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(松坂)昌子さんは交際って一口に言うけど交際の境界線って何なの?
(昌子)おお~! 珍しく いい質問ね。
確かに 交際の境界線って それぞれの組み合わせによって変わってくるわ。
(落合)一緒にお酒を飲む!ううん ううん…。
(鈴木)告白して 了承を得る。ううん ううん…。
手をつなぐ!ああ ああ…。
(落合)古山君は どう思う?
(裕一)い… いや… 僕は…お会いして お話ししてればもう… た… 楽しいです。
駄目だよ。相手は海千山千の踊り子さんだぞ。
す~ぐ飽きられて愛想つかされっちゃうよ。
接吻ね。接吻!?
あっちぃ…!(昌子)ああ ああ…。
いきなりですか?
きれいで経験豊富なレディー片や 恋愛未経験のボーイ。
この2人をつなぐためには接吻!うん… 接吻しかねえわ!
ええっ… よく分かりません。それしかねえな。
えっ?俺も同じ意見だ。
ええっ!?接吻 頑張って下さい!
ええ~!?
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
う~ん… いや 一口に接吻っていってもど どうすればいいか… 分かりません。
いや それは…。
えっ? ちょ… 先輩 先輩…。
や… やり方はぼ ぼ… 僕だって知ってます。
僕が知りたいのは 接吻するっていう状況に持ち込む… ほ… 方法です。
古山君 乗ってきたね。
やっぱしお酒を飲んで 少し酔った帰り道ふと止まり 相手も止まり…。
自然でいいけど 慣れてる人向けね。
えっ?うん…。
月がきれいだね~。
君の唇の方が もっと きれいだ~。
ギャ~! 気持ち悪い~!
うそ~!?だから まだ独り者なんですよ。
ハハハ!はい はい!
(昌子)手は上げなくていいがら。僕だったら…。
「接吻してもいいですか?」。
言葉にするなんて興ざめ!だったら どうしたらいいんだよ。
うん? おっ?
いきなりがいいわ。
(一同)いや~ それは無理だばい!
女は ドキドキしたい生き物なの!
難易度 高いよ~。 ねえ 古山君?
い… いきなりって!ど ど… どうすれば?
お~ やる気満々だね アハハハ!
みんな いい?
ドキドキさせるために必要なのは予期せぬ事態よ。
・ごめんください。おお… 予期せぬ事態…。
・ごめんください!あっ!はい はい…。
(昌子)予期せぬ事態を作るためには…。
・(松坂)あっ 融資の方です。支店長 鈴木さん 来て下さい。
あ~ おめえ 一人でやれよ!いいとこなのに!(松坂)すいません。
ちょっと… 待っててよ 待っててよ。は~い ただいま。
うん?ねえ… 練習しとく?
うん…。えっ?
来てみて。
うん 思い切って。いや いや…。
来てみて。いや…。いいがら いいがら。
数日後 接吻大作戦は決行されることになりました。
(志津)この店 佐紀ちゃんが教えてくれたの。へえ~。
(志津)出来たばかりだけど 評判いいのよ。
そういえば 佐紀ちゃんったらね2人の男の人 どちらか選べなくてね一人は真面目で誠実なんだけど かたすぎるし一人は 面白いけど調子がよくて 少し いいかげん?
だから…。
ねえ。えっ? はい はい はい… えっ?
(志津)裕一さんは どんな女の人が好み?
ど… ど ど… どんな…? どんな人…?
ほら 見かけとか性格とか何かあるでしょ?
えっと… 性格…。
ああ~! き き… 君のような人。
フフフ お世辞でもうれしい。いやいや… ほ ほ… 本心だから。
フフフ ありがとう。ちょっと 御不浄に。
あっ はい。
回想 (昌子)彼女がお手洗いに立った時が その時よ。
どっちかの道を塞ぐの。どうやって?
スープか何か こぼせばいいでしょ。いい? 戻ってきた彼女をこけさせんの。
その時に 古山君は受け止めて…。
接吻。 いい?
