はじめまして。
私は『武者所(むしゃどころ)』代表の金子 真と申します。
奇しくも本年正月(2020年1月11日)、東京都多摩地域の神社の蔵から譲受した廃材の中から、未登録刀剣5振を発見し、本物の日本刀であるとして登録審査に合格致しました。
その中で現時点で2振は、「加州清光」「和泉守兼定」の銘である事が判明しております。
しかしながら、錆や刃こぼれが著しく、拵や白鞘も失われた裸の状態にあります。
今現在、研究と保存について経済的にも環境的にも非常なる困難に直面しております。
今は、これらの刀剣が、それでもわざわざ現在の状況下、私の目の前に顕れてくれた意味を真摯に受け止め、発見直後から様々な方々に相談し、私共が出来る事を懸命に模索し続けています。
時代を越え、こうして確かに現代に顕れた刀剣たちが使用済みの状態で残されていたこと。
その事実を鑑み、「復元」や「写し」ではなく歴史的事象を証明する史料として、「保存」と「修復」に挑戦する決意を致しました。
発見された刀剣には、長い歴史の中で繰り返された修繕の形跡や傷などがその身に刻まれています。
劣化については修復が必要である一方で、刀剣に刻まれてきたその「跡」を見ていくことで、それぞれの刀剣が歩んできた歴史を読み解くこともできます。
例えば今回発見された『加州清光』は、⽬釘⽳が三つあり、銘が判別可能なギリギリの位置で茎が斜めに断たれています。⼑としては短く、脇差としては⻑め。それでいて反りが強く、樋(刀身に掘られた溝)が深くて研ぎ減りも激しく凄く軽い。
読み取れるのは、元々は⻑い太⼑であったものを鋒(きっさき)も茎(なかご)も短く切り詰めねばならぬ事情があった事、「清光」の銘部分を残す事に拘りがあった事、⼑としての使い勝⼿を失って尚も活躍を続けたのであろう事。
まるで新選組の⽣き様を具現化した様な⼑ではないですか。
⼀説には鋒が欠けたことで廃棄されたともされる未発見の沖⽥総司の愛⼑『加州清光』。
刀剣に刻まれた「跡」を読み解くことで、もしかしたらというイメージを重ね、想いを馳せられる。
ボロボロになっても尚、存在し続けている奇跡。
研ぎ直される事なく、刃こぼれ著しい姿のまま隠れていた真実。
この謎を解くには、より多くの情報を精査し、まだまだ研究を進めねばなりません。
そこで先ず「3Dデジタルアーカイブ」の導入により、この状態そのものを正確に後世の多くの人々に伝えたいと思い至りました。
実物を肉眼でご覧いただける機会に恵まれると良いのですが、とにかく特にこれらの刀剣の使用感(擦り上げ、刃こぼれ、そして謎の金属片の減り込んだ痕…)を可能な限り精密に記録に残して見て頂きたく、写真家の方や文化財保護に造詣の深い技術者の方に相談を持ち掛けました。
この刃こぼれだらけで錆が深く喰い込んでしまった錆刀をそのまま研ぎに出したら、果たして在りし日の輝きを再び取り戻せるのだろうか。
既に痩せ過ぎてしまっており、修復は残酷な結果を伴うのではないだろうかという不安も過ります。
ここで試し研ぎなどのため私生活の包丁の如く、私が研いでみるわけにも行かないのは重々承知致しております。
修復を御依頼させていただく職人の方の選択も含め、引き続き多くのご協力者様方の意見も参考にしながら、これらの刀剣の修復と保存に尽力したいと存じます。
発見された刀剣は修復し、美しい輝きを纏った姿で未来へと遺していきます。
その一方で、長い長い時間を傷つきながらも乗り越え、現代にまでたどり着いた今の刀剣の姿もまた、文化的価値そのものであり、それぞれの刀剣の歴史が刻み込まれた姿であります。
当プロジェクトでは、刀剣の救済のための修繕工程に先立ち、それぞれの歴史が刻み込まれた今の刀剣の姿を極めて高精細な3Dデジタルデータとして遺す3Dデジタルアーカイブ施策を実施します。
【 3Dデジタルアーカイブについて/ 株式会社StockGraphy 】
今回、3Dデジタルアーカイブにはフォトグラメトリという技法を用います。
フォトグラメトリでは、物体の写真をもとにコンピューターで3Dモデルを生成します。
「刀剣」はフォトグラメトリにとって非常に困難な題材でもあります。
刀剣の鏡面や鋒(きっさき)のごく薄い部分、これが技術的に極めて三次元情報を取得しづらい要素なのです。
しかし私たちは、これまで多くの技術者が研究を重ねてきた叡智を集結し、また独自に研究開発した技法を駆使し、そして丁寧な試行錯誤をひたすらに繰り返し、今までの技術的な限界を超えていくような高精度の3Dモデル生成に挑戦します。
世界中の人々へ、その手が届く体験として共有する
