医療技術

睾丸が石みたいにカチカチに「寄生虫のせいだった!」インド80歳(閲覧注意)

 

 インド北部に住む80歳の男性は最近、オシッコに血が混ざるようになり、大学病院を訪れた。診察した泌尿器科医は、患者の右の睾丸が卵の殻のように固くなっている異常に気づいた!

 

 英国の医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)』に今月6日に掲載された症例報告によると、インド北部ウッタル・プラデーシュ州に住む80歳のおじいさんはある日、尿路感染症の疑いで州都ラクナウにあるキングジョージ医科大学病院を受診した。

新生児ではよくあるが…

 診察にあたったアプール・ゴエル(Apul Goel)医師は、右の睾丸が固く肥大化していることに気づき、CTスキャン検査を実施。その結果、精巣の周囲に水分が満たされていて、沈着したカルシウムによって石灰化が進んでいることがわかった。

 

 これは「陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)」と呼ばれる状態で、生まれたばかりの男の赤ちゃんでは、比較的よく見られる症状だ。母親の胎内にいる胎児期に、精巣がお腹のなかから陰嚢まで下がる際、内臓を包む腹膜も陰嚢まで降りてくる。

 

 通常は、生まれるころには、陰嚢まで下りてきた腹膜の付け根が閉じるのだが、完全に閉じきらないと、太もものつけ根の鼠径部でつながったままの状態になるので、腸の一部が落ち込んでヘルニア(脱腸)になるのだ。乳幼児の場合、ほおっておいても、成長するにつれて自然と腹膜とのつながりが閉じるが、この男性は80歳、しかも石灰化が始まっている。

フィラリアが原因

 ゴエル医師が詳しく調べた結果、フィラリアの寄生によってリンパ系にダメージを受けたのが原因であることがわかった。フィラリアというと、犬を飼っている人にはおなじみだが、蚊を介して感染し、心臓や肺動脈に寄生して血液循環や内臓に影響を及ぼす病気だ。

 

 人間の場合、フィラリアの幼虫を体内に持っている蚊に刺されることで感染し、人体に侵入した幼虫が成長してリンパ管に移動して何千ものミクロフィラリアと呼ばれる仔虫を産む。たいていの場合、子供のころに感染して、大人になってから発症するケースが多い。

象皮病が多いが

 リンパ系フィラリアは熱帯や亜熱帯の国で多く、1億人以上が感染しているとされるが、発症すると象皮病と言って、足が象のように膨れ上がる症状が一般的だが、ごくたまに腕や胸、生殖器にもリンパ浮腫が起こる場合がある。

 

 しかし、インドの80歳のように陰嚢が卵の殻のように石灰化する例は非常に珍しく、抗フィラリア薬の処方とともに、元通りにするには、マッサージやスキンケアなどリハビリが必要だという。

 あなたにオススメの記事

 編集部からのオススメ記事