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四方山話.144 《コロナ対策と経済のバランス―対策は公共事業》

2020年4月16日

 様々な問題を引き起こしている外出自粛や休業などの「経済抑制」は、「検査と隔離」という医療政策の不完全な代替物である。感染拡大を防ぐうえで「自粛や休業で人同士の接触を8割減らす」という政府目標と同じかそれ以上の効果を、大規模な検査と隔離で達成できる。
 検査で感染者の8割を検出できるなら、日本の全人口を1回検査して陽性者を隔離すれば、外出自粛などで接触を8割減らすのと同じ感染防止効果がある。感染者の6割しか検出できない検査精度だとしても、全人口を2回検査して1回でも陽性になった人を隔離すれば、接触が8割減るよりも大きな効果がある。
 もちろんこれは空想的な思考実験だ。しかし数字の上では、検査体制を拡充するためのコストは自粛や休業の経済損失よりはるかに小さいかもしれない。国内総生産(GDP)が10%下がれば経済損失は50兆円になる。これに比べれば、国民1億3千万人が検査を受け、陽性者を全員隔離する施設を準備するコストは1人平均20万円と過大に見積もっても総額26兆円である。
 経済抑制と検査・隔離のどちらか一方を取るのではなく、両方うまく組み合わせて最適な政策を作ることが必要だ。独ハーレ経済研究所のオリバー・ホルテンミュラー教授は、先週発表した論文で、感染症を組み込んだ経済モデルを分析し、短期間(数カ月)の経済抑制と長期間(年単位)の検査・隔離を続けることが最適な政策である、と結論付けている。
 コロナとの長期戦において、自粛などを長く続ければ大量の倒産と失業が発生する。検査と隔離を徹底し、経済抑制を緩和するのが世界の流れになるだろう。我が国も効果的な検査と隔離を長期間続ける仕組みづくりを急ぐべきだ。検査人材の育成、検査場所と器具の拡充、10万人規模の隔離場所確保の方策や財源を、医療界というより国全体で進める公共事業として議論すべきだ。

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