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子育て with KIDS 「すくすくねっと」

ブラジャー嫌がる小5娘

 四月から小学五年になる娘を持つ母です。だんだん胸が膨らみ始め、そろそろブラジャーが必要かと思うのですが、「まだ友達は誰もしていない」と嫌がります。もうすぐ薄着のシーズンなのでやきもきしています。良い方法はないでしょうか。(愛知県、38歳)

◇こうしたら!

 少しずつ暖かくなり、半袖姿の子どもも見かけるようになった。薄着のシーズンを前に「胸が膨らみ始めた小学五年の娘はブラジャーを嫌がるが、良い方法は?」という愛知県の母親(38)の悩みを三月二十日付で掲載したところ、多くの反響があった。体の変化に寄り添う下着選びには、親子のコミュニケーションが欠かせない。(吉田瑠里)

 「まだ友達は誰もしていない」というのが、相談者の娘がブラジャーを嫌がる理由だ。これに対し、岐阜県可児市の女性(37)は、自分の少女時代を振り返って投稿を寄せた。女性も胸が膨らみ始めた小学高学年のころ、ブラジャーを着けるよう言った母に、「恥ずかしくて嫌」と返した。すると、母は「薄着になった時に『触りたい』などと考える人がいるかもしれない」と説明。「そういう人から守りたい」という言葉に、「大切に思ってくれているのを感じ、うれしくて着けるようになった。なぜ着けてほしいのかをじっくり話せば通じる」とつづった。

          ◇

●無理強いしない

 同市の女性(33)は、買い物の際に下着売り場で、母が子ども用のブラジャーを見せてくれたのを覚えている。その後、小学五年で学校から行った旅行の入浴時、同級生がブラジャーをしているのを見たのをきっかけに、母に言ってキャラクター柄のブラジャーを買ってもらった。「子ども用のブラジャーがあることを教えた上で、無理強いせず気持ちが熟するのを待ってあげて」と勧める。

●抵抗ない形から

 相談者と同じような悩みを経験したという人たちからは、下着選びに関する助言が寄せられた。三重県四日市市の母親(49)は、胸の膨らみに気付き、小学五年の娘に子ども用ブラジャーを買ったが、締め付けが気になったのか、娘は「窮屈だ」と着けずじまい。そこで、胸の部分の布が二重になっていてバストトップが目立ちにくいキャミソールを与えたところ、抵抗なく身に着けたという。

 愛知県春日井市の女性(50)も、小学五年の娘にキャミソールタイプの下着を買った一人。「誰もしていないから」とブラジャーを着けるのは嫌がった娘も「これなら見た目が今までと変わらない」と納得した。六年生の夏には、背中で留める形ではなく、頭からかぶるタイプのブラジャーに変更。中学入学を機に、ワイヤ入りのホック付きブラジャーを使うようになった。体の変化に合わせ、少しずつ着ける下着を変え、気持ちを慣らしていったのが良かったようだ。

◇下着メーカーの講師に聞く 成長に応じタイプ選ぼう

 「成長には個人差があるので、ブラジャーをいつから着けるかは人によって違う」。そう話すのは、小学四年から中学三年の女の子と保護者らを対象に、下着メーカー「ワコール」が開く下着教室「ツボミスクール」で講師を務める谷本貴子さん(56)だ。

成長に合わせたブラジャーを紹介するワコールの谷本さん=京都市で

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 ワコール人間科学研究所は二〇一一年までの三十五年間にわたり、四~十八歳の約四千五百人を調査。「子どもの胸は初経前後の約四年間、三段階で変化する」という結果をまとめた。

 乳頭周辺が膨らむ第一段階は、初経の一年以上前の時期だ。乳頭が敏感になってチクチク痛んだり、服の上から乳頭の膨らみが目立つようになったりしたら、下着を見直す合図。この時期は、胸部が二重になったキャミソールやタンクトップなどがお薦めだ。

 第二段階は初経前後。胸の輪郭が分かるようになって、次第に硬くなる。この時期は胸の成長が著しいため、伸縮性のあるブラジャーがいい。胸が揺れることへの人の目を気にせずに済むため、必ず着用してほしいという。

 初経後一年から三年ほどまでが第三段階だ。胸は立体的に丸く、人生で最も硬くなる。この時期に着けたいのは、柔らかい樹脂製のワイヤ入りブラジャー。布だけでは支えられなくなった胸を、圧迫感なくしっかり支えるのが目的だ。大人用のブラジャーのワイヤが主に金属製なのは軟らかい胸の形を整えるためで、「子ども用とは役割もワイヤの形状も違う」と谷本さん。変化が大きい時期なので、三~四カ月に一度は採寸したい。

 同研究所の調査によると、十一歳で第二段階以上に胸が膨らんでいる子どもは一九八〇年は46%、二〇〇〇年は63%、一四年は75%と成長が早まっている。小中学校の養護教諭を三十一年間務めた金沢大准教授の森慶恵さん(54)によると、胸が膨らみ始めると痛い場合があることや、母親が少女時代に感じたブラジャーへの気持ちなどを、体が変化する前から話しておくと、子どもは心の準備ができる。さらに、タンクトップ型など抵抗の少なそうなタイプをあらかじめ用意しておけば、子どもが使いたいと思った際にすぐ着けられる。

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