2019/08/30
au『TORQUE G04』 開発者インタビュー 落としても割れないタフネススマホの舞台裏
2019年夏、auの京セラ製スマートフォンTORQUE(トルク)シリーズの新作「TORQUE G04」が登場。落下や衝撃など、米国国防総省が定める耐久試験に準拠した比類なきタフネスを備えた最強スマホというコンセプトを受け継ぎながら、その優れた耐久性にさらに磨きがかけられている。
TORQUEシリーズは2014年7月に誕生した初代「TORQUE G01」以来、代を重ねるごとにそのタフネスを向上させてきたが、新作「TORQUE G04」ではどのような進化を遂げているのだろうか? そして、TORQUEはなぜそれほどまでにタフネスにこだわり続けるのだろうか? 開発を手がけた京セラおよびauの担当者に話を聞いてみることにした。
素材や構造を見直すことで耐久性を向上
――前機種「TORQUE G03」と比べて、新作「TORQUE G04」が進化したポイントを教えていただけますか。
「防水、防塵、耐衝撃、耐振動、耐氷結、耐荷重、耐海水など、歴代のTORQUEで培ってきたタフネスを受け継ぎながら、『TORQUE G04』では新たに鋼球落下(約100gの鋼球をディスプレイ面中央に落下させても壊れない)や温水シャワー(43℃以下の温水シャワーで水洗いが可能)に対応しました。
また、耐海水性能が水深約1.5m/30分から水深約2.0m/60分(水深約2.0mの海水に約60分沈めても本体内部に浸水することなく電話機の性能を保つ)へ、そして落下強度が高さ約1.8mから高さ約2.0m(高さ約2.0mから26方向の鉄板・コンクリートに落下させても壊れない)に向上しています」(京セラ 三輪智章さん/商品企画担当)
――タフネスを向上させるうえで、どのような工夫があったのでしょうか?
「まずひとつに、新しい防水構造を取り入れました。ケースの接合部分に関して、従来は基本的にボンドの粘着成分で水の侵入を防ぐという思想で設計していましたが、水に長時間漬けたり、水中に深く沈めたりする場合、ボンドよりもパッキンのほうが優れています。そこで、今回はほぼすべての接合部分をパッキン化することで、水圧に対する強さを高めました。
また、強度に関しては、長期使用における傷付きや摩耗に対する強さを考慮し、四つ角のバンパーの素材を変更しました。従来のTORQUEは硬めの樹脂を使っていましたが、『TORQUE 04』ではそれよりも少し柔らかめのポリウレタンエラストマー素材を採用しています」(京セラ 財津雅之さん/プロジェクトリーダー)
――耐久性の検証はどのようにして行っているのでしょうか?
「過酷な環境を再現する実験用の設備が社内にありますので、そこで様々な検証を行っています。
また、開発陣はアウトドア好きが多く、デモ機を実際にフィールドに持っていって検証することもあります」
――開発において特に苦労したことは?
「軽さと強度の両立です。従来のTORQUEは、内部にインサート鈑金と呼ばれる金属(厚めのステンレス板)を用いることで剛性を高めていましたが、金属はどうしても重くなってしまうという弱点があります。
そこで今回の『TORQUE G04』では設計をイチから見直し、外の骨格部分を強化したうえで、内部に金属ではなく樹脂製のインナープレートを用いることで剛性を確保し、中身は軽量化を図りました。結果として、画面サイズが約4.5インチの『TORQUE G03』に対して『TORQUE G04』は約5.0インチと大画面を遂げていますが、重さは約2gしか増えていません」(京セラ 石橋賢二さん/設計担当)
タフネスにこだわりながら、デザインにも妥協なし
――「TORQUE G04」のデザイン面でのポイントを教えていただけますか。
「従来のTORQUEは質実剛健さを突き詰めたデザインでしたが、今回の『TORQUE G04』ではそこからさらに一歩踏み込み、お使いいただくユーザーさんの気持ちを盛り上げるような、ダイナミズムを感じさせることを意識してデザインしました。
カラーに関しても、ダイナミックなデザインを引き立てるのはどういう色かを踏まえて検討し、フォルムをより際立たせるエネルギッシュで深みのあるカラーを採用しています」(京セラ 森 孝裕さん/デザイン担当)
――デザインとタフネスを両立するうえで、担当者のあいだでせめぎあいはなかったですか?
「せめぎあいばかりでした(笑)。設計担当とは喧々諤々やりあいましたね。たとえば、ネジひとつとっても、どこに配置するかによってデザインは変わってくるわけですが、ダイナミックなデザインとTORQUEならではのタフネスさをどうすれば両立できるかを内部設計の担当者と議論し、検証しながら開発を進めていきました。結果的にはデザインとタフネスのどちらも妥協することなく製品化できたと自負しています」
進化したのはタフネスだけじゃない
――タフネス以外で、今回の「TORQUE G04」で特にこだわったポイントは?
