わたし、あんまり笑わんくて。
ほんとは。
笑ってるけどさ、写真。
人が訪ねてきたりしたら、
自動で笑顔対応しちゃう
そして疲れる。
帰ってくれて、ホッとする。
そんなん。
小さいころから言われとった。
「女性は家庭の太陽でいなさい。
太陽の様に明るく笑顔でいなさい。」
ばーちゃんからね、
耳にタコができるくらい聞いたんやないかなー。
よく考えたら、お父さんとかお母さんより、
ばーちゃんから受けた影響が大きいわ。
自衛官になったのもそう。
ばーちゃんがよく
防衛大に行けって言ってた。
私が行った高校って、防衛大も、
受験の練習として
みんなで受けに行くんよね。
私も行ったけど、落ちた
で、私は自衛隊の看護学校の試験を受けて、
受かった。
そこも、何十何倍って倍率だけど、
うちの高校からしたら
「そんなとこ…」みたいなレベルで見られてた。
だから、
「私はここを、私が行きたくて
志望したんですっ
」て
内心はプライド立ててた。
落ちこぼれでそこに行ったわけじゃないって。
高校時代は内気な学生だったから、
ほんと、心の中で思ってただけなんだけど。
まあ、実際、
看護師になってお産に携わりたかったし、
小さい頃に日本舞踊や英語やエレクトーンって
いろいろ習い事でお金かけてもらったから、
自衛隊の看護学校行けば
お給料もらいながら勉強できるから
親孝行になるって思ったっちゃんね。
でもやっぱさ、
あれはプライド折れた瞬間やった
中学までは成績も上の方で、高校行ったら、
県内のハイレベル校だったから
付いてけないどころじゃない！
その時点で、
「あーもういいや。赤点さえ避けれれば」
ってなったんだけど、最後の受験で、拗ねたね。
だから、
みんなが受験真っ只中のときに
私は先に合格決まって車校通ったりして、
「あー楽。」って
強がりみたいに思ってた。
だけど、
あんな難しい試験受けなくてよくて、
勉強しなくてよくてホッとしてた。
誰とも比べられない場所に逃げて、
そこで自分のプライドを守った。
いっつも逃げて、
自分のプライドが守れる新しい場所に寄生して、
できない自分を認められないで来たんよね。
できる自分を握りしめて。
その「できる」ってどんなもんよ？
得た知識はどれも中途半端。
ほんとはみんなに披露したいのに、
有名な先生には太刀打ちできないからって、
大人しく聴く側に回っては
内心「私それ知ってる！」って
優越感に浸ってんのね。
そのくせどうやったら素直に聴けるんだろう？
とか、変なこと考えてる。
成績優秀なんて幻。
最初は、勉強も面白かったよね。
足し算とか引き算とか、植物のこととか知って、
テストは…最初は違和感だったけど、
花丸もらえることが嬉しかった。
それが、点数になって、
友達よりもいい点数とれるってわかったら、
数字で比べることを覚えた。
そしたら、
大人がよしよししてくれて、笑顔を向けてくれる。
それが認められるってことだって覚えた。
純粋に面白かった勉強が、
競うためになって、
褒めてもらうための材料になって、
ちょっとできないと、
全然面白くない！ってなって…
そりゃそうだ。
もうとっくの昔に飽きてたんだもん。
勉強よりも楽しいことがあったんだよ。
歌うことが好きだった。
絵を描くことが好きだった。
お弁当作って友達と出かけることが好きだった。
だれかに手作りのお菓子を作って
渡すのが楽しかった。
まわりが見えなくなるくらい、
恋愛に没頭したかった。
自分が考えてることを
もっといろんな場所で披露したかった。
日舞も、ほんとはもっと頑張りたかった。
だけど、私が頑張ることで、
家のお金がなくなっていくって
お母さんが悩んでるところを見たり、
家族の仲が悪くなってくのを見てたら、
やめたほうがいいんだと思った。
なんかわかんないけど、
そのころから笑わなくなったのかも。
って思った。
だって小さい頃は天真爛漫に笑ってた。
不自然な笑い方を覚えちゃったんだよね。
内気な高校時代のあと、自衛隊で、
東京の開放感とは裏腹に、規律正しい環境で、
厳しい顔して、
泣きたくても泣けない、
泣いたら泣くなと言われる、
笑いたいときも堪えるみたいな生活でさ。
泣き方も、笑い方も、
不自然になっちゃったんだわ。
つらかったぁ
つらかった。
当時のわたし
いま〜
当時はわからんやったけど、
そうとう無理しとったんやなって
見て取れるよね。
今もまだ
いい子ちゃんしたりいい人したり、
気づかないで優等生してるとこ
あると思うけんさ。
これからもっと
どんなふうに変わってくのか楽しみだよね
