新型コロナウイルス感染症拡大の影響で東京都内のタクシー会社が全乗務員を解雇したというニュースが波紋を呼んでいる。解雇そのものも衝撃的だったが、朝日新聞の報道によると、同社は解雇した従業員を感染症終息後に再雇用する方針を示したという。つまり業績が悪い間は、従業員に雇用保険を受給させ、業績が回復したら再雇用するということだ。これに対してインターネット上で多くの疑問の声が上がっている。
朝日新聞デジタルは8日、記事『東京のタクシー会社、全乗務員600人解雇へ 自粛影響』で、ロイヤルリムジン(東京都江東区)がグループ会社を含む5社の全乗務員約600人を解雇する方針であることを明らかにした。外出自粛要請の影響に伴う業績の悪化が原因だ。同記事は、こうした事実に加えて同社の担当者の談話として以下のように報じた。
「担当者によると、7日から順次、乗務員に解雇を伝えているという。その際、乗務員には『感染拡大が収束した段階で再雇用する。希望者は全員受け入れる』と説明したという。同社は『休業手当を払うよりも、解雇して雇用保険の失業手当を受けた方が、乗務員にとって不利にならないと判断した』と説明している」
この報道に関してネット上では以下のような疑問の声が寄せられている。
「なぜこの内容を公にしたのか?雇用保険受給は失業中の求職活動が必須。活動せずに元いた会社以外に就職しないことが明確なのであれば受給要件を満たさない。要するに、暗黙の了解の下進めるべき案件だったのに公になったことで受給できない。全ての企業がこれをやると制度が破綻する」
「今受給している者です。解雇されて失業手当は貰えるかもしれないですが、早期に同じ会社に戻る場合は計画受給とみなされる形になっています。なので、支給された分の倍返しで返済となる上に早期就職手当など出ません。特例あるなら別ですが」
「果たして、政府が認めるかな。コレがオーケーだと偽装解雇で失業保険を貰い、受給後に元の会社に戻って働けてしまう。事実上の不正受給」
東京労働局「そもそも受給資格が認められない」
実際、雇用保険上の制度としてこうした運用は許されるのか。東京労働局職業安定部の担当者は次のように指摘する。
「雇用保険の受給資格を有する方の定義は、現に元の会社と雇用に関する契約が完全に失効していて『積極的に求職活動をし、いつでも就職可能』な環境にある方を指します。元の会社に早期に戻ることが約束された状態では、そもそもこの受給資格を満たしていません。