治す食品はないが、がんになるリスクを減らす食品はある。魚、ジュースではない野菜、果物、オリーブオイル、ナッツ類、そして、精製されていない粉ものの茶色い炭水化物(玄米や全粒粉のパン、そば粉の割合が高い十割そばなど)である。大腸がんでは、標準治療をしながら、これらの食事をしている人は治療効果が高いというデータもある。
反対に、がんになるリスクを高める食品として、まず挙がるのがハムやソーセージなどの加工肉だ。2015年、WHOの専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、加工肉の摂取量が1日当たり50グラム(ホットドッグなら1本、ベーコンスライスなら2枚)増えるごとに、大腸がんのリスクが18%増加し、牛や豚の肉も1日100グラム摂取量が増えるごとに大腸がんリスクが17%増加すると発表し、物議を醸した。
危ない食品は他にもある。塩分だ。複数の研究で、塩分や塩漬けの魚や肉、野菜の摂取量が多い人ほど胃がんになるリスクが高いことが分かっている。福岡県の久山町で2476人の住民を14年間追跡調査した結果、塩分摂取量が1日10グラム以上の人は、10グラム未満の人に比べて胃がんになるリスクが2倍以上高いことが判明している。和食は塩分摂取量が高くなるので特に注意が必要だ。
例えばカップ麺は1食分で約4.8グラムの食塩が使われている。
ワインには都市伝説
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そしてアルコール。これも、日本酒であれ、ワインであれ、ウイスキーであれ、リキュールであれ、全て少量でもリスクがある。ワインはポリフェノールを含んでいるという効能を耳にしたことがあるかもしれない。だが、アルコールである限りリスクであり、津川氏は「ワインが体に良いというのは“都市伝説”です」と一蹴する。
お茶やコーヒーなど、カフェインの類いはどうだろう? 大腸がんはコーヒーを飲む人の方が生存率が高く、日本茶では胃がんのリスクが減るというデータもあるが、これは「カフェインの影響ではない」という方に軍配が上がるようだ。「熱いものが頻繁に食道を通過すると、食道がんのリスクが増える可能性も示唆されています」(津川氏)。お茶やコーヒーは熱過ぎない程度の温度で飲んだ方が無難のようである。