増減と人々の間違いの数(f)の増減(m)が「うまく同調」していることになり、「不合理である」。
よって、「宇宙人は地球に飛来しており、その頻度にはムラがある」と仮定しても、現実(U/Fが毎年ほぼ一定)との矛盾が生じる。
よって、
現実には「U/Fが毎年ほぼ一定である」ことは、宇宙人の乗り物」は存在しない(少なくとも目撃されていない)ことの証拠になる。


これを、

 U/F = (mu+a)/(mf+a)

に沿って、(なぜか(2)については三浦氏は「詳しく述べ」てくれていないので)三浦氏の代わりに「詳しく述べる」ならば…

「宇宙人の乗り物の目撃例」:a の増減と「人々の間違いの数」: f の増減が同調しているとは考えられない以上、a の多い年では U/F は増え、a の少ない年には U/F は減るのが自然だ。
つまり、U/F の増減は a の増減と同調するはずである。
ところが、現実には「U/Fは毎年ほぼ一定」である。
ということは、少なくとも「a は増減していない」、ということである。
しかし、
すでに「論証(1)」において、
「U/F は毎年ほぼ一定」であるという現実は、
「宇宙人は毎年同じくらいの頻度で地球に現れている」ことを否定する、と結論した。
故に
「U/F は毎年ほぼ一定」であるという事実は、a は 0(ゼロ)つまり、U が徹底して「地球の事情」に他ならないこと(U = u)を示している。
これは〔UFO=宇宙人の乗り物〕説を否定するものである。

…ということです。
が、
この「論証(2)」も、果たして正しいのでしょうか。
次の表は、ある4年間(Y4~Y7)の目撃例の推移を表しています。
UFO_表(2)_n
Ry は、この表では、着目する年の U/F が、Y4 の U/F を基準して何倍になったかを表しています。
まず、
Y4年とY5年の目撃例に着目。
Y4年 → Y5年で「宇宙人の乗り物の目撃例」: a は 0 → 20 と増えています。
すると、三浦氏のいうように、Y5年の U/F は、Y4年の U/F より大きくなります(Ry = 1.16)。
ただし、これまた、「Y4年→Y5年で u、f、m は"全く"変わらない」という、およそ現実的でない条件付きでの話です。

では、今度は
Y4年と Y6年の目撃例を比較してみましょう。、
「宇宙人の乗り物の目撃例」:a は、やはり 0 → 20 と増えていますが、
U/F は 3.00%からまったく微動だにしていません。
しかし、
これは、「人々の間違いの数」: f が「宇宙人の乗り物の目撃例」:a の増加と同調して増加しているから、では"ありません"。
u と f が、それぞれ僅か20件ずつ減った( u: 120 → 100、 f: 4000 → 3980)、
これにより、u/f は僅か0.49%減った、
つまり f: 100件あたりの u が 0.49件減った、
つまり Y4年では f: 100件あたり u :3.00件だったのが、Y6年では f 100件あたり u 2.51件に減った"だけ"です。
つまり、f が a の増加とまったく同調してい"なく"ても、U/F は 3.00%からまったく微動だにしてい"ない"、ということです。
よって、この場合も、
Y4年 → Y5年の間で a が 0 → 20 になったことにより、せっかく検出できた「宇宙人の乗り物の目撃」に起因する U/F の変動は、u/f のわずかな「ゆらぎ」よる逆方向の変動で、完全に打ち消されてしまう、ということです。
仮にY5年のデータが紛失してしまっていて、Y4年のデータとY6年のデータのみを比較せざるを得ない、としたら、
三浦氏なら、地球侵略を目論む宇宙人には好都合なことに、「宇宙人は地球に飛来してい"ない"」と「事実」に反する結論を下します。

◎「論証(2)」の検証結果:
ある年とある年にかけて、
「宇宙人の乗り物の目撃」が増加したとしても、
U/F には特に変動が見られないことも有り得る。
よって、
「U/F と F の増減との間に相関関係がないという事実」だけで、
「〔UFO=宇宙人の乗り物〕説を否定する」ことはできない。
なので、
「論証(2)」もデタラメである。

(; ̄o ̄) ウ~ン…
ち、ちょっと待て、遅読猫。
お前の仮定した「宇宙人の乗り物の目撃例」が20件ってのは ちょっとばかし少ないんじゃないか?
件数がもっと多くないと、三浦教授におっしゃる「U/F の変動」は検知できないんだよ、たぶん…。

いやいや、
三浦氏は「Uが"徹底して"「地球の事情」に他ならない」と言っています。
これすなわち「Uには"全く"「宇宙人の乗り物」は含まれていない」という事です。
よって、私の「宇宙人の乗り物の目撃例」が20件という仮定に なんの問題もありません。

■ と、ここまで、三浦氏自身がひり出したこの式

 U/F = (mu+a)/(mf+a)

に従ったして"も"、三浦氏の「論証」は間違っていることを示しました。
が、
そもそも、この式は「現実」を正しく反映しているのでしょうか?

