1.ESPとAH
ESPとAHの2種類のセキュリティプロトコルがある。
ESP(Encapsulating Security Payload)が一般的で,暗号化と認証の両方の機能を持つ。
一方AH(Authentication Header)は,認証のみの機能を持ち,あまり利用されていない。
2.IKE(Internet Key Exchange)
鍵交換のプロトコル。IPsec通信のための鍵交換を安全に実施する仕組みであるが,IPsecに必須な機能ではない。。しかし,鍵交換を自動で行ってくれるため,IKEを利用することが多い。
3.ESPのパケット構造
以下の問題を参考にしながら、解説をする。
図はIPsecのデータ形式を示している。ESPトンネルモードの電文中で,暗号化されているのはどの部分か。
ア ESPヘッダからESPトレーラまで イ TCPヘッダからESP認証データまで ウ オリジナルIPヘッダからESPトレーラまで エ 新IPヘッダからESP認証データまで (H20NW午前問26より) |
・ESPトレーラ:パケットの長さを調整するためのパディング(詰め物)等
・ESP認証データ:パケットが改ざんされていないかを確認するための情報
この問題の正解はウである。オリジナルIPヘッダからESPトレーラまでが暗号化されている。
なので、第三者が見ると、以下のような状態だ。
新IP ヘッダ | EPS ヘッダ | XXXXXXX | XXXX | XXX | XXX | ESP 認証データ |
あれ?
TCPやUDPにあるようなポート番号がありませんね。
そう。ESPにはポート番号がない。
だからポート番号を使ったNATであるNAPTができないので,VPNパススルーやNATトラバーサルなどが活用される。
■NAT traversalについて
IPsec通信では,VPNルータの間にNAT(NAPT)を行う装置があると,通信に失敗することがあります。理由は,IPsecのプロトコルであるESPは,ポート番号を持っていないので,IPsecのパケットはNAT(NAPT)機器を通過できないからです。
そこで,NATトラバーサルという技術を使いESPパケットに,UDPヘッダを付与します。UDPにはポート番号がある(※FortiGateではUDPの4500番を使います)ので,NAT機器を通過することができるのです。
NAT機器がある場合と無い場合の違いを,パケット構造で確認ください。上が従来のESPのパケット構造で,下がUDPヘッダが付与されたNATトラバーサルによるパケット構造です。
UDP4500というのは宛先、送信元のどちらですか?
製品によるでしょう。
Fortigateの場合は、両方です。
そして、NAT装置を通過する際、送信元のポート番号が変換されますが、宛先ポートんは4500のまま固定されます。
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