医療技術

新型コロナ「肺」はどうなる?早期診断にはCT検査を…放射線科医が公開(動画)

 新型コロナウイルスに感染した患者の数は中国国内で2万5000人に迫る一方、日本国内では横浜に停泊中の大型客船の乗客から10人の感染が確認され、中国に次いで世界で2番目に患者数が多い現状が続いている。

 

 ここにきて、ウイルスの潜伏期間中の無症状の感染者からも感染の危険性が懸念されるなか、北米放射線学会の放射線科医が4日、新型コロナウイルスに感染した患者の肺の診断画像を公開した。レントゲン画像では陰性と診断されても、胸部CT検査で感染が見つかったという。

北米カナダで15人「人から人へも」

 世界保健機関(WHO)や米疾病予防管理センター(CDC)によると3日現在、米国・カナダでは合わせて15人の感染が確定、そのうち11人が中国への渡航歴がある患者だが、残りの4人については中国以外での感染だとされていて、先月30日には米国で初めて「人から人への感染」が報告された。

レントゲンでは陰性診断されたが

 こうしたなか、北米放射線学会(RSNA)は4日、臨床現場での早期診断に役立ててもらおうと、新型コロナウイルスに感染した患者の胸部CTスキャン画像を公開した。

 

 公開されたのは、武漢市への渡航歴がある41歳の女性の胸の写真で、発熱が4日間続き、湖南省の人民病院を受診。胸部レントゲン検査では、陰性だと診断されたが、身体の断面を撮影するCT検査(コンピューター断層撮影法)を受けた結果、左右の肺に淡いすりガラスのような影が見つかり、喉の奥をぬぐった液でも陽性反応が確認された。

 

 また中国内陸部の蘭州大学第一病院に入院した33歳の女性でも、CT検査で両肺にすりガラス状の陰影が確認された。

 

早期診断できれば

 ニューヨークのマウント・サイナイ医科大学の研究グループは、先月18日から27日にかけて中国の3カ所の医療機関で感染が確定した21人の患者のデータを比較分析。

 

 その結果、早い段階でCT検査を実施することで、すりガラス状の影や結節、胸水、リンパ節の腫れなどの異常が見つけられる可能性があると指摘している。

拡大予防にも

 マイケル・チャン医師は「診断をCT検査だけに頼るのは危険だが、ウイルスには潜伏期間があることから、明らかな症状が出る前の段階に検査することが早期診断につながり、感染拡大の予防に結びつくと期待している」と話している。

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