◆新型コロナウイルス問題は、この先生方に聞けばわかる
1話10分で学ぶ大人の教養講座「テンミニッツTV」では、新型コロナウイルス関連講義動画を期間限定で無料公開いたします。
いまメディアでは様々な意見があふれています。しかし、この問題に立ち向かうには、信頼できる方々の知識を結集して「問題の全体像」を描いていかなくてはなりません。まさに新型コロナウイルス問題についての「知の構造化」が必須なのです。
これらの講義をご覧いただければ、何が起きているのか、何をしなくてはならないかがわかります。ぜひご覧いただき、ご活用いただければ幸いです。
テンミニッツTV 編集部
テンミニッツTVとは=「よりよく生きるための『知の力』を養い高める」「第一人者がニュースの核心を語る。さまざまな事象の本質に迫る」を方針として、現在、小宮山宏座長、島田晴雄副座長、曽根泰教副座長はじめ200人以上の講師による、3000本以上の講義を配信しています。
※現在編集中の動画もございますので順次公開いたします。
新型コロナウイルスの克服
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橋本英樹
東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 保険社会行動学分野 教授
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橋本英樹先生には、公衆衛生学の見地から、いま何が起きているのか、これまでの対策をいかに評価すべきか、これから何が起きるのか、良いロックダウン・下手なロックダウンの違いとは、そして成功と失敗を分ける大切なこととは何かを、わかりやすくお話しいただきました。
日本では、世界各国のなかでも比較的早く、新型コロナウイルスの発症が起こりました。しかし、それから2020年3月末まで、他国に比べるとピークが低めに出ていました。「色々な批判はあるが全体として見れば日本はここまでは、かなりうまくやってきた」と橋本先生は分析されます。そのうえでポイントは、うまくやってきて時間が稼げた分、どう次の手を打つかだとおっしゃいます。
当初、日本で比較的うまくやってこられたのは、まさに日本的な特徴を発揮し、現場の方々が全力を尽くされたからだと、橋本先生は指摘されます。その1つがクラスター対策班、そしてもう1つが保健所です。では、それぞれがどのような役割を果たしてきたのでしょうか。
さらにロックダウンになった場合でも、「良いロックダウンと、下手なロックダウン」があるといいます。どのようにすると、悪いロックダウンになってしまうのか。成功と失敗を分けるものは何なのか……。
いま、何が起きているのか。とてもよくご理解いただけると思います。また、「社会連帯の崩壊こそが本当の敵だ。1人ひとりの力を集めて創発的に乗り越えていくことが重要だ」というご指摘は、まさに、いまわれわれに一番大切なことを教えてくれます。
ウイルスの話
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長谷川眞理子
総合研究大学院大学長
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ウイルスとは何か? そう問われると、案外多くの方が、はたと困るのではないでしょうか。本講義では長谷川眞理子先生が、「そもそもウイルスとはいかなる存在で、どのような性質があるのか」について、生物学的な見地から詳しくご解説くださっています。
本編ではまず、「ウイルスは生物なのか。そうではないのか」との問いが発せられます。ウイルスは細胞を持たず、ただ袋のなかに遺伝情報が入っているだけのような存在であり、自分自身単独での増殖ができない。その点では、生物とはいえない。しかし、他の細胞に入り込んでその力を搾取して増殖し、遺伝子を残していくことを捉えれば、生物ともいえる。そういう難しい存在だというのです。
しかも、ウイルスはDNAかRNAか、どちらか一方の遺伝情報しか持ちません。このうち二重らせん構造のDNAは比較的遺伝情報がしっかりと保存されていて修復力もあり、どちらかといえば変異しづらい。しかし、一本鎖RNAは、DNAのように情報が守られず、頻繁に変異していきます。
HIVやコロナウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルスなど、大きな被害をもたらす有名なウイルスのほとんどは、この一本鎖RNAウイルスだそうです。これらのウイルスは、遺伝情報が頻繁に変化し、進化速度が速い。たとえば、HIVの進化速度は、宿主の細胞の100万倍にもなる。それゆえ、ワクチンの開発が非常に難しいのです。
意外に知らないウイルスのことが、この講義を学ぶと、よくわかります。今般のような危機に的確に対処していくためにも、ぜひ本講義をご受講いただければ幸いです。
新型コロナウイルス問題を日本の疫病対策の歴史から考える
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片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授
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今般のウイルス禍が日本国内で大問題になった当初、安倍総理が「要請」のかたちで様々な対処を訴えたことなどが、一部で問題となりました。しかし、実はそうなってしまった背景には、明治30年(1897年)に制定された伝染病予防法を、1999年に廃止してしまったことがある、と片山杜秀先生(慶應義塾大学法学部教授)は喝破されます。
人類の歴史は、まさに疫病との戦いでした。ヨーロッパでもペストなど大量死を伴う疫病の流行があり、これに対抗するために各国は、警察権力を用いてでも強制的な隔離を行って疫病を封じ込める体制を構築していきました。
明治になってから、西洋諸国のそのような仕組みを学んだ日本は、当時の内務省に衛生局を移し、警察や地方各県(当時の県知事は内務省からの派遣でした)と連携して疫病を阻止する体制を整え、「伝染予防法」をつくります。
伝染病予防法では、地方長官が都市封鎖をしたり、交通を止めたり、集会を「禁止」することができました。しかし、この体制は徐々に崩れ、1998年に感染症法が制定されることで、翌年に伝染病法が廃止されることになります。この感染症法は、国家の強権を忌避し、個人のプライバシーや自由を最大限に尊重する精神でつくられました。
しかし、本当にそれで良かったのか……。片山杜秀先生は本講義で、そう問題提起されます。さらに片山先生は、国家と疫病の関係をめぐって、ホッブスやジョン・ロックの議論にも言及されます。政治学や哲学ではなじみ深い名前ですが、「疫病と政治」いう視点を入れることで、新たな気づきが得られます。
国家の役割とは何なのか。危機を克服する体制とはいかなるものか。それを考えるにあたって、大きなヒントとなる講義です。ぜひご覧ください。
新型コロナウイルスと経済問題
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柳川範之
東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授
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今般のウイルス問題が世界経済に与える深刻な影響が大いに懸念されています。リーマンショックは、金融市場の問題が波及したものでしたが、今回は、実体経済そのものが世界的に停滞しています。物流が停滞し、経済活動が縮小していく状況が世界規模で起きているのです。すでに、これは下手をすると相当尾をひく問題になるのではないか、恐慌に突入するのではないか、という懸念の声も上がっています。
このような状況を受けて、世界各国で様々な対策が打たれています。果たして、なぜ、そのような対策がなされなければならないのか。それによって、どのような効果が期待されるのか。そして、経済を落とし込まぬために必要なこととは何か。そのような基本的で大切なことを、柳川範之先生にわかりやすくご解説いただいたのが、本講義です。
柳川先生も、今回は「いままでに例を見ない、グローバルなショックが起きている」と指摘されます。何らかのショックが起きたときに物流や交通が止まってしまうのはしかたがない。しかし、それを悪循環に陥らせないためには、俗にいう連鎖倒産などを防ぐために全力を挙げなければなりません。
もう一つ怖いことは、「将来もっと大変なことが起きるのではないか」「いまの賃金が得られなくなるでは」という予想が、消費を一気に減退させ、負のスパイラルが生まれることです。これを避けるためには、所得のサポートなども行っていかなくてはなりません。
もちろん、このような対策には、うまい手もあれば、悪手もあります。果たして、どのようなことに留意して進めるべきなのか――。それについては、ぜひ本編をご覧ください。
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