塩分過多による悪影響を減らすには「塩分を控える」ほか、もう一つ方法がある。塩分に含まれるナトリウムと逆の働きをするカリウムを多く含む食品(野菜や果物など)を取ることである。
そもそも、塩分を取り過ぎるとどうなるのか。通常は腎臓で塩分を排出するが、その能力を超えて塩分を取ってしまうと、余分な塩分が体内に蓄積される。すると、血液の浸透圧が高くなるので、これを薄めようと、脳は「水を飲め」という指令を出す。これに従って人は水を飲むために、血液の量が多くなり、血管を押す力、すなわち血圧が上がるというのが塩分と血圧の関係だ。
一方、カリウムは塩分を体外へ排出するのを助ける働きがある。だから野菜や果物のようなカリウムを多く含む食品を取ると、血圧を下げる効果があるわけだ。
実は、意外な食品に血圧を下げる効果があることも分かっている。チョコレートだ。チョコレートに血圧を下げる作用があることは、複数の研究結果によって認められており、科学的にも支持されているのだ。研究結果はチョコレートそのものの摂取量に注目したものもあれば、含まれるポリフェノールの一種、フラボノールやカカオニブ由来の食物繊維の効果を見たものもある。
ただし、チョコレートには取り過ぎは良くない砂糖も多く含まれている。「成分表示をよく見て、ココアパウダーの量が多く、砂糖が少ないもの、カカオ何%という記載があるならそのパーセンテージの高いものを選ぶのがよいでしょう」と津川氏はアドバイスする。
一般的にはミルクチョコレートよりダークチョコレートの方がフラボノールの量は多いが、注意も必要だ。「色が黒いからといって、ダークチョコレートであるとは限らない」のである。カカオの苦味を取るために入れる炭酸カリウムは、チョコレートの色をより黒くする効果がある。
なお、チョコレートと同じカカオ豆から作られるココアについても、血圧を下げる効果があると考えられている。