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【政治】

<新型コロナ>東海3県、独自に緊急宣言 法的根拠なく 感染拡大抑止へ一体

 愛知、岐阜、三重の三県は十日、新型コロナウイルス感染拡大を緊急事態と受け止めた独自の宣言をそれぞれ発令した。いずれも改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく政府の緊急事態宣言の対象になっておらず、東海三県一体で感染拡大を抑え込みたい考えだ。愛知県の緊急事態宣言は県民に不要不急の外出、移動の自粛を要請することが柱。適用は五月六日まで。医療、県民生活、経済面の支援を強化する特別対策も示した。

 京都府は十日、この一週間で経路不明の感染者が大幅に増加しているとして政府の緊急事態宣言の対象地域に加えるよう国に要請した。愛知県も同様の要請をしている。政府は対象地域追加に関し、感染状況の推移や専門家の意見を踏まえて判断する方針。特措法を担当する西村康稔経済再生担当相は同日、現時点で愛知、京都を追加する必要性はないとの見解を示した。

 独自の緊急事態宣言は法的根拠を持たないものの、強いメッセージを出すことで各県民に感染拡大防止に向けた取り組みを強化するよう促す狙いがある。今後、同様の取り組みが他の地域に広がるか注目される。

 岐阜、三重両県は十日、独自の「非常事態宣言」「感染拡大阻止緊急宣言」をそれぞれ出した。

◆政府、諮問委で検討へ 隣県追加も

 愛知県や京都府が十日、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言の対象に加えるよう求めたことを受け、政府は来週にも専門家で構成する諮問委員会を開いて検討する方針だ。愛知県が独自に出した宣言の効果を分析し、感染者の増加傾向など判断材料の三指標を踏まえ、隣接する岐阜、三重、福井各県も含め追加の可否を見極める。

 西村康稔経済再生担当相は記者会見で、愛知などの状況について「今の時点で(感染者が)急速に増えていく段階に至っていない」と指摘。菅義偉(すがよしひで)官房長官も「現時点で愛知県その他の自治体について、対象地域に加えるべきだとの評価に至っていない」と慎重に対応する考えを繰り返した。

 諮問委の尾身茂会長は、対象を選定する指標として(1)累計の感染者数(2)感染者数が倍増するまでの期間(3)感染経路が不明な症例の割合-の三つを挙げている。愛知の感染者数は宣言が出された埼玉、福岡両県を上回るが、患者の増加傾向や感染経路の追えない件数は東京や大阪と比べて危機的な状況にはなっていない。

 オーバーシュート(爆発的患者急増)で医療崩壊の切迫性も判断材料だが、加藤勝信厚生労働相は「愛知県からは医療が逼迫(ひっぱく)している状況ではないと聞いている」と指摘。政府高官は「要請があったから決めるというわけにはいかない」とし、近く専門家の意見を聞き判断する見通しを示した。 (後藤孝好、坂田奈央)

 

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