感染症
新型コロナウイルス「実験室で作られた生物兵器ではない」米英豪の研究
2020年03月18日 12時17分
世界中で感染が拡大する新型コロナウイルスの発生源をめぐって、米中両国で「実験室で作られた人工ウイルスが流出した」とか「米軍が武漢に持ち込んだ」などとつばぜりあいを繰り返すなか、米国と英国、豪州の大学のグループが17日、「ウイルスは自然発生したもの」とする研究論文を医学誌『ネイチャー・メディシン』に発表した。
新型コロナウイルスが感染するときは、ウイルスの表面を覆う「エンベロープ」という膜にある「スパイク」と呼ばれるトゲを使って、ヒトの細胞に侵入することがこれまでの研究で明らかになっている。
ヒトの細胞と結合しやすい
米カリフォルニア州のスクリップス研究所と英エディンバラ大学進化生物学研究所、豪シドニー大学などのグループは、このスパイクのタンパク質上にある「受容体結合ドメイン(RBD)」に着目して、ゲノム配列を分析。
その結果、ウイルスのスパイクタンパク質RBDが、血圧の調節などに関わる「アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)」というヒトの細胞と結合しやすく進化したことをつきとめ、実験室で意図的に作られた遺伝子工学の産物ではなく、自然発生的に進化したウイルスだと結論づけた。
新型コロナウイルスの発生をめぐっては、中国・武漢市の研究所から流出した生物兵器だと主張する米国の議員がいる一方、中国外務省の報道官は「米軍が持ち込んだもの」だと主張している。