この素晴らしき骸骨に祝福を   作:とし3

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1話目の自己紹介をアインズからモモンガに変更しました。


駄女神VS死の支配者

 カズマが案内したのはアクセルの街の魔道具店、不死王リッチであるウィズが経営するお店。

彼女は魔王軍の幹部の1人でありながら、人と対立せず、上手く隠れて共存している存在であり、

豊かなバストと女神のような性格で冒険者としても、夜のおかずとしても断トツの人気を誇る。

 モモンガは鎧と魔法を隠蔽する指輪を取り外し、視線が胸に行くのを抑えながら挨拶をした。

 

 「あ、あのカズマさん…ここ、この方は…どなたなんです?

  アンデッドなのはわかるんですが、魔王さんでもありえない凄い魔力なんですが…」

 

 「えーと、迷いアンデッドのモモンガさん?」

 「モモンガです、種族は死の支配者(オ-バーロード)ですね。

  このたびは私のために時間を作って頂きありがとうございます」 

 

 他愛のない雑談と共に、この世界の事を学ぶ。先輩冒険者として実体験から来る知識は具体的で理解しやすく、大いにモモンガの助けとなった。彼女の言う事が本当なら、死の支配者として脅威になる敵は、ほぼ居ないものと判断して良いだろう。

 

 (後は実際にどの程度効果があるかどうか試してみなければいけないな…)

 

 そんな物騒な事を考えていた。

 

 

 ★ こ の す ば

 

 

 冒険者ギルドに戻ると言うカズマとめぐみんに同行して冒険者ギルドに向かう。

 元の世界風に言えばハローワークなのだが、これはどうしてこうも心を震わせるのだろうか。

 モモンガは大人しくカウンターの順番待ちをしながら、そんなことを考えていた。

 

 「いらっしゃいませー、今日はどうされましたか?」

 

 受付嬢の案内で登録手続きを済ませる、冒険者ギルドへの登録には登録料が必要だったが、

 ユグドラシル金貨を換金した所、金の比重が高く、魔力があり、確認された事のないレアな硬貨と言う事で、1枚1万エリスに化け、登録料を無事に払い終わる。

 

 …問題はこの先に起きた。

 潜在能力が表示されると言うカードに触れても、何も表示されなかったのだ。

 

 「あれ?おかしいですね…表示されないはずはないんですが」

 

 受付のお姉さんが困ったようにカードを見つめる。

 アンデッドなのが不味いのかと思い同行してくれたウィズに視線をやるが、彼女は黙って首を横に振ったので違うのだろう。もしそうならここに来る前に教えてくれたはずだ。

 

 「もしかして魔力を阻害する装備をつけてるのではないですか?」

 「もしくは鎧越しなせいでカードが反応しないのかもしれませんね…」

 

 めぐみんとウィズが原因の予想を出す、…なるほど、それはありえるかもしれない。

 鎧を外し嫉妬仮面を付け魔術師スタイルに戻る。そして魔力隠蔽の指輪を取り外した時…

 

  災厄の女神が現れた。

 

 「ちょっと、ちょっとカズマ!何か物凄いアンデッドの気配がしたんですけど!

 あのクソリッチが仲間を呼び込んだのね!アンデッドなんて退治しておかないとすぐに増えるんだから!仕方ないわね。…私が退治してあげるわ、お礼は特別に今日の晩御飯でいいわよ!」

 

 青髪の女性が手を伸ばすとどこからかバーミヤンのような杖が手元に飛来する。

 

 「ちょアクアやめ!」「待ってくださいアクア様!」「駄目ですよアクア」

 

 3人の静止声が響くが、アクアと呼ばれた女性は止まらない。

 油断があった…この世界に来て会った相手が善良だったため油断していた。

 モモンガの周囲に青い魔法陣が展開された時点でこの魔法は避けられないと悟る。

 回避を諦めたモモンガは咄嗟に即撃可能な呪文を発動させた。 

 

 《セイクリッド・エクソシズム/神聖な不死者退散》

 《グラスプ・ハート/心臓掌握》

  

 神聖魔法を撃ちこまれたモモンガは、激痛を耐え何もなかったかのように振る舞う。

 だが勢いよく走りまわり、小指をタンスにぶつけた時に匹敵する激痛だ…

 

 (くっ‥これが魔法ダメージを負う感覚か…油断した)

 

 仮面の下で苦痛に顔を歪めながらモモンガは襲撃者を睨みつける。

 

 襲撃者は左胸を抑えて蹲る、即死効果は無くても朦朧にする効果は出たはずだ。

 胸を押さえて座り込む女性に、周囲が1瞬心配そうな顔をするが…

 

 「いやあああああああぁ!胸、いきなり胸揉まれたんですけどー!?

  このアンデッドは痴漢なんですけど、見て見てカズマさん、あの嫌らしい手つき、

  どこかのヒキニートのパンツ盗みを思い出す変態的な動きなんですけどぉぉ!」

 

 「はああああぁぁ!?」

 

 騒ぎを聞きつけた冒険者達が集まってくる。

 周囲の女性冒険者達はモモンガに対してゴミを見るような目で見詰めており…

 逆に男の冒険者達は優しい目をしながら黙ってサムズアップを向けてくる。

 

 カズマに助けを求めると、(その魔法素敵ですね、教えてください)って

 アイコンタクトを飛ばしてきていた。

 

 大声で胸を揉まれた、痴漢だ痴漢と騒ぐ目の前の女性にモモンガは動揺する。

 強制沈静化を何度も何度も繰り返しても、この動揺は完全に沈静化することは無かった。

 通勤中に痴漢冤罪を受けたサラリーマンの悲劇的な末路をよく耳にしていたモモンガは

 とうとう自分もその被害に合ったのかと絶望した。

 

 対人戦闘での勝率は5割を超え、この世界で圧倒的な力を持っていたとしても、

 実戦経験(女性)の薄いモモンガでは、泣き喚く女の子対して勝ち目は無かったのだ。

 

 …敗因:童貞。

 

 アレの相手は鬼畜のカズマさんじゃないと無理ですわ。

 

 




ボスキャラがお互いに即死魔法かけてる感じ
ボスキャラなので上位魔法無効化Ⅲ貫通

本当ならここまでがこの素晴らしき骸骨に祝福を(中)でした。

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