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【政治】

<コロナ緊急事態>政府「緊急事態」拡大に転換 GW前 地方まん延懸念

全都道府県に緊急事態を宣言する安倍首相(左から2人目)=16日午後、首相官邸で

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が緊急事態宣言の対象を全国に広げる方針に転換したのは、発令した七都府県から逃れる「コロナ疎開」により、地方でのまん延や医療崩壊の懸念が高まっているためだ。遅い対応にいら立つ地方や世論にも押され、当初重視していた科学的データよりも政治的判断を優先し発令に踏み切った。 (後藤孝好)

 安倍晋三首相は十六日夜の対策本部会合で、都市部からの人の移動による各地での感染拡大傾向を指摘し「地域の流行を抑制し、特にゴールデンウイークにおける人の移動を最小化する観点から全都道府県を対象とした」と述べた。

 政府の諮問委は対象地域の選定で(1)感染者数の合計(2)感染者が二倍になるまでにかかる日数(3)感染経路が特定できない割合-の三つの指標を重視。追加発令を求めた愛知県や京都府は、指定済みの東京都や大阪府と比べ、感染経路不明の割合が低いと分析してきた。

 しかし、西村康稔経済再生担当相はこの日の衆院議院運営委員会で地域の医療体制などの「状況の判断」も発令の理由に挙げた。

 政府が当初、対象を七都府県に絞ったのは、景気に配慮し、できるだけ社会経済活動を維持しながら感染防止を図るためでもあったが、感染者の増加傾向は止められず、首都圏の医療現場は病床や物資、人手の不足が深刻化している。

 さらに、政府の思惑とは裏腹に、七都府県から安全と思われた地方へ向かう人の流れが加速。感染の封じ込めどころか、全国に拡散させる結果を招き、病床確保が不十分な地方でも医療崩壊の懸念が生じている。

 地方では外出自粛が徹底されず、繁華街の人出が首都圏ほど減っていない地域もある。オーバーシュート(爆発的患者急増)への不安感を抱いた知事は、独自の緊急事態宣言を相次いで発令。慎重な政府に強い対応を求めた。

 政府は例年なら帰省や旅行で人の往来が急増する大型連休を控え全国的な感染拡大を警戒。感染者が確認されていない岩手県も含む全国一律の発令に転じた。

 西村氏は十六日の衆院本会議で「より強制力を伴う仕組みの導入といった考えが国民の総意であれば、法整備の検討もやぶさかではない」と指摘。知事の権限強化や罰則規定を盛り込む法改正の可能性にも言及し始めている。

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