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暴力団組長も感染 ヤクザはなぜコロナに弱いのか

原因は“3密”と“刺青”?

「東京都が3月23日に発表した16人の新型コロナウイルスの感染者のなかに、稲川会の都内に拠点を置く名門組織の本部長が含まれているとの情報が駆け巡りました。三次団体の組長でもあるこの幹部の感染情報を機に、警察当局は他の暴力団組織についても感染状況の確認に追われました」(警察関係者)

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 コロナ禍に見舞われた稲川会の名門組織について、暴力団関係者が明かす。

「この組織のトップは豊富な資金力で、稲川会の執行部入りを果たしたと言われていますが、その原動力となったのが、今回感染した本部長です。関東連合出身の半グレの纏め役で、カネ儲けが上手く、中国やベトナムなどの投資ビジネスも手掛けているとされます」

 現在、この本部長と彼の運転手を含む組織の計6人が感染し、入院中だという。

「事務所は消毒され、閉鎖状態ですが、濃厚接触者がすべて検査に臨んでいるかと言えば疑わしいです。彼らは組関係の実態を把握されることをよしとしないからです。感染情報は稲川会だけでなく、住吉会にもあります。都内のドラッグストアなどに作業員風の男らが次々と並び、必死にマスクを集めているとの情報があった。調べてみると、彼らは住吉会の有力組織のフロント企業とされる解体業者の関係者だと判明した。その理由を探るうちに、住吉会の2つの組織に感染の疑いがあることが分かったのです」(前出・警察関係者)

写真はイメージです ©iStock

暴力団は「3密」の象徴

 暴力団を取り巻く環境はコロナの感染リスクとなる密閉、密集、密接の3つの「密」が重なり合う“象徴”と言っても過言ではない。

「事務所には当番制がありますし、幹部は組員の動向を把握するために事務所に顔を出すよう促すので、人間関係が密接です。逆に六代目山口組や神戸山口組は、事務所の使用制限命令で定例会もままならず、特定抗争指定暴力団に指定され、定められた区域内で組員が5人以上集まることも禁じられている。感染リスクは軽減されるものの、警察当局にとっては動向を追うのも難しい状況になっています」(同前)

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