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ESG視点の経営優先テーマ「マテリアリティ」
価値創出とリスク低減を図る9テーマ
経済価値と社会・環境価値を同時に拡大するために、ESG(環境、社会、ガバナンス)視点で優先して取り組むテーマ「マテリアリティ」を、次の3層に分けて、計9テーマ特定しています。
- (1)社会価値を創出する2020中期経営計画成長領域【2テーマ】
「2020中期経営計画」の成長領域をESG視点で整理したもの - (2)成長に向けた変革のエンジンとして取り組むテーマ【2テーマ】
社会に対するリスクの最小化はもとより、経済価値と社会価値を最大化するためのエンジンとなるテーマ - (3)持続的な成長実現の鍵となるテーマ【5テーマ】
「2020中期経営計画」の実行はもとより、社会価値創造型企業の基盤として長期にわたり、経営全般で取り組むべきテーマ
SDGsに対する考え方
ICTはさまざまな課題に対応できるポテンシャルを持っていることから、お客さまをはじめとする多様なステークホルダーと対話・共創することで、SDGsのすべての目標に、少なからず貢献できると考えており、会社全体として取り組むSDGsは特定していません。
また、SDGsの活用にあたっては、SDGsの目標を事業活動に紐づけるだけではなく、取り組む事業の背景にある社会課題を、目標のターゲット番号(1.1、2.3といった、各目標に掲げられている番号)までブレークダウンして語り、私たちの事業がそのターゲットの解決に向け、どのくらい進捗しているかを検証しています。
社会価値を創出する「2020中期経営計画」の成長領域
「2020中期経営計画」で成長事業として位置づけた「NEC Safer Cities」「持続可能なスマートサプライチェーンの形成」「安全・快適なコネクテッドカーの実現」を、ESG視点では「NEC Safer Cities」と「NEC Value Chain Innovation」として整理しました。
NECの製品・サービスを広くお客さまにご利用いただくことによって、私たちが提供できる社会価値も大きくなっていくとの考えから、「2020中期経営計画」で掲げた財務指標を活用して進捗を測っています。一方、製品・サービスが社会にどのような価値をもたらすことができるのかを定量的に示すことにも取り組んでいます。
NEC Safer Cities
都市への急速な人口集中により、経済の発展や生活・文化の多様化が新たな価値を創造する一方で、犯罪やテロなどの増加が懸念されます。NECは、生体認証や映像解析を含むAI、IoT関連の先端技術を活用し、人々がより自由に、個人の能力を最大限に発揮して豊かな生活を送ることのできる、安全・安心で、効率・公平な都市の実現を支えます。
進捗を測るための非財務指標と2018年度の取り組み
2020年度に向けて掲げる財務指標である、海外売上2,000億円をマテリアリティの指標としています。
2018年度は「NEC Safer Cities」が社会に与える価値を定量的に測定できるかを、「Public Safety」と、「Digital Government」の2領域の事業事例をモデルケースに、事業部門主体で検討を進めました。
今後もモデルケースの分析を進め、事業領域単位での社会価値を表現できるよう、検討を継続します。
NEC Value Chain Innovation
食料廃棄や労働力不足、消費環境の変化、多様化する脅威など、社会や企業はさまざまな課題に直面しています。
NECは、最先端のデジタル技術を活用し、お客さまとの共創活動を通じて、人やモノ、プロセスを企業・産業の枠を超えてつなぎ、新たな価値を生み出します。そして、地球との共生、企業の持続的な成長と人が豊かに生きる社会を支え、未来を創ります。
進捗を測るための非財務指標と2018年度の取り組み
サービスの開発・提供数を伸ばすことで、社会価値増幅を目指します。例えば、需給最適化を目指す「Value Chain Innovation」を推進することで、SDGsの目標12のターゲット12.3の「生産・サプライチェーンにおける食品ロスの減少」に貢献します。
2020年度までに日本国内において、「NEC Value Chain Innovation」をはじめとする成長分野で、850億円の売り上げ拡大を目標としています。
「NEC Value Chain Innovation」についても、「NEC Safer Cities」同様に、モデルケースの分析を進めます。
成長に向けた変革のエンジンとして取り組むテーマ
ステークホルダーとの対話・共創
お客さまや社会の価値観が常に変化する中、お客さまや社会にとって真に価値のある製品・サービスを提供するためには、さまざまなステークホルダーと対話し、共創するプロセスを、企業活動に組み込んでいく必要があります。
ステークホルダーとの対話を通じて、お客さまや社会の課題やNECの取り組みに対する社会の声に気づき、共に価値を創る仲間をつくり、共創へとつなげることで、NECが目指す「Orchestrating a brighter world」で描く世界を実現したいと考えています。
なお、対話や共創を推進することは、NECの事業活動に常に組み込むべきプロセスであるという考えに基づいて、非財務指標は設定していません。
