3月のスーパードライの缶は12%減
家飲み需要増加も家庭用で「ビール離れ」加速
だが、実情は厳しい。家飲み需要という家庭用商品への追い風が吹いた3月、ビール大手の主力ブランドの缶商品は軒並み前年割れしたとみられる。
中でも、王者・アサヒの「スーパードライ」の缶は前年同月比12%減で、「想像以上の落ち込み」と市場関係者は驚きを隠さない。コロナ禍拡大の下、「ビール離れ」が止まらないのだ。
家庭用市場において、ビールのライバルとして立ちはだかるのが、安価な発泡酒や「第3のビール」とも呼ばれる新ジャンルだ。特に新ジャンルはビールの6割程度の価格帯で人気を集め、2019年にはビール類市場の4割(販売数量ベース)を占めるまでに伸長した。
ただ、新ジャンルの販売本数が増加しても、ビールほどの販売額への貢献はできない。「本音を言えば、安い新ジャンルではなく、売り上げも利益も確保できるビールを売りたい」(ビールメーカー幹部)と焦りを見せる。
加えて、コロナ禍による外出自粛で、家飲みへと消費行動が変わったことで、「飲み会では生ビールを頼んでいた消費者でも、自宅で飲む場合は新ジャンルを選ぶ」と別のビールメーカー幹部は嘆く。
新ジャンルの競争激化で新商品が乱発
家庭用RTD選ぶ消費者も
そして近年、新ジャンルの競争は激化の一途だ。2月はサッポロが「ゴールドスター」を新発売し、3月はアサヒが「ザ・リッチ」を投入するなど、毎月のように市場では新商品が“乱発”されている。
ただ、乱発されるブランドの中でも生き残るのは一握り。「売れるブランド」と「売れないブランド」の二極化が目立ち始めた。