リクエストにお答えして今日のレシピはニラ玉です。卵とニラがあればできるお手軽メニューで、ご飯のお供にもぴったり。春が旬のニラは今の時期、積極的に食べたい野菜の一つ。ニラは料理する前に〈シャキシャキ感を出したい〉のか、〈やわらかくして甘みを出したい〉のかを選択する必要があります。今回、選択したのは後者。
ニラ玉
材料(2人前)
卵…3個A砂糖…小さじ1
A醤油…小さじ½
サラダ油…大さじ1
ニラ…1束(100g目安)
B醤油…大さじ½
B日本酒…大さじ1
サラダ油…大さじ1/2
1.卵はよく溶き、A(砂糖、醤油)を加え、さらに溶く。Bの調味料を混ぜ合わせ、合わせ調味料をつくっておく。
2.ニラは根本から10cmは1cm幅にカットし、それ以外は5cm幅に切り、ザルなどで洗っておく(水気はしっかりと切らなくてもよい)。
3.フライパンを30秒ほど中火で温め、サラダ油大さじ1を敷く。卵液を入れた時ジュッと音がでるのを確認したら、1の卵液を一気に入れ、ざっくりとかき混ぜる。半熟状態でボウルにとりだし、箸でかき混ぜてふんわりとした状態にする。
4.フライパンの表面をキッチンペーパーで拭いたら、サラダ油大さじ1/2を敷き、2のニラを一気に加える。中身をざっくりとかき混ぜ、合わせ調味料を注ぐ。すぐにしんなりしてくるので、3の卵を加えたら火を止め、さらに混ぜる。
卵は高温の油で、ニラは水蒸気の力で一気に火を通す
このレシピの特徴は大きく二つ。〈卵とニラを分けて加熱すること〉と〈ニラを水蒸気の力で一気に加熱すること〉です。
ニラ玉をつくるときの難問は卵とニラのどちらを先に炒めるべきか、ということ。ニラを炒めてから卵で閉じるようにするレシピもよく見かけますが、その方法だと卵を一気に加熱することができず、ふんわりとした食感が出ません。
ある程度、高温の油に卵液を一気に注ぐことで、卵に含まれる水分が水蒸気となってふくらみ、ふっくらとした食感になるのです。ここで一度取り出しておくことで、卵に火を通しすぎるリスクを回避できますし、火の通し具合も自由自在にコントロールできます。
さて、次はニラです。ニラは露地栽培が多く、表面に土埃がついているので、よく洗いましょう。冒頭で触れた〈シャキシャキ感〉か〈やわらかさ〉のどちらの食感を生かすかは、この後の工程で決まります。具体的にはシャキシャキ感を出すのであればよく水気を切り、反対にやわらかさを出すのであれば表面に多少の水気を残した状態にするのです。
ニラは加熱時間の短い野菜です。80℃周辺でシャキシャキ感が出ますが、それを超えると一気に柔らかくなります。この性質を頭に入れておけばニラの調理は怖くありません。
シャキシャキ感を出すのであれば、仕上がり目標を80℃にする必要があり、そのためには水気を切った状態で15秒~20秒高温短時間で炒めます。逆にやわらかさを出すためにはさらに加熱する必要があります。今回は水気を残した状態で水蒸気を利用し、100℃で一気に加熱していますが、これは〈やわらかさ〉を出すための方法です。
ニラや卵の調理特性を理解すると調味料を入れるタイミングも決まってきます。炒めた卵にはあまり味がつかないので、先に砂糖と醤油で下味をつけておきます。ニラは醤油と酒で味付けしています。醤油、酒と順番に味付けするよりも、合わせておいたほうが均等に味をつけることができます。塩加減は好みですが今回はご飯に合わせるのでやや濃い目。
炒めものの作り方が人によって異なるのは、目指すおいしさがそれぞれ違うからです。しかし、調理の原則は変わらないので、素材の特性を理解すれば求める味を自分でつくることができます。そんなところにも料理の面白さがあるのでは。
#今こんなふうに過ごしています
人間の世界はシリアスになってきましたが、関係なく季節は進み、春の食材が出揃ってきました。今年のタケノコは様々な事情から安く、オイシイので、時間があるうちに食べましょう。ぼくも久しぶりに煮てみました。これからはアスパラガスなんかが楽しみですね。