また「サステナビリティレポート2019」では、その対話や共創の事例として、以下をご紹介しています。
イノベーション・マネジメント
創業以来、NECは“ベタープロダクツ・ベターサービス”をモットーに、技術力を培ってきました。社会は常に変化しており、求められる技術も変容しますが、時代の変化を適切に捉えたイノベーション・マネジメントを実行することで、社会が求める技術を、製品・サービスとして、社会価値を創出していきます。
NECは継続的なイノベーション創出のため、売上収益の4%程度を研究開発に投資しています。一方、イノベーション・マネジメントにより、どれだけ社会価値が生まれたかを測るための非財務指標は設定していません。これは、イノベーション・マネジメントによる社会価値創出効果が、技術が製品・サービスとして社会に価値を提供して初めて計測可能になる性質であると考えているためです。
持続的な成長実現の鍵となるテーマ
ガバナンス/コンプライアンス
NECは、1899年の創業以来、お客さまをはじめとする社会からの信頼を礎に事業活動を進めてきました。健全で透明性の高いガバナンス体制のもと、役員から従業員に至るまで、一人ひとりがコンプライアンスを最優先にして、継続的に業務を遂行することが信頼につながると考えています。
特に、公正取引・腐敗防止をはじめとしたコンプライアンスの徹底は、信頼の獲得とその維持に不可欠な取り組みです。NECは、バリューチェーンを構成するお取引先やパートナーとも協力してコンプライアンスを徹底しています。
また人権課題にも最優先に取り組んでいます。NECの役員と従業員全員に「NECグループ人権方針」を適用するとともに、NECの事業活動のバリューチェーンの中で、関係するステークホルダーの人権に負の影響を与えた場合には、その救済、またはそれに準じた協力を行うよう努め、再発防止に取り組みます。
さらに、起業の精神である“ベタープロダクツ・ベターサービス”をモットーに長年にわたり取り組んでいる製品・サービスの品質の維持・向上も、経営の最優先課題のひとつとして継続して取り組んでいます。
進捗を測るための非財務指標と2018年度の取り組み
コンプライアンス違反の撲滅に向け、役員から従業員に至るまで、一人ひとりが真にコンプライアンスを最優先にした行動をとれるよう、2018年度は「NECコンプライアンスの日」に合わせてさまざまな施策を実施するなど、より徹底した社内啓発および教育を行い、以下の指標を達成しました。
- 指標:重大なカルテル・談合行為の発生件数
- 2018年度目標:0件
- 2018年度実績:0件
一方、ガバナンス体制については、執行体制の刷新や、指名・報酬プロセスの見直しなどを行いましたが、投資家など、社外から、より一層の改善を求められており、今後も社外有識者をはじめ、各方面のステークホルダーとの対話をとおして、経営の透明性を図ります。
気候変動を核とした環境課題への対応
気候変動によってもたらされる負の影響は、異常気象の発生による自然災害の増加、水資源の枯渇、食糧需給への影響など、多岐にわたります。
NECは、2050年に向けて自社の事業活動に伴うCO2排出量を実質ゼロにしていくとともに、お取引先とも連携してサプライチェーン全体からのCO2排出量を削減することで、世界全体での温室効果ガスの削減に貢献します。
また、省エネ型の製品・サービス、洪水や土砂災害などの自然災害リスクに備えるソリューションをはじめ、気候変動を核とした環境課題へ対応する製品・サービスを提供することで、お客さまや社会の気候変動対策に貢献していきます。
進捗を測るための非財務指標と2018年度の取り組み
自社のサプライチェーン全体からのCO2排出量やリスクを最小化するだけでなく、緩和と適応の両面からICTを通じてお客さまや社会に対する提供価値を拡大することを目指しています。2018年度は、NECのサプライチェーン全体からのCO2排出量562万トン(前年度比約10%減)に対し、NECのICTが創出した価値が3,358万トン(CO2換算。前年度比約54%増)と約6倍となり、前年度(3.5倍)と比べ大幅に増えました。これは、サプライヤーに対する取り組みを強化したことと、国内子会社からの災害対策関連ソリューション提供数が増えたことによるものです。
- 指標:サプライチェーン全体のCO2排出量に対するCO2排出削減貢献量
- 2020年度目標:5倍
- 2018年度実績:6倍
また、2018年10月には、「2030年度にCO2排出量を33%削減(2017年度比。Scope1,2合計の絶対値)」という目標に対し、SBT*の認定を受けました。
- *Science Based Targets(SBT):パリ協定の2℃目標と科学的に合致した企業のCO2排出削減目標
加えて、2018年7月にはTCFD*への賛同も表明しました。TCFD提言を踏まえ、引き続き気候変動リスクへの対応および気候変動に資する事業活動を推進していきます。
- *Task Force on Climate-related Financial Disclosures(TCFD):気候関連財務情報開示に関する在り方の提言
社会感度の高い人財育成
お客さまをはじめとする多様なステークホルダーとの対話・共創をとおして、社会のニーズや潜在的な課題をいち早く察知し、スピード感をもって課題解決に貢献する製品・サービスを提供できる“人財”を育成することにより、多様な価値観を受け入れ、社会価値を創造し続ける組織風土の醸成を図っています。
