【血糖値】
体に悪いフルーツジュース
果物は丸ごと食べる

 糖尿病の人にとって、最も良くないのは、白い炭水化物と糖分である。これらを摂取すると血糖値が急上昇する。10のランダム化比較試験をまとめたメタアナリシスで、糖尿病患者が炭水化物の摂取を少なくするほど、血糖値が下がることが判明している。ただし、「精白していない茶色い炭水化物であれば血糖値はあまり上昇しません」(津川氏)。肥満と同じで、白い炭水化物は血糖値に対しても悪影響があり、茶色い炭水化物は良い影響を与えるのだ。

バナナ
フルーツジュースは血糖値を上げるが、果実を丸ごと食べるとそれほど上がらない Photo:123RF

 果物と血糖値の関係も興味深い。果物に含まれる「果糖」は血糖値を上げるという点では、健康に良いとはいえないが、果物そのものは体に良い食品であるというエビデンスが十分にある。果物から抽出した果糖をフルーツジュースのような形で摂取すると血糖値が上がるが、果物を丸ごと食べると血糖値はそれほど上がらないというデータがあるのだ。「たとえ同じ量の果糖であっても、血糖値への影響が異なる。成分ではなく食品に注目すべきだということを教えてくれます」(津川氏)。

 成分ではなく食品そのものを気に掛ける、検査数値を良くするのではなく実際に病気にならないことを考える――。このあたりが健康リテラシーの要といえそうだ。

Key Visual by Kaoru Kurata