うがい薬5.7倍、殺菌消毒剤1.9倍
水虫治療薬や痔疾用剤まで売れるプチバブル

 インテージヘルスケアによると、政府が感染拡大に備えた基本方針を決定した2月最終週における大衆薬の販売金額は、前年比111%と絶好調だった。

 けん引したのは、風邪薬関連、感染予防関連、栄養補給関連の三つのカテゴリーだ。風邪薬関連が販売好調だったのは、下手に病院に行けば新型コロナウイルスに感染するリスクがあり、それを回避するためとみられる。

 売れ筋を「薬効別」に見てみると、まずはうがい薬の販売金額は前年同期比574%と断トツの伸びを記録している。他に伸びが目立つのは、殺菌消毒剤(販売金額の前年同期比189%)、口腔用薬(同181%)、風邪薬(同167%)、漢方薬(同137%)、解熱鎮痛剤(同120%)、ミニドリンク剤(同117%)、ビタミンC剤(同116%)、滋養強壮剤(同112%)などだ。

 風邪薬関連、感染予防関連、栄養補給関連の三つのカテゴリーからは外れるが、意外な売れ筋商品もある。

 例えば、マスクの長時間使用による肌荒れ対策なのか、皮膚用薬(同108%)が売れている。また、とにかく不安で体調を整えておきたい生活者心理が働いているのか、催眠鎮静剤(同106%)や整腸薬(同105%)も好調だ。

 変わり種では、水虫治療薬(同106%)や痔疾用剤(同104%)まで売れているという。業界関係者は「数ポイントの上振れは誤差の範囲」と言うものの、マスクと消毒剤の買い占め行動でドラッグストア通いがクローズアップされた結果、大衆薬のプチバブルが起きていることは間違いない。

新ビオフェルミンS錠
大正製薬が販売する「新ビオフェルミンS錠」。ビオフェルミンシリーズは整腸薬の代表格で、追い風に乗っているようだ Photo by Masataka Tsuchimoto
プロペトピュアベール
第一三共ヘルスケアが販売する皮膚用薬「プロペトピュアベール」。「マスクによる肌荒れを防げる」と口コミで支持を集めている

 意外なところでは、手の洗浄に使う殺菌消毒剤ではなく、傷口に塗る殺菌消毒剤までもが売り上げ好調のようだ。コロナショックによって「けがをする人が増えた」という因果関係は考えにくい。殺菌消毒のキーワードにつられて誤って購入しているか、アルコール消毒液が品薄のため意図的に購入しているかのどちらかとみられるが、真相は不明だ。

 一方で、胃腸薬(同96.7%)、外用鎮痛・消炎剤(同93.9%)、目薬(同87.7%)、ビタミンB1剤(同77.7%)など、不振の薬効も少なくない。インバウンド需要の急減、外出や集会の自粛による服用機会減などが背景にありそうだ。