立ちゴケというのはしたことが無いが、走り
ゴケは20代前半の頃は散々やらかした。
最初は10代前半と16才の頃、河川敷のオフ路
でオフ車バイクで練習の時に何度も転んだが、
これは練習走行での転倒なので、公道での転倒
とは少々異なる。
考えたら高校時代はかなり峠を攻めていても、
転倒はしていない。
転んだのはRZ、ガンマ、ARでだ。それには
原因がある。
公道では全てスリップダウンだった。
つまり、トラクションを失って転倒している。
一番ひどかったのがAR50で、下り6速全開の左
コーナーでフルバンク中に前輪にチャタリング
が発生して、あ!と思ったら瞬時にタイヤが路
面を離れた。
下りであるし全開だったので、後軸に更なる
駆動をかけてフロントの荷重を抜くことで対処
するなどということは全くできなかった。なす
がままでそのままスリップアウトして行った。
もし対向車が来ていたら、今頃これを書いては
いない。この世にいないからだ。
そして、私のこれまでの公道での転倒は、全て
左コーナーである。全部。右では飛んでない。
立ちゴケなどはまだ人的被害が最小限だから
よいほうだ。
転んだ時に投げ出されて、そこに四輪車が通過
して轢かれたらサヨナラだけど。
走りゴケは、転んだその地点でドテンではなく、
転倒地点から外に投げ出されながら移動して、
その後に重大な事態になることが多い。
対向車に轢かれたり、ガードレールや電柱に
激突したり、道路から飛び出して建物に飛び
込んだり、谷底に転落したり。歩行者に突っ込
んだりしたら最悪だ。
これらは、単独転倒の場合である。
転倒自体も事故(単独)のうちなのだが、これが
自動車や二輪車と衝突しての転倒となると、
完全に危険な交通事故となる。
バイクは転ぶもの、転んでナンボ、転んで乗り
方を覚える、などということは絶対に無い。
包丁の使い方は手を切って覚える、ということ
が絶対にあってはならないように。
二輪でそれがまだ許されるのは、クローズドの
コースだけのことだ。白バイの訓練のように。
公道では絶対に転倒してはならない。
立ちゴケを転倒に数えるならば、立ちゴケもし
てはならない。
立ちゴケが発生する原因が私はよく分からない
のだが、Uターンの時や発進の時にエンストで
転倒するようだ。
だが、厳密にはそれは立ちゴケではなく走りゴ
ケの範疇に入る。
エンストさせるというのは単純な操作ミスなの
だろう。
だが、ここでもう一歩踏み込んで考えてほしい。
走りゴケの場合は、操作ミスよりも判断ミスと
いうケースが極めて多いのだ。
判断ミスから対処選択ミスというさらなる判断
ミスを連鎖させて転倒不可避となる。
私が公道で一切転ばなくなったのは、自分の中
での転倒のメカニズムを徹底的に解析して、
そのカラクリを理解したからだった。
転倒期間は1982年から1985年の3年間のみに
集中している。
まず、それはなぜか。
そして、どのようなケースの時に転倒したのか。
実は、全てのケースで、全部異なる転び方をし
ていることに気づいた。すべてが別な要因で別
なパターンの転倒をしていたのだ。同じ転倒は
繰り返していない。
それら一つ一つの原因について自己分析したら、
あることが見えて来た。
見えれば光、見えねば闇のままだ。
見えてから私は34年間、一度も公道で転倒して
いない。かなりのペースで峠を走っていてもだ。
一つ、転ばないためのヒントを言おう。
「転倒のほぼ全ては、トラクションが消滅する
ことにより発生する」
ならばどうするか。
それは操作操縦で対処する。
すると、一切転ばなくなる。
二輪に乗らないど素人は、スピードを出しすぎ
るから転ぶとか考えている者が多いが、二輪車
の動体原理を全く理解していない。転倒などは
低速でも発生するのだ。速度などのファクター
は一切転倒とは関係ない。
転倒のメカニズムは、速度を落とせば転倒しな
いなどという単細胞的な解釈では全く説明がで
きない。そんな根拠のない思いつきなどは論理
性も的確性も不存在の頭の悪い空論だ。論外。
転倒直前、二輪車は乗り手に挙動という形で、
これからこの先の段階は転倒になることを知ら
せる。
それを感知し、そこから先を回避する方法を
知っていれば転倒は未然に防げる。
旋回中に前輪をいきなり予告なく足払いという
ホンダの欠陥車のようなバイクでない限り、
転倒前には予兆がある。マシンが知らせる。
それを明確に感知して、適正な対処をすること
で転倒は完全回避ができるのである。
これは制御不能性が高いウォブルが発生しても、
処理方法を知っていれば転倒を回避できる。
レーシングライダーは皆やっている。
ウォブルはどういう地球上のカラクリなのか、
必ず120km/h以上で発生する。
だが、事前に予兆を感知していて、かつ対処法
を知っていたならば転ばない。コンマ数秒以下
で瞬時に体が反応して対処できる。
このことは、トラクション消滅によるスリップ
系の転倒についても全く同じことことがいえる
のである。
キリンは泣かないが、二輪は転ばない。
味醂も未輪も甘いのだ。
輪を知ること、これ即ち無転倒に繋がる。
天理不動。
二輪は転がることにより転ばない。