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ただ一度、受給資格が決定した後に、『他の会社に対して求職活動を行ったが、本人の意志で元の会社に戻った』ということであれば判断は難しいでしょう。ただ悪質な場合は不正受給と見られる可能性もあります。報道の内容が事実だとすれば、雇用保険の主旨にはそぐわないと思います」
東日本大震災では「雇用保険の特例措置」を実施
つまり経営者側が従業員と再雇用することを約束した明確な契約を結んでいる場合、雇用保険の受給資格は得られない可能性が高く、一方で、それが単なる口約束であれば経営者は簡単に反故にできてしまう。いずれにせよ、労働者側にとって不利なことに変わりはない。
国は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際、「災害時における雇用保険の特例措置」を取った。災害により休業を余儀なくされたケースや、一時的に離職を余儀なくされた被災者は、雇用保険の失業手当を受給できる仕組みだった。当時、厚生労働省が発表した文書では、特例措置を以下のように説明していた。
「事業所が災害を受けたことにより休止・廃止したために、休業を余儀なくされ、賃金を受けることができない方については、実際に離職していなくとも失業給付(雇用保険の基本手当)を受給することができます。災害救助法の指定地域にある事業所が、災害により事業を休止・廃止したために、一時的に離職を余儀なくされた方については、事業再開後の再雇用が予定されている場合であっても、失業給付を受給できます」
現在、政府が方針を示している休業補償に対する議論は日に日に激しくなる一方だが、上記のような特例措置の実施こそ、今、求められているのではないだろうか。
(文=編集部)