【コレステロール】
多く含まれる「卵」
食べ過ぎはやはり問題

 血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高いと、心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが高くなることが知られている。

 以前は食品に含まれるコレステロールが多いと、血液中のコレステロールも高くなると考えられていた。そこでコレステロールを多く含む食材、例えば「卵を食べ過ぎないように」といわれていた。ところが、その後の研究で、食事中のコレステロールの量と血液中のLDLコレステロールの値の間には、弱い相関しかないことが明らかになってきた。

 そのため、厚生労働省が5年ごとに発表する「日本人の食事摂取基準」2015年版ではコレステロールの摂取目標値はなくなった。しかし、津川氏はこう指摘する。「両者に弱い相関しかないからといって、コレステロールを多く含む食事をしても健康に全く悪影響がないわけではありません」。

 特集#9『医師が教える「体にいい食事・悪い食事」最新エビデンスベース決定版』で詳しく触れたが、卵については、1日1個以上食べると健康に良くないという信頼に足る研究結果が出ているのだ。

 食事に気を付けるべきなのは、血液検査のデータを良くするためではなく、病気を防ぐためである。

【肥満】
体重が減った人が食べた
茶色い方の炭水化物

 健康になることイコール痩せることではない。しかし、明らかな肥満はさまざまな病気のリスクを高める。ちまたには「これでダイエットに成功した」とうたう食事法があふれているが、科学的な根拠に基づいた、痩せる食事はあるのだろうか。例えば、高脂肪と低脂肪の食事を比べれば、当然、低脂肪の方が良さそうに思える。

 食事の成分は大きく、タンパク質炭水化物(糖質)脂質の三つに分けられる。タンパク質と炭水化物は1グラム当たり4キロカロリー。脂質は同9キロカロリーと、同じ重さで2倍以上のカロリーなので、痩せるためには、脂質の量を減らすのが合理的に見える。