コロナウイルス禍で、さまざまなことがあからさまになった。政治家の資質もそうだ。一方の極に、明確な哲学に基づき、感動的な言葉で国民に犠牲と協力を求め、政府が行うことを約束したドイツ首相のメルケル。そして、もう一方の極には……
国が存亡の危機に直面した時、先頭に立って国民を奮い立たせた指導者は、歴史上、何人もいる。
1588年7月、イングランド沖に、スペイン無敵艦隊が、イングランドに神の鉄槌を下すべく、その威容を現した。エリザベス女王は、捕らえられて火炙りにされることを覚悟したに違いない。
彼女は、鎧に身を固め、捕虜になる危険を冒して最前線におもむき、全軍の先頭に立った。
そして、歴史に残る演説(ティルベリー演説)を行なった。
これを聞いた兵士たちは、たとえ死んでも悔いはないと思ったに違いない。