渡航自粛呼び掛ける沖縄県知事
北海道も危機感強く

 3月に景気DIが最も悪化したのは、沖縄県で14.58ポイント。2月も前月比4.95ポイントのマイナスで、悪化幅は全国で5位だった。さらに3月は2002年5月の調査開始以来、最大の悪化幅に陥り、景気DIの水準(40.6)は12年12月以来となる40台に落ち込んだ。

 国内外から観光客を集め、景況感がこれまで国内でも高水準にあった沖縄県だが、コロナの影響で2〜5月の同県への入域観光客数は167万人となり、前年同期比で半減する見通しだ。

 旅行や宿泊、小売りやレンタカー、バスなどの産業でダメージは避けられない。だが、それでも同県の玉城デニー知事は、政府の緊急事態宣言の対象地域である7都府県を含め、県外から沖縄への渡航を自粛するよう呼び掛けている状況だ。

「コロナの影響は1年ほど続く」(県内の製造業幹部)といった、厳しい見方が広がっている。

 沖縄県同様、観光業が盛んな北海道は7.98ポイントのマイナスで4位だった。北海道は2月末に独自の緊急事態宣言を出し、その後4月8〜9日まで、10人以上の感染確認が2日続くことはなかった。

 だが、中小企業の危機感は3月時点で強かった。「サプライチェーン(供給網)崩壊による影響が出ている」(道内のメーカー幹部)、「飲食・小売・宿泊業を中心に求人募集がほぼ止まった」(道内の出版・印刷業関係者)、「観光客が大幅に減った上、学校給食の売り上げがゼロになった」(道内の飲食料品卸売業者)。現場からは、こうした悲鳴のような声が上がる。

 2位は島根県で8.61ポイント、5位は宮崎県で7.77ポイントのマイナスだった。両県には共通点がある。2月には全国でも珍しい、前月比でプラスになった県なのだ。

「2月の時点では、島根はコロナの影響があまり強く出ていなかった」(帝国データバンク松江支店)、「宮崎県は九州の他県から交通アクセスが良くないこともあり、タイムラグが起きている」(同宮崎支店)との見方が出ていた。3月は、この反動もあって、両県の景気DIは大きく落ち込んだようだ。

 なお、佐賀県は8.18ポイントのマイナスで3位だった。同県も観光関連で観光客の減少に見舞われている。3月末には武雄市で最大のホテルだった「武雄センチュリーホテル」が営業停止となった。同ホテルを受託運営する瑞穂商事(島根県)が経営破綻したためである。

(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

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