進捗を測るための非財務指標と2018年度の取り組み
社会感度の高い“人財”を育成し、その人財を核に社会価値を創出できているか、スピード感のある組織風土が醸成されているかを、以下の指標で確認しています。
- 指標:
会社が、多様な価値観を受け入れ、社会価値を創造する方向に変革している実感を持つ従業員比率 - 2018年度目標:
NECグループの従業員に対する意識調査の設問を見直して、2020年度に向けた具体的な目標値を設定する - 2018年度実績:
NECおよび国内・海外子会社の従業員を対象に、年に1回サーベイを実施。変革の実感について「強くそう思う」「そう思う」と回答する比率を2018年度23%から、7%アップの30%に上げることを2019年度の目標として設定
2019年度は、従来から実施していた部長クラス以上を対象とした社会価値創造塾に加え、マネージャークラス以下を対象とした社会課題体感型プログラムを新設し、より幅広い層の従業員に社会課題を学ぶ機会を提供するほか、人事制度改革、スマートワーク、従業員との対話を進め、インクルージョン&ダイバーシティを推進することで、従業員が変革を実感できる環境を整えます。
社会受容性に配慮したプライバシー
AIやIoTは、人々の生活を豊かにする反面、その使い方によってはプライバシー侵害や差別等の人権課題を生み出す恐れがあります。
2018年5月から施行されたEUの「一般データ保護規則(GDPR)」への対応にとどまらず、国や地域、文化によって捉え方に違いのあるプライバシーや、AIの活用によって助長される可能性のある差別などの人権課題に配慮した製品・サービスを開発・提供することで、社会への負の影響を最小化するだけでなく、その取り組みをとおして社会価値を最大化していきます。
進捗を測るための非財務指標と2018年度の取り組み
関連法令などの遵守はもとより、プライバシーに配慮した製品・サービスの提供を、お客さまやパートナーと連携して推進するため、以下の指標を設定しました。
- 指標:
- (1)人権、プライバシーの観点から取り扱いが難しいケースに関し、マルチステークホルダーとの対話を実施
- (2)「Human Rights by Design」*に基づく研究、商品開発、サービス提案への織り込み数
- *プライバシーや公平性など人権尊重の考え方をバリューチェーンの各プロセスに組み込むこと
- (1)
- 2018年度目標:
- (1)四半期に1度実施する
- (2)2020年度に向けた具体的目標値を設定する
- (1)
- 2018年度実績:
- (1)社外有識者(大学教授や弁護士など)や生活者との、AIやデータ利活用とプライバシーや人権をテーマとした対話を実施(計5回)。さらに、「NECグループ AIと人権に関するポリシー」(以下、全社ポリシー)の策定過程においても、社外有識者(NPO、研究機関、大学教授、弁護士など)との対話を実施
- (2)「Human Rights by Design」に基づくデータ保護関連の技術研究、データ流通関連の実証事業を受託・遂行
- (1)
2018年度は、本マテリアリティを推進していく組織として「デジタルトラスト推進本部」を新設したほか、2019年4月には、NECグループが社会実装や生体情報をはじめとするデータの利活用に関する事業を推進する際、人権の尊重を常に最優先なものとして念頭に置き、それを⾏動に結びつける指針となる上述の全社ポリシーを策定・発表しました。
今後は以下を指標を設定し、2019年度は、マルチステークホルダーとの対話を継続し、全社ポリシーを踏まえた取り組みをチェックするほか、全社ポリシーの考え方を、関連事業のフレームワークへ組み込んでいきます。
- 指標:
「NECグループAIと人権に関するポリシー」の浸透と、事業活動への組み込み推進(マルチステークホルダーとの対話を含む)
また、全社ポリシーの浸透に加え、研究所を中心に、アカデミアとのイニシアチブも活用し、秘密計算技術、匿名化技術、公平性に配慮した顔認識技術など、NEC独自の技術力の強化を図ります。
ICTの可能性を最大限に広げるセキュリティ
セキュリティもプライバシー同様に、NECが事業活動をとおして安全、安心、公平といった価値を社会に届けるため、お客さまやお取引先などを含むバリューチェーン全体で取り組むべきテーマです。
NECでは、特に「情報セキュリティ」「サイバーセキュリティ」の領域で、お客さまや社会が安心してICTの恩恵を受けられるよう、リスクの最小化に向けた取り組みを推進しています。
進捗を測るための非財務指標と2018年度の取り組み
セキュアな情報社会の実現に向け、以下2つの指標でリスクの最小化と価値の最大化の進捗を測っています。
2018年度も、CIOおよびCISOを中心に、リスク最小化に向けた取り組みと、情報セキュリティおよびサイバーセキュリティ対策に資する製品・システム・サービスの提供を継続して推進しました。
- 指標:
- (1)サイバーセキュリティ対策強化と情報漏えいを防ぐための情報セキュリティ対策を確実に推進することで、重大セキュリティインシデントによる影響を極小化する
- (2)NECグループの情報セキュリティのレファレンス事例やセキュリティを組み込んだ製品・システム・サービスを訴求する
- (1)