3Dデジタルアーカイブした『加州清光』と『和泉守兼定』の3Dデータは、スマートフォンからアクセスできる『刀剣AR』として全世界の人々へ公開します。
インターネットを通して配信される『刀剣AR』。
地域や国の境を超え、世界中のどこにいてもまるで展示場まで足を運んだように刀剣に迫り、お手元でじっくりと体験を深めることができます。
どのように傷つき、どのように錆び、どのように過去の人々が修復と改良を積み重ねてきたのか。刀剣が歩んだ歴史を示す跡をより多くの人々に、より高い解像度で伝え広めてまいります。
また、『刀剣AR』にはプロジェクトのご支援者全員の御名前が刻まれた『バーチャル石碑』を配置します。
刀剣に心魅かれる世界中の人々の気持ちが、実空間の距離を超えAR空間で繋がるようなプロジェクトを仕上げてまいります。
※『刀剣AR』の技術的な詳細要件についてはページ最下部に記載します。
発見された5振の刀剣たちの現実と向き合った時、その保存にかかる莫大な費用は勿論、急ぎ修復しなければ劣化が進んでしまうという状況と、維持にかかる手続きの煩雑さなどの時間的事情には、正直なところ非常に苦慮しておりました。
さらにはまさにその施策の最中、急激に世界的規模の災難となっている『新型コロナウイルス拡散防止のための自粛要請』による影響により、即座に新年度事業計画は凍結。
あまりに深刻な経済的困難に伴い、刀剣救済の予算確保との連動に向けたイベント等の試みは軒並み中止へと追い込まれており、今後の対応には困窮致しておりました。
それでもその苦悩の中で、不思議なほどの御縁が拡がり繋がっていき、多くの専門家の方々にもご協力の申し出を頂き、当初には想像もし得なかったような目標へ向けて歩み出すことが出来ました。
刀剣たちを救うためとの想いで始めたこの機会が今、刀剣たちの導きによってたくさんの人々を結びつけ、研鑽を積み重ねてきたそれぞれの力を昇華させる好機ともなっていると思えるのです。
今後プロジェクトを推進しながら、より広い分野の御提携、そして御支援を募らせて頂きたいと存じます。
何と、このクラウドファンディングのプラットフォームとなる『CAMPFIRE』様からも、即日で目をかけて頂き「新型コロナウイルスサポートプログラム」という特別枠での入稿許可を賜りました。
今回、刀剣修復保存の見積額の一部補填のために最低限の額面を目標額に設定しながら、「ALL-IN」方式を採用させて頂きましたのは、既に圧倒的な予算不足の状況下、御支援いただける皆様の気持ちを確実にプロジェクトに投入反映させて頂くため、絶対に実行するという強い決意の顕れでございます。
(CAMPFIRE様側からのご厚意により、「5%の決済手数料」以外は全てプロジェクト経費として直接活用可能となりました!)
そしてどうか今後のために御期待いただきたいのは、目標額を超えた先の新規プロジェクトの可能性についてです。
当初、コロナショックが深刻化する前には、イベント企画制作業の総力を以って様々なエンタメコラボによる大規模なステージイベントや刀剣鑑賞会なども発案しておりました。
また、今回発見した『加州清光』『和泉守兼定』については、拵を失い刀身のみの裸の状態なため、その刀剣修復過程の延長として「拵のデザインコンペ」等も広く募る企画も推進したいと考えております。
そしてこれら新発見されたばかりのロマンたっぷりの刀剣の認知度を高める事で、より研究を進める事が叶うと志向しております。
今回の5振のみならず、全国に数多眠っているであろう刀剣を救い、その歴史を継承していく活動の先で、多くの方々に希望を広めたい。
現在この世界に生きる私共に託された、奇跡の刀剣たち。
この難局に立ち向かい、皆さまと一緒に歴史を守らせて下さい!
私たち『武者所』とは、全時代・全地域に対応した郷土史顕彰の企画制作活動を展開している団体です。
エンタメ表現と歴史考証の乖離を抑え、硬軟織り交ぜた演出を得意とし、イベントのみならず、神事祭事・学校行事・テレビ番組等、多くの公の場で実績を積んでおります。
制作参画例:『お城EXPO』『ひの新選組まつり』『北条早雲武者隊』『A応Pのあにむす!!』『福島県サムライツーリズム』等
青渭神社(あおいじんじゃ)の森谷と申します。
例大祭にて古事記などの紙芝居の読み聞かせ、市指定文化財の青渭獅子舞の解説、子供食堂などの活動に取り組んでおります。
当社から発掘された刀剣が、歴史と繋がるなど夢のようです。
燃えよ剣!
集まれ皆様の想い!
日本の歴史的文化財の保存にご協力を!
