医療技術

4本の足を失った猫 3Dプリンター製の義足を装着 露(動画)

 2年前の冬、ロシア中部の雪道でさまよっていた猫がひどい凍傷で動物病院に運ばれた。すべての足が凍傷で切断を余儀なくされたが、このたび、3Dプリンターで作ったチタン製の義足をつけてもらって、以前のように元気よく駆け回れるようになったという。

 

 世界で初めて4本の義足を持った猫は、ブリティッシュ・ショートヘアーのメスの「ディムカ(Dymka=ロシア語でもや)」。ロシアの地元メディアによると、ディムカは2018年12月、シベリアでもひときわ寒さが厳しいケメロヴォ州ノヴォクズネツクの街で動けなくなっているところを通りがかった運転手が発見し、動物病院に連れて行った。

半年間動けなかった

 ベスト・クリニックでは毎冬、足や耳鼻の凍傷の猫が6、7匹運び込まれることが多く、症状が重い場合は、壊死が進んで切断しなければならないという。ディムカも例外ではなく、耳やしっぽは短くなり、4本足の関節から先をすべて切断する羽目になった。

 

 そこでセルゲイ・ゴルシコフ医師は、病院から300キロ離れたトムスクのトムスク工科大学の研究者に呼びかけて、足を失ったディムカのために義足を開発してくれないか協力を依頼。

 

 研究チームは、歯磨き粉の研磨剤として使われる動物の体にも安全なリン酸カルシウムでコーティングしたチタン製のインプラントを開発。ディムカの足を撮影したCTスキャン画像を元に、3Dプリンターで義足を印刷した。

 

 

 2019年7月に最初の義足を前足に取り付ける手術を行って以来、リハビリを続けながら半年かけて4本すべてを装着。昨年12月にクリニックが公開したビデオでは、目を覚ました後にグイッと伸びをする姿から、診察室内を歩き回り、階段をピョンピョンと昇り降りし、布にじゃれたり、走り回るようすが映し出されている。

 

 

 ゴルシコフ医師は「足を失った半年間、ディムカはずっと横たわり、排泄するときだけ、少し体勢を変えるだけでした。あのままではやがて死んでいたと思います。柔らかな肉球は無いですが、チタンの足を生まれついての足のように使いこなしている今の姿は、多くの人に希望をもたらします」と心から嬉しそうだ。

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