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【東京】<コロナ緊急事態>図書館の休館 相次ぐ中 読み終えた本、街角で交換 高円寺・コクテイル書房
緊急事態宣言を受け、図書館の休館が相次ぐ中、「本の交流の場にしたい」と、JR高円寺駅近くのコクテイル書房(杉並区高円寺北3)は、読み終えた本を交換できる「まちのほんだな」を充実させた。偶然にも、「遺品」の寄贈という後押しもあった。店主の狩野俊さん(48)は「生鮮食品を買うついでにでも寄ってもらえたら」と話している。 (三輪喜人) 「まちのほんだな」は店の外に設置してある。不要になったが、ほかの人にも読んでもらいたい一冊を棚に置き、棚から気に入った一冊を持って帰るという仕組み。利用は無料で、一度に三冊まで利用できる。 子どもからお年寄りまで利用できるように、小説や絵本、ノンフィクション、新書など、特定の分野に偏らないように幅広いジャンルの約四百冊が並ぶ。現在は新型コロナウイルス感染防止のため、消毒液を用意して、利用してもらっている。 本棚は、二年ほど前に始めた。だが、近ごろは仕組みを理解せずに、大量に持ち去る人がいて、棚がすかすかになっていた。立て直そうと思っていたところ、名古屋市の女性から「おばの遺品を寄贈したい」という連絡があった。 遺言に「この店に贈ってほしい」とあったという。思い当たるお客さんはいないが、申し出をありがたく受け入れることにした。政府が緊急事態を宣言した七日、届いた書籍は段ボール三十七箱分の約二千冊。「自分の本を生かしてほしい」という遺志をくみ取り、これらの書籍の一部を入れて、荒れていた棚を復活させた。 新型コロナの影響で、古書店自体は休業しているが、狩野さんは「外出自粛で暗くなりがちだが、今まで読んでこなかった本と出会うきっかけになればうれしい」と話した。「まちのほんだな」は午前十時~午後五時。雨天中止。 PR情報
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