この御時世に一筋の光。
こういう機会が必要ですね。
株式会社StockGraphyの坂口と申します。
私たちはインターネット上で動作する3DCG技術の開発をしておりまして、本プロジェクトではテクノロジー面でのご支援を申し出ております。
また金子さんのことは20年ほど前から存じ上げております。金子さんという人は、武者と歴史への情熱と真摯がヒトの形を成したような方だと感じています。
以前は虎ノ門ヒルズの安定したお仕事に就かれていたのですが、どうしても甲冑が作りたいと言って退職してしまい、紙で甲冑を作りだしました。
手作りなのにクオリティが高いことには驚きましたが、郷土の学校教育や震災の復興のための活動など営利的には見えないことをされていて、生活を支える収入は大丈夫なのだろうかと心配でもありました。
しかし、しばらくするとその武者活動には仲間が増え、少しづつそれ自体が仕事になり、大きなイベントを主導し、時にはテレビにも出演するようになっていきました。
高い熱量が人を巻き込み経済性をも生み出していくその様子は、側から見ておりましても感心させられる出来事でした。
そして活動が大きくなった今でも彼は、紙で作っていた頃より遥かに技術レベルを上げ、黙々と模造刀の制作などを続けている。
今回の歴史的に貴重な刀剣と金子さんの出会いは、必然だったと私は感じています。
朽ちていく刀剣たちを蘇らせ、そこに刻まれてきた物語を伝え広める活動をしていく。
金子さんのこれまでの歩みと情熱は、まさにこの役目を担うための準備だった。
そのようにも思うのです。
刀剣を修復し、保存管理しつつ多くの人の目に触れるように展開することには、莫大な費用がかかってきます。
それはおそらく、クラウドファンディングが成功したとしてもそれで足りることではなく、金子さんは今後ご自身で大きな負担を負い、それでも活動を続けていくでしょう。
将来的には刀剣にまつわる活動自体の事業化が必須でありますが、事業の立ち上げというのはとても困難なことであります。
しかし、これまで金子さんは紙とカッターで甲冑を作るとことからはじめ、結果的には多くの人を巻き込んだ活動を生み出してきた人です。
私は、金子さんが今回も多くの人を惹きつけながら、今想像するより遥かにレベルを上げて、多くの人に感動をもたらす活動を実現するものと確信しています。
本プロジェクトでは、私たちも3Dデジタルアーカイブのテクノロジー面で参画する機会をいただいています。
微力ではありますが、金子さんの熱意を見習い刀剣たちの歴史の継承に貢献できるように取り組んでまいります。
日本3Dプリンター株式会社の北川と申します。
私どもは世界の優れた業務用3Dプリンターを日本へとご紹介する活動をしております。
今回、文化的価値の高い刀剣のデジタルアーカイブデータを3Dプリントで造形する機会をいただきました。
3Dプリントの技術が文化の継承に貢献できる。このような有意義な機会をいただきましたことを本当に嬉しく感じております。
刀剣のように薄く細いもの、かつ高い精度が必要になる今回の試みは、3Dプリントにとっては技術的に難度が高い側面がございます。
また3D造形物としては非常に長さがあり一括造形が不可能であるため、分割で造形したのちに結合処理を施す必要もございます。
結合部分の合わせ処理や跡の除去処理はとても繊細な作業となり、丁寧に処理を重ね品質を上げてまいります。
この段取りを踏まえまして、今回は工業用SLS方式3Dプリンターで世界最高峰のEOS P396(ドイツ製)で造形を行うこととし、材料は靭性のあるナイロンを選択いたしました。
また、刀身3Dプリントミニチュアモデルの仕上げには、造型工房として名高いPLASTIC MANIA社にご参画いただく体制といたします。
※ 画像は、株式会社プラスティックマニア様のご許可をいただき掲載しています。
造形仕上げパートナー:PLASTIC MANIA 作例
刀剣の歴史の継承への貢献は文化的にも意義が深く、本件は3Dプリント業界の活用事例として極めて価値の高い取り組みとなることでしょう。
ぜひともご支援者の皆様にご満足いただける造形を仕上げたいと思っております。
なにとぞご支援のほど、よろしくお願いいたします。
・特集掲載:歴史街道(PHP研究所)・刀剣画報(ホビージャパン)
・題字:三池 克祐
・リターン企画:お恵・お麗・蝉・葵一・烏川 沙羅
・3Dプリント企画協力:高田 圭佑 (日本3Dプリンター株式会社)
・3Dプリント企画協力:大橋 竜也 (日本3Dプリンター株式会社)
・造形仕上げ処理検討:乾 高志 (株式会社PLASTIC MANIA)
・フォトグラメトリ技術支援:伊藤 佑真 (yuma.jp)
・ARイメージ森林写真撮影:葛城 和久 (株式会社StockGraphy)
『刀剣AR』の詳細要件について
※『刀剣AR』で配信される3Dモデルは、インターネット利用可能な水準に精度を下げたものになります。
※『刀剣AR』コンセプトイメージは開発中のデザイン案です。実行案は進行していく3Dデジタルアーカイブの内容や、ご支援者の皆さまのコメントなどを参考にデザインを精査してまいります。
※『刀剣AR』へのアクセスは、AR対応機種のスマートフォンに限られます。
AR対応環境(予定):
・iOS = iPhone 6sまたはiPhone SE以降のiPhone(iOS12以降)。
・Android = ARCore対象機種のスマートフォン(ARcore v1.9以降)。
Android対象機種については下記ページをご参照ください。
https://developers.google.com/ar/discover/supported-devices
対応環境は、米apple社、米Google社による基盤技術のアップデート、またはAR企画の仕様次第で変更の可能性があります。
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