以降、話を分かり易くする為に、三浦氏の言う「人々が空を見上げる頻度」:k は、一旦脇に置いておきます。
つまり、しばらくの間は「見上げる頻度はどの年も同じ」として話を進めます。
そして、三浦氏は m を「目撃しやすさ」としていますが、これを分かりやすく「見間違いやすさ」と言い換えます。
もし Ys年 → Ym年で m が増加した場合、その増加分イコール「Ys年には「宇宙人の乗り物」と見間違われていなかった"もの"が、Ym年には「宇宙人の乗り物」と見間違われてしまった」目撃例、ということです。

さて、ここで、
ナショナルジオグラフィック ニュースに載った、
オーソン・ウェルズの『宇宙戦争』がラジオで放送されたとき、パニックが起きて、
「当時の報道によると、グローバーズミルに住むウィリアム・ドックという人物は、サンダーズさん宅近くの大きな給水塔を火星人の宇宙船と勘違いし、塔に向かって発砲したという」
(*1)を元に私が作った譬え話をひとつ。

『宇宙戦争』がラジオで放送される年以外の年「静かな年」(Ys)には、全米において警察機関への火星人の歩行マシンの目撃通報(f)が平均1件ある(ほぼ、小説の『宇宙戦争』を読んだことのある酔っぱらいによるもの)とします。
ところが、『宇宙戦争』がラジオで放送された問題の年(Ym)には、パニックを起こした人達(+ただの酔っぱらい)からの同様の通報が20件あったとします。
つまり、Ys年 → Ym年で、f は 20倍になった、ということです。

では、
Ys年 → Ym年で、「調査(するまでもないとは思いますが)の結果未確認にとどまった目撃例」:u はどうなるでしょうか?
Ys年の u は、「調査の結果」、当然ながら、酔っぱらいが目撃したものは「給水塔」だったと、確認されて、0(ゼロ)になるはずです。
とすると、Ym年の u も 0(ゼロ)になるはずです。
つまり、「調査の結果未確認にとどまった目撃例」:u はまったく変動しません。
なぜなら、Ys年の1件の f が調査の結果「給水塔」だと確認されたのであれば、たとえ Ys年 → Ym年で f が20倍に増えたとしても、その20件の f 全て"も"「給水塔」である、と確認されるはずだからです。
もちろん、
これは極端な例ですが、本質的には全く同じことが「UFO の目撃例」にも起こっているはずです。
例えば、「見間違いの少ない年」Ys年には、「金星」が「宇宙人の乗り物」と見間違われた目撃例が1件だった、とします。
そして、なんらかの理由で「人々がよく見間違いをする年」Ym年では、「金星」が「宇宙人の乗り物」と見間違われた目撃例が 20件だった、とします。
ところが、
この「金星」による f の増加分は、調査の結果、結局は全て「金星」と確認されてしまうので、u の増加にはまったく寄与しません。
このように、
「見間違いの少ない年」Ys年 →「人々がよく見間違いをする年」Ym年で、
仮に f が3倍になったとしても、
その増えた分は、Ys年だったなら そもそも「見間違われ」"なかった"はずのものなので、
「徹底的に調査」をすれば それら全てが「宇宙人の乗り物」では"ない"と確認できるはずです。
よって、結局 Ys年 → Ym年で、u はほとんど同じはずです。
これを式で表すと

 U/F = (u+a) / (mf+a)

と言うことになり、
a が u や f に比べて小さい場合、
m が3倍になれば U/F は 約1/3 に、m が1/2倍になれば U/F は 約2倍 に、
つまり、m と U/F はほぼ反比例するはずです。
しかし、
現実には「U/Fは毎年ほぼ一定」ということですから、
「m も毎年ほぼ一定」ということになり、
よって、三浦氏のいう「人々が"よく"見間違いをする年」などというものは(少なくとも「徹底的に調査した、1950~70年代にかけての期間」には)現実にはなかった、
ということです。
なので、
m は不要であり、さらに、先に一旦わきに置いていた「人々が空を見上げる頻度」:k も考えに入れると、

 U/F = k(u+a) / k(f+a)

さらに、
a をどんな数に仮定しようと、上で検討したように、なんにも分からない以上、
U を u と a に、F を f と a に分けて考えても まったく無意味なので、
u、f、a も御払い箱にして、
さらに、
U と F それぞれに、「標準の年」のものなら"s"、「着目する年」のものなら"n"を付けることにすると、
結局

 Un/Fn = k Us / k Fs

で、
目撃例:F の増減は、「人々が空を見上げる頻度」:k "のみ"に依存し、よって、比較する年の間で「調査」の精度が格段に向上したというようなことがない限り、必然的に、「調査をしても正体がわからないもの」:U も k "のみ"に依存します。
それ故、現実に、
「1966年は突出してFの多い年(n)で、「静かな年」だった1963年(s)の3倍(k)もの目撃例があったが、両年ともU/Fはほぼ同じで3パーセント程度だった」訳です。