はい。うん。
(ドアの開閉音)
(志津)あっ!
心の声 (4人)今だ!
(鼓動)
だ… だ… 大丈夫ですか?
えっ? あっ… うん。
♪~
ねえ… もう 店には来なくていいから。
えっ?
これからは 外で会いましょ。
わ… 分かりました。
フフフ… じゃあ 私 こっちだから。うん。 気ぃ付けて。
うん フフフ…。
また。また。
♪~
何やってる?えっ?
いや… えっと…。何やってんだ? おめえ。
えっ? いや… ご… ごめんなさい。あの 僕は…。
俺だ。
鉄男だ。
うん? の… 乃木大将?
この づぐだれが。
おっ… ああっ!
すごいね! おお~!
藤堂先生が紹介してくれたんだ?
最初は新聞配りからだったけどな。
まあ 記者って言っても 任されんのはまだ お店の紹介とかだし。
よかったね~ 本当によかったね!
よかったじゃねえだろ!えっ?
音楽は?何で銀行なんかに住んでんだ?
お… 伯父さんの銀行なんだ。養子になる。
それで 女に うつつ抜かして…。えっ? み… 見てたの?
あの店 取材してたんだ。
なあ… 何で 音楽やめた?
か… 家族のためだ。 しかたない。
お前の家の事情は よく分かんねえ。
ただ 昔 俺が「弟 食わせるために働かなきゃなんねえ詩なんか書いてらんねえ」って言ったらお前 言ったよな?
しがみつけば 必ず道は開ぐって。大将 詩人になれるよ!
あれ… うそか?
古山君。 郡山まで お金 届けてくれる?
はい。
俺は お前の言葉信じてまだ詩を書いてる。
なぜだと思う?
子どもの頃唯一 励まされた言葉だったからだ。
俺が詩を書き お前が曲を作る。
その歌がレコードになり みんなが聴く。
そんな夢を描いてたけど…それもまた夢だな。
フフ…。
♪~
んっ。あっ… はい。
すみません! すみません あの…バスに かばん忘れてしまって…。
(茂兵衛)たわけが!踊り子に うつつを抜かしてるらしいな。
すぐ別れろ!お前の相手は俺が見つける!
ああ… えっ? あっ…。
夢も自分も見失っていた裕一にとって志津だけが 残された未来でした。
(幸子)例の彼?(佐紀)うん…でも実は ほかにも気になる人がいて。
あ~ もしかして年下の子?今日 踊ってた。
志津さん。あっ…。
どうしたの?
き… 君を捜してた。
えっ?
僕… 伯父に反対されたけど…反対されて 気付いた。
き… 君のことが… 好きです。
つきあってほしい。
フフフ… フフフフ。
アハハハハ…!
あ~ おかしい!えっ?
ねえ 私 誰だか気付かない?
とみよ とみ。 小学校の同級生の。
うぢの店の方が金持ちだわ。
(志津)やっと思い出した?
私は ダンスホールで すぐに気付いたのにあんた 私を無視した。
癪だから からかってやろうと思ってわざと近づいたの。
近づいて ほれさせて ここぞっていう時に「バ~カ」ってやってやろうと思ってね。
ぼ… 僕は真剣に…。
アハハ なにが真剣なのよ。同級生に気付きもしないで。
だって… だって…あ… あまりにも違うから。
私の家の店 潰れたの。それで 今はダンスホールの踊り子。
男の機嫌とって 毎日 必死に稼いでる。なのに 何? あんたは銀行の跡取り?
冗談じゃないわよ!
あんたは 昔から そう。 そうやってどっかで私たちのことバカにしてんのよ。
昔は「音楽家でござい」って顔してたけど今は「銀行家でござい」ってか?
バカバカしい!
ふう… あ~ すっきりした! フフッ。
じゃあね~ お坊ちゃま。
大人になるのよ。 フフッ。
裕一の初恋は はかなく散りました。