ドイツ首相のメルケルは、3月18日に、実に感動的で、しかも明確な内容の演説を行なった。
まず、「すべての国民の皆さんが、この課題を自分の任務として理解されたならば、この課題は達成される、私はそう確信しています。ですから、申し上げます。事態は深刻です。(中略)第2次世界大戦以来、我が国においてこれほどまでに一致団結を要する挑戦はなかったのです」と、問題の深刻さを規定した。
そして、つぎに、「公的な生活を中止すること」が必要だとした。
ただし、「理性と将来を見据えた判断を持って国家が機能し続けるよう、供給は引き続き確保され、可能な限り多くの経済活動が維持できるようにします。」とした。
さらに、「経済的影響を緩和させるため、そして何よりも皆さんの職場が確保されるよう、連邦政府は出来る限りのことをしていきます。企業と従業員がこの困難な試練を乗越えるために必要なものを支援していきます。そして安心していただきたいのは、食糧の供給については心配無用であり、スーパーの棚が1日で空になったとしてもすぐに補充される」と、政府の役割を約束した。
最後に、「私たちがどれほど脆弱であるか、どれほど他者の思いやりある行動に依存しているかということ、それと同時に、私たちが協力し合うことでいかにお互いを守り、強めることができるか、ということです。状況は深刻で未解決ですが、お互いが規律を遵守し、実行することで状況は変わっていくでしょう」とした。
いま国家の指導者がなすべきことは、「この危機と恐怖に耐えぬいてほしい、私も全力を尽くす、と自分の言葉で訴えることだ。メルケルのこの演説は、すべてのドイツ国民の心を動かすものだった。
こうした指導者を持つドイツ国民を、心底羨ましく思う。
言葉だけではない。ドイツの医療は機能し続けており、死亡率は欧米諸国の中で目立って低い。