新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が3月下旬に発生した茨城県取手市の中核病院の院長が毎日新聞の取材に応じ、感染判明後、感染リスクの高い場所と安全な場所の区別に多大な労力を要したと振り返った。13日から外来診療を再開したもののスタッフの退職が相次ぎ、医療崩壊の懸念も口にした。

 証言したのは「JAとりで総合医療センター」の冨満弘之院長。3月27日に入院患者の70代男性が陽性と確認されて以降、同じ病棟の入院患者や看護師ら約20人の感染が確認され、2人の入院患者が死亡した。

 最初の感染者が確認された当時、副院長だった冨満さんは「医師や看護師たちは仕事柄、院内のあちらこちらに出かけている。感染が分かった時点ではどこが安全で、どこが危険な場所かがはっきりしなかったため、その確認を一番の目標にした」と振り返った。感染者の濃厚接触者約250人にPCR検査(遺伝子検査)を実施した結果、感染者の発生が院内の一定の区域にとどまっていたことが判明した。

 1人目の感染が確認された直後に救急を含む外来を一時中止したが、保健所と協議し、安全性が確保できたとして、今月13日に再開した。来院者には病院の玄関で体温を測定し、発熱していれば別の経路で受診してもらう。全員にマスク着用を義務づけている。再開後も感染源と推定された場所は重点的に消毒している。

 一方で新たな問題に直面している。クラスター発生後、感染への不安から看護師らスタッフが退職した。病院への偏見からか、子どもを預けていた施設から預けに来ないよう求められて退職を考える人もいる。「この状況が続くと医療が崩壊する」と危惧している。

 外来患者は1日約1250人。外来を一時停止したことで「周囲の医療機関は患者への対応に苦しんだはず」と責任を感じているという。「地域の医療従事者と一緒に闘わないといけない」と話した。【宮田哲】