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愛知、10日に緊急事態宣言 県独自、5月6日まで休校

記者会見で、愛知県独自の緊急事態宣言を10日午後に出すことを発表する大村秀章知事=9日午前、愛知県庁で(橋場翔一撮影)

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 愛知県の大村秀章知事は九日午前、県庁で臨時に記者会見し、新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受け、政府に改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言の対象区域に同県を含めるよう要請したことを明らかにした。対象となった場合の休業要請については、既に対象となった七都府県と足並みをそろえる考えを示した。十日午後に県として独自の緊急事態宣言を出し、県民に不要不急の外出自粛を要請することも発表した。

 大村知事は政府と八日から調整していると説明し、今後の見通しについて「政府は速やかに調整し、検討していただけると考えている」と述べた。

 政府は七日に東京、大阪など七都府県を指定対象とした段階で、愛知県では感染者の倍増するスピードが緩やかで、感染経路が分からない人も比較的少ないとして指定を見送っていた。

 県の要請に関し、大村知事は九日の会見で「三日から感染確認と経路不明の方が増えてきている。この一週間を見れば、相当厳しい状況」と理由を語った。

 県としての宣言の柱は七項目で、政府の宣言とほぼ同じ内容。期間も同じ五月六日までとし、今月十九日までとしていた小中学校、高校の休校は大型連休明けまで延長となる見込み。共働き家庭など家にいられない児童向けの自主登校教室や学童保育、保育園は引き続き開所してもらう考えも示した。宣言に合わせ、独自の経済対策も実施する。

 政府へ要請する一方で県独自の宣言も出すことについて、大村知事は「ダブルでやったほうがより強く県民にお願いできる」と話した。

 緊急事態宣言の対象区域になると、知事の要請や指示で学校や商業施設の使用が制限される可能性がある。ただ、政府は休業要請に慎重姿勢で、既に対象となった七都府県でも足並みが乱れている。大村知事は休業要請について「準備はしているが、国や七都府県と足並みをそろえてやっていく」と述べるにとどめた。

 同県では県警の剣道特別訓練員による三つ目のクラスター(感染者集団)が発生し、七日と八日に二日連続で二十人以上の感染を確認。これまでの感染者は二百七十九人で、この一週間に感染が判明した九十六人のうち四割近くが経路不明となっていた。

 こうした状況を受け、自民党愛知県議団と同党名古屋市議団は九日午前、大村知事に緊急事態宣言の対象区域入りを政府に求める要望書を提出。河村たかし名古屋市長も同様の考えを示していた。

◆政府高官「追加を検討」

 政府は九日、愛知県の大村秀章知事が新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の対象地域に同県を加えるよう国に要請したことを受け、追加の是非について検討する方針だ。政府高官は「知事の要請は重い。政府として検討せざるを得ない」と語った。

 菅義偉官房長官は記者会見で、愛知県を追加するかどうかについて「感染状況を踏まえ、専門家の意見を聞かなければならない」と説明。諮問委員会の開催については「まだ決まっていない」と述べた。

 官邸筋は「科学的根拠があれば追加されるだろう」と指摘。一方、政府関係者は「愛知のクラスター(感染者集団)は追えている」と述べ、感染状況を慎重に見極める必要があると強調した。

 <緊急事態宣言> 新型コロナウイルス特措法に基づき、全国的かつ急速に感染がまん延し、国民生活と経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある場合、首相が区域と期間を定めて宣言する。宣言により都道府県知事は、住民に不要不急の外出自粛要請や、人が集まる施設に使用制限の要請・指示ができる。安倍晋三首相は7日、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に宣言を出した。政府は増加する感染者数や感染経路不明者数を踏まえて判断したと説明している。

 

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