東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

愛知緊急事態へ 一層強い危機感共有を

 愛知県は九日、緊急事態宣言の対象区域に同県を追加するよう政府に要請し、十日には県独自の緊急事態宣言を出す。東京から九州までの大都市圏に対象が拡大する。一層強い危機感を共有したい。

 愛知県の大村秀章知事は九日に記者会見し「三日から感染確認と経路不明の方が増えてきている。この一週間を見れば、相当厳しい状況」と、要請の理由を述べた。

 確かに、政府が緊急事態宣言を出した七日と翌八日に愛知県の感染者は連続で二十人以上を記録し急増している。これ以上、経路が不明な感染者が急激に拡大するのを防ぐため、知事が政府に追加要請したのは妥当な判断であろう。

 政府は速やかに専門家による諮問委員会の意見を聞き、要件を満たしていれば遅滞なく対象区域に追加すべきである。

 すでに対象区域になっている七都府県の中で、兵庫や福岡県などより感染者の多かった愛知県が対象区域に入っていなかったことから、ネットなどに「名古屋飛ばし」などの言葉が飛び交った。

 政府は「感染者が倍増する速度が遅い」など専門家の示した基準に従ったとし、大村知事も「(感染状況の)事実と証拠に基づいて判断した」としていたが、指定から外れたことで、県民に緩みが広がる恐れも指摘されていた。今回の決断はそれを引き締める意味もあろう。

 十日に発出する県の宣言は「すべての不要不急の外出・移動の自粛」など七項目で、基本的に政府の宣言と同内容である。対象区域への追加が決まる前に、独自の宣言を出すことで「より強く県民にお願いできる」と知事は話した。

 愛知県は製造品出荷額が一九七七年以降連続一位。全国の「モノづくり」をけん引する県だ。独自宣言の中でも特に「製造業をはじめ中小企業等の支援」では、県民が少しでも安心できる、きめ細かく具体的な政策を示してほしい。

 政府が慎重姿勢の休業要請について、大村知事は「準備はしているが、国や七都府県と足並みをそろえてやっていく」と述べた。

 だが、休業要請は飲食店などにとって死活問題である。損失補償の有無も含め、地域の実情に十分目配りして進めていくべきだ。

 緊急事態宣言の対象となった都会から感染者の少ない地域への「コロナ疎開」も問題化しつつある。「疎開」は地方へ感染を拡大させる恐れがある。身勝手な行動は厳に慎むべきだ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報