これは、
ある海辺から採取した1kgの砂(Fs)を、ある篩(ふるい)に掛けたところ、その内(小石など)3% = 30g(Us)が篩に残った場合、
今度は同じところから採取した3kgの砂(Fn)を同じ篩に掛ければ、その内の 30 × 3 = 90g(Un) が篩に残るのとまったく同じこと。
で、
当然のことながら、
篩に掛けた砂の量(F)が増減しても、篩に掛けた砂の量(F)と篩に残った小石の量(U)の比(U/F)が毎回「ほぼ同じで3パーセント程度」であることは、篩に残った小石の中に"隕石"が在ることを「否定する証拠」にはならないし、肯定する証拠にもなりません。

よって、
問73 の
"正しい"答 ◎ 〔UFO=宇宙人の乗り物〕説を肯定する証拠/否定する証拠、どちらでもない。

いずれにしろ、
三浦氏の「論証」とやらは、中二病レベルの、まったくの机上の空論。
こんなんで、よくも、まぁ、「論証力を磨く」などと言えるもんです。



(*1):
ナショナル ジオグラフィック News 2013.10.31 「「宇宙戦争」、パニックはなかった?」
尚、引用元の記事には「給水塔を火星人の"宇宙船"と勘違いし」とありますが、これは三本脚の火星人の歩行"マシン"の間違いです。この"マシン"は火星人が地球に着いてから作ったもので、また 宙に浮くわけでもないので、いかなる意味でも「宇宙船」ではありません。

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残りモノには福はない?

「残りものには福がある」って常に信じちゃだめよって問題です。

2本のあたりと4本のはずれがあります。
今から二人で交互に引いていきます。引いたクジは戻しません。
あたりを引いたら終了です。
最終的に先行で引くひとがあたりを引く確率は?


この問題、実は私、恥ずかしながら、ぱっと見、
「ん? 先攻だろうが/後攻だろうが、どっちが有利ってことはないから、1/2じゃないの?」
と思ってしまったんですが、
地道に計算してみると、

 2/6 + (4/6)(3/5)(2/4) + (4/6)(3/5)(2/4)(1/3)
 = 3/5

で、先攻が有利であることが分かります。
しかし、
私は この計算式だけでは、"なぜ"「先攻が有利になる」のか?、そのイメージを掴むことができませんでした。
そこで、次のような表を使って、この"なぜ?"を考えてみました。

 F(先攻):1 3 5
 L(後攻):2 4 6

1、2、...、6 はクジを引く順番です。
そして、当たり:o / はずれ:x を「順番」に割り振っていくと、次の3パターンが考えられます。

■ 当たりの2本が先攻・後攻のどちらかに偏る場合
 (●は先に当たりを引いた方、"勝ち"です)

  F:o o x    F:o x o    F:x o o
  L:x x x    L:x x x    L:x x x

  F:x x x    F:x x x    F:x x x
  L:o o x    L:o x o    L:x o o

■ 先攻:当たり→後攻:当たりの場合

  F:o x x    F:x o x    F:x x o
  L:o x x    L:x o x    L:x x o

■ 上記以外の場合

  F:o x x    F:o x x    F:x o x
  L:x o x    L:x x o    F:x x o

  F:x o x    F:x x o    F:x x o
  L:o x x    L:o x x    L:x o x

以上、割り振り方(ケース)は全部で 62 = 15通り
と、ここで、
「先攻:当たり→後攻:当たりの場合」のみで、先攻・後攻の勝ち負けの対称性が壊れていることに注目してください。
よって、
先攻が勝つ(先に当たりを引く確率)は
全ケース数(15)と「先攻:当たり→後攻:当たりの場合」のケース数(3)のみを使って
(つまり、「先攻:当たり→…」以外のケースは上のようにいちいち羅列する必要はなかった、ということです)

 ((15-3)/2 + 3)/15 = 3/5

と計算できます。

以上のイメージが掴めれば、
「…引いたクジは戻しません。 あたりを引いたら終了です」
といったクジの場合、
当たりが(2本以上の)何本であれ、クジを引く参加者が何人であれ(*1)
なるべく先に(2番目よりは1番目、3番目よりは2番目…)クジを引く方が有利となることが分かります。

ちなみに、

1本のあたりと3本のはずれがあります。
今から4人で交互に引いていきます。引いたクジは戻しません。
あたりを引いたら終了です。
先行で引くひとがあたりを引く確率は?


このように、クジの総数と参加者の数が同じで、かつ 当たりが1本の場合は、クジを引く順番によって、有利になったり不利になったりしないことは誰でも承知していることですが、
それは、当然

  1:o    1:x    1:x    1:x
  2:x    2:o    2:x    2:x
  3:x    3:x    3:o    3:x
  4:x    4:x    4:x    4:o

参加者の勝ち負けには このような対称性があるからです。



(*1)
クジの総数が参加者の人数の倍数で"ない"場合は、倍数で"ある"場合に比べて、さらに対称性が壊れて有利さの差も大きくなることに留意にこと。

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