「カメラ性能が大幅に向上しています。手ブレや暗所に強い2,400万画素のアウトカメラと、135°スーパーワイドアングルカメラのダブルレンズを採用したことで、あらゆるフィールドで高精細な撮影をお楽しみいただけます。
また、速度、移動距離、標高などをカメラ画面に表示して静止画や動画を撮影できるAction Overlay(アクション オーバーレイ)の機能拡張や、アウトドアでのアクティビティをサポートするOUTDOOR PORTAL(アウトドア ポータル)のインターフェースの改良や地図精度の向上など、ソフトウェアの充実も図りました。
Action Overlayに関して、釣りに役立つFishingモードでは2019年秋のソフトウェアアップデートで、釣った魚にカメラを向けるとサイズを自動計測する機能や、AIで魚種を判別する機能が追加される予定です」(京セラ 水本 明さん/ソフトウェア担当)
「デザイン面では、英数字のフォントを一新しています。視認性を高めるとともに、TORQUEの世界観をより強いものにするべく、同フォントをボックスやパンフレットなどにも採用しました」
――様々な面で進化を遂げた「TORQUE G04」ですが、従来から変わらずに継承し続けている機能は?
「TORQUEのアイデンティティであるタフネスはもちろんですが、電池パックが着脱可能であることや、スノボなどでグローブ装着時でもボタン操作が可能なグローブタッチ、画面が濡れていてもタッチ操作が可能なウェットタッチなどは、従来のモデルから引き継いでいます。いずれもユーザーの方からご要望の多い機能です」
なぜauはタフネスにこだわり続けるのか?
――ところで、auは、2000年に発売されたカシオ計算機製のG'zOneシリーズに始まり、2014年に初号機が誕生した京セラ製のTORQUEシリーズまで、これまで数多くのタフネスケータイやタフネススマホをリリースしてきましたが、なぜそれほどまでタフネスにこだわるのでしょうか?
「auがタフネスにこだわり続けるのは、"あらゆるフィールドで、安心してスマホやケータイを使いたい"というお客さまのご要望に応えるためです。TORQUEシリーズでは京セラさんの協力のもと、代を重ねるごとにタフネス性能を進化させてきました。
また、オーナーズイベントを開催して多くのTORQUEファンと開発者の交流を図ってきました。参加された方からは『G’zOneからauのタフネスケータイのファンだ』『TORQUEがあるからauを使い続けている』といった声をいただき、そのようなご要望に応えるためにも、auはタフネスにこだわり続けています」(KDDI 渡部麻美/商品企画担当)
――やはりTORQUEは熱烈なファンが多いモデルなんですね。
「はい。先日は『TORQUE G04』の発売に先駆けて、auの直営店6店舗で実機を触る体験会を開いたのですが、片道3時間かけて県外からイベントに訪れてくださった方がいらっしゃったり、普段のツーリングでTORQUEをマウントにつけて愛用されている方がシーンを撮影して写真を持ってきてくださったり、オーナーの方々の熱い想いに実際に触れるたびに、auとしても『期待を裏切らない商品をお届けしよう』『こんなにファンが多い機種の担当ができて誇らしい』と心から思うようになりました。
『TORQUE G04』についてもお客様の声を反映させた商品をお届けできるよう、TORQUEの高耐久の魅力をさらに伸ばしながら、不満のコメントを改善できる商品を目指しました。たとえば、カメラに関して、私自身も実際に登山や釣りといったアウトドアシーンで実際に利用してみて、綺麗にとれるのか、手ブレはしないかなど何度もフィールドで試し、気になる点は京セラさんにフィードバックしました。技術的なことなど、京セラさんにはかなり無理を言って困らせてしまうこともありました。
また、TORQUEはタフさばかりが注目されますが、今回の『TORQUE G04』ではカメラ性能やステレオスピーカーも進化していて、タフネス性能だけじゃない魅力もたくさん詰まっています。見かけたらぜひ一度お手に取って体感してみていただきたいですね」
比類なきタフネスを実現させた最強スマホ「TORQUE G04」。あらゆるフィールドで、安心してスマホを使いたい――そんなユーザーの要望に応えるべく、商品企画から内部設計、外装デザイン、ソフトウェア開発まで、auと京セラの開発陣が総力を結集して開発されていることがわかった。
山や海のアクティビティを楽しみたい人はもちろん、粉塵が舞う工事現場など仕事で使いたい人や、普段使いで雨などの水濡れや使用中の落下が気になる人にとって、これほど頼もしいスマホはほかにないといえるだろう。
文:榎本一生
撮影:中田昌孝(STUH)
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