ELECTRIC LOCOMOTIVE EF15 一次形 形態解説 |
概説 |
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一次形 形態一覧 |
EF15一次形は、戦後の混乱期に製造された為かその形態は各機で細部が微妙に異なったものでした。ここでは、その特徴について分かる範囲でまとめてみたいと思います。何分すでに20年近く前に廃車になった為、数少ない資料を元に個人がまとめた物なので、不明点も多くあります。ご存知の方がおられましたらご連絡いただけるとありがたいです。また、間違い等ありましたらメールか掲示板にてお知らせ下さい。 指マークが出る部分をクリックすると、その項目の説明へジャンプします。 |
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※注1:9~11号機は2次形、12~15号機は3次形 ※注2:EF16のナンバーに()の付いた物はEF15に復元 ※注3:備考以外の空欄は不明 ※注4:3号機の1エンドR側(向かって左)のステップ奥の手すりは川崎タイプ、23号機(EF1612)の同部分は日立タイプ |
欠番及び製造年月について |
国鉄からメーカーに機関車を発注する場合、予定両数に合わせて各メーカにあらかじめ番号を割り振ってあり、各メーカーでは割り振られた番号の中から落成順に番号を付けていきます。そのため落成日とナンバーの順番は一致していませんが、メーカー内では基本的にそれらの順番は一致しています。(ちなみに落成1号機は昭和22年5月30日の26号機) |
各メーカー毎の特徴 |
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エアフィルタ |
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ジャンパ栓受け取付台座 |
EF16には、かつてNo1・No2エンド双方R側に付いていたジャンパ栓受けの台座が残っていました。このジャンパ栓については明記した資料がほとんど無く、プレスアイゼンバーン「レイル'83
Spring」と「電気機関車Vol.2」に「重連時の回生制動用ジャンパー栓受け」との記述があるくらいです。H.NakanoさんがEF16現役当時に水上機関区で聞いたところ「重連時の回生用ブザーのジャンパ」だそうで、氏がその時に運転席で確認したところ機関士側窓脇にブザーが取り付けてあったそうです。 その用途ですが同氏のご意見では「EF16重連で回生運転する時に、前の機関士が後ろの機関士に回生運転のスタートやノッチの進段などの合図を、このブザーを介して行なっていたのではないでしょうか。(ブザーボタンは右手でノッチを操作して左手で押せる位置にある。)」と言うもので、また、鉄道ファン’77年9月号に「重連した時、他車の回生電流も読める様にした…」と言う記述もあり、それらのデータのやり取りに使われていたと思われます。なお、EF16からEF15に復元された物は、ジャンパ栓受けだけでなく台座も取り外されています。 |
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デッキ |
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日立タイプ | ||
ステップと前端バリを結ぶステーは、ステップ一段目下の内側に前位側・後位側共に太めの物が正面から見て水平に付いています。(上から見ると前端バリに接する部分に向けて若干絞られています)また、横から見るとステップ前位と後位を結ぶステーがステップ内側に踏板と水平に付いていますが、良く見ると付いていない物もあるようです。これらについては資料不足ではっきりしていません。(日立製一次形の細部写真をお持ちの方がいましたら、ぜひ、ご協力お願いいたします。^^;)一応、現段階で分かる範囲で後にまとめてあります。 連結器解放テコはデッキと前端バリの結合部前面にコの字形の物(EF58と同タイプ)が金具で取り付けられています。これは、三菱製の一部の物を除いて全てこの形状です。 また、手すりとステップの結合部のすぐ下に短く切ったパイプのような物が付いている物があり、一覧ではこれを<日立’>としてあります。このタイプは、他に一次形川崎タイプのみならず、2次形以降のEF15(76,77,79,87…)にも散見されますが、そのほとんどは寒地形でなおかつ長岡に配置された物が大半の様なので、メーカー別の特徴と言うより雪国独自の改造のようです。だとすると、どういう用途なのでしょう? 写真左:三菱製ながら日立タイプのデッキ・前端バリを持つEF16 25 写真右:日立’タイプ(EF15 8 撮影:EF5853さん) |
ステップステーAタイプ |
写真左:EF15 5(撮影:6348レさん) |
ステップステーBタイプ |
写真左:EF15 2 2エンド(撮影:里見純一さん) |
川崎タイプ |
川崎製一次形のデッキは、ステップと手すりの結合部がステップの下から3段目の少し下、連結器解放テコの形状もコの字形の2次形以降の標準タイプに最も近いフォルムです。しかしながら、ステップ部の角度が標準よりやや浅く約15~16°、デッキ部と前端バリの結合部など多少異なる部分があります。また、細かいところの差異でA,B及びそれらに’の付いた4種類に分類しました。 |
川崎Aタイプ |
写真左:EF16 20 |
川崎Bタイプ |
写真:EF16 23 |
川崎A’・川崎B’タイプ |
写真:EF16 11 |
川崎タイプブレーキ管 |
写真:EF16 11 |
三菱タイプ |
写真:三菱C’タイプのEF16 29の2エンド |
三菱Aタイプ・三菱A2タイプ |
写真左:Aタイプ(EF16 31) |
三菱A”タイプ |
写真:A”タイプ(EF16 24第2エンド 撮影:Y.Nishinoさん) |
三菱Bタイプ |
これは、2エンド3位側(向かって右側)の前端バリ側面に車両の転動防止用の手歯止め掛けを設置した際、デッキステーが支障する為、ステーの端バリとの接合部を下方に変更したものと思われます。 写真右:B’タイプの28号機(EF16 26)第2エンド |
三菱B”タイプ |
写真:EF15 6(撮影:H.Nakanoさん) |
三菱Cタイプ |
写真左:Cタイプ(EF16 29第1エンド) |
三菱Dタイプ |
写真右:Dタイプの30号機(撮影:青森さん) |
変形タイプ |
まず目に付くのが手すりで、折れ曲がった独特の形で、ステップの奥側の手すりも通常ステップ部分のみのものがデッキ上、正面扉の前までつながっており、途中に柱が1本入っています。 ステップ部分は担いバネ補助コイル上と通常よりも前位に位置しています。(右写真○部分)デッキの高さも標準よりも若干高めのようで、補助コイルに覆い被さるようにステップが付いています。 デッキと前端バリの結合部分の前面も前端バリ前面とほぼツライチになっており、接合面が逆凸形になっています。さらに、見ての通りステップと前端バリを結ぶステーもステップ前側はステップ2段目と3段目の真ん中あたりから、前端バリの上方に太めの物がハの字形に伸びています。ステップ後側はステップの内側のやはり2段目と3段目の真ん中から前端バリ上方に伸びています。また、EF16時代の写真ではステップの段数が一段多い4段になっており、H.NakanoさんによるとEF15復元後、しばらくはそうだったようです。ちなみに、同機のステップと手すりの結合部下部にも短いパイプのような物が確認できます。 写真:EF15 1(撮影:ohnoさん) |
通風口 |
一次形EF15では当初通風口は設けられていませんでしたが、奥羽本線に配置されたEF15については、耐寒耐雪装備を施す際に正面扉の窓を固定化したため通風口を設置しています。その形態は福米形として知られる蓋付きの物が機関士側正面及び側面、機関助士側側面の計6箇所に付けられたものと第1エンド機関士側正面に6段ヒダ、第2エンド機関士側・機関助士側双方に同じく6段ヒダの物が付けられた物が存在します。前者のタイプは昭和23年12月~昭和24年2月にかけて寒冷地対策を施されたものに対して取付が行われたものと思われます。また、正面の取り付け位置は標準の位置と比べてかなり下になっています。 |
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汽笛カバー |
EF15の汽笛カバーは落成時から取り付けられたものではなく、後から改造で取り付けられたため各種存在しますが、大別すると大形で先端が斜めになった「福米タイプ」、かまぼこ形の「上越タイプ」、新形電機の物と酷似した小形の「東新潟タイプ」があります。各タイプにはそれぞれ微妙な差がありますが、「上越タイプ」では大きさや先端部の形状などさらに数タイプあります。 |
福米タイプ |
例外的に11号機のみ先端部がくの字形になっています。(右写真:EF1611) |
上越タイプ |
写真:上越Aタイプ(EF1623) |
正面屋根昇降段 |
一次形の正面昇降段は4段でその後の標準の5段の物(下から5段目は機関助士側窓上、1段目は通風口を避けて台形状)とは段数も取付位置も異なっています。また、通常は機関助士側のみに一列付きますが、川崎製は機関士側にもう一列付いています。 |
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●一次形日立・三菱 (車体断面低) |
●一次形川崎(車体断面高) | ●一次形川崎(車体断面低) | ●標準形(3次形~) |
前燈台座 |
一次形の前燈を取付台座は帯板2枚の物(分類:原形A)とステー式の物に大別されます。前者には標識燈掛けが台座前面に帯板を介して取り付けられた物(分類:原形B)があります。 |
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●原形A(EF1625) | ●原形B(EF1612) | ●ステー式A(EF1530) 撮影:BINさん |
●ステー式B(EF158) 撮影:BINさん |
運転席側窓水切り |
一次形の運転席側窓の水切りは製造時から2種類あります。 |
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一次形原形 (EF13 1)撮影:BINさん |
三菱原形(EF1524) | 一次形標準(EF1612) | 三菱